天下界の無信仰者(イレギュラー)
そんじゃ確認だ。正直に答えた方がお前のためだぜ?
「ラファエル様助けてよ~」
「助けてよ~」
「も~、あんたたちはぁ……。よりにもよってあいつに見つかるなんて……」
ラファエルは分かり切った苦労にどんよりと顔を伏せる。
そんな彼女を見て、ルシフェルは嘆息すると声をかけた。
「私が行こう」
このままではあまりにもラファエルが不憫だ。
ルシフェルからの救いの手にラファエルは申し訳なさそうに見上げた。
「ごめんなさいルシフェル。せっかく息抜きで来てくれたのに、余計な仕事を増やしてしまって」
「いいさ。これも私の務めだ」
そう言ってルシフェルは浮かんでいる二体のキューピットを見た。
「君たち、案内してくれるかい」
「はい!」
「こっちです~!」
彼らに先導されルシフェルは飛んでいった。
案内されたのは宿舎の裏でありほとんど天羽は通らない場所だ。
「ここです」
キューピットに小声で言われルシフェルは地面に降りた。二体は宿舎の角に隠れ裏を見ている。
ルシフェルも裏を見てみると、そこには四大天羽の一人、赤髪のサリエルがいた。包帯で目を隠している。さらに一体のキューピットがいたが彼は恐怖で固まっていた。というのも、
「そんじゃ確認だ。正直に答えた方がお前のためだぜ?」
サリエルは漆黒の大鎌の刃先を、彼の首もとに突きつけていたからだ。
「お前は相手が動けないことをいいことに好き放題してたわけだ。そりゃあ楽しそうだなぁ~、お前が夢中になるのも無理ないさ」
「いや、聞いてくださいよサリエル様! ちょっとだけ、ちょっとだけちょっかいを出しただけで」
「ほう、ちょっとだけ?」
「そうですそうです!」
サリエルからの質問、というより脅迫まがいの尋問にキューピットは顔が取れそうな勢いで縦に振っている。
めちゃくちゃ必死だ、すぐにでもここから逃げ出したいだろう。怖すぎる。
「それじゃ一方的に相手をいじめるのがどれだけ楽しいかちょっとだけ教えてくれよ、てめえの体でなあ?」
「ひぃいいいい!」
キューピットの悲鳴が宿舎裏に響く。大鎌の刃先が近づいてくる。
「すみません! ちょっとだけじゃなくけっこうやっちゃいました! すみませんでした! もうしないんで許してください!」
「ああ!? 謝って済めば監査庁なんていらねえんだよ!」
「ぎゃああああ!」
「まったく……」
これ以上は見ていられないと、ルシフェルは角から現れた。
「サリエル」
「ゲッ、ダンナ」
ルシフェルの登場にサリエルは目隠しした顔で振り向いた。すぐに突きつけていた鎌をキューピットから離す。
「ゲッ、じゃないだろう。なにをしているんだお前は」
「なにしてるって、仕事ですよ仕事。こいつがちょいと悪さしてたもんでね、ちょいと躾ってやつをしてるんですよ」
「お前の躾には鎌が必要なのか?」
「道具ってのは効率を上げるためにある。効果的なんっすよ~」
「しまえ」
「はいよ」
ルシフェルの命令にサリエルは鎌を回した後渋々消した。
「君、もう帰っていいぞ。ただし、悪ふざけもほどほどにな」
「すみませんでしたー!」
キューピットは猛ダッシュで逃げ出すと、角で待っていた仲間と合流し飛んでいった。
ここにはルシフェルとサリエルだけになり、サリエルは踵を返した。
「そんじゃ、一段落したみたいなんで俺もここいらで――」
「待て」
「~~~~」
だが、それを許すほどルシフェルは甘くない。
サリエルは居心地の悪そうな顔で向き直った。
「サリエル、お前は悪いやつではないのだが、もっと加減を覚えるべきだ。説教というのは恐怖で行うものではない、教え、説得させるものだ」
ルシフェルは真剣な顔でサリエルを見ると、完璧な善性と言われるに相応しい態度で伝える。
「助けてよ~」
「も~、あんたたちはぁ……。よりにもよってあいつに見つかるなんて……」
ラファエルは分かり切った苦労にどんよりと顔を伏せる。
そんな彼女を見て、ルシフェルは嘆息すると声をかけた。
「私が行こう」
このままではあまりにもラファエルが不憫だ。
ルシフェルからの救いの手にラファエルは申し訳なさそうに見上げた。
「ごめんなさいルシフェル。せっかく息抜きで来てくれたのに、余計な仕事を増やしてしまって」
「いいさ。これも私の務めだ」
そう言ってルシフェルは浮かんでいる二体のキューピットを見た。
「君たち、案内してくれるかい」
「はい!」
「こっちです~!」
彼らに先導されルシフェルは飛んでいった。
案内されたのは宿舎の裏でありほとんど天羽は通らない場所だ。
「ここです」
キューピットに小声で言われルシフェルは地面に降りた。二体は宿舎の角に隠れ裏を見ている。
ルシフェルも裏を見てみると、そこには四大天羽の一人、赤髪のサリエルがいた。包帯で目を隠している。さらに一体のキューピットがいたが彼は恐怖で固まっていた。というのも、
「そんじゃ確認だ。正直に答えた方がお前のためだぜ?」
サリエルは漆黒の大鎌の刃先を、彼の首もとに突きつけていたからだ。
「お前は相手が動けないことをいいことに好き放題してたわけだ。そりゃあ楽しそうだなぁ~、お前が夢中になるのも無理ないさ」
「いや、聞いてくださいよサリエル様! ちょっとだけ、ちょっとだけちょっかいを出しただけで」
「ほう、ちょっとだけ?」
「そうですそうです!」
サリエルからの質問、というより脅迫まがいの尋問にキューピットは顔が取れそうな勢いで縦に振っている。
めちゃくちゃ必死だ、すぐにでもここから逃げ出したいだろう。怖すぎる。
「それじゃ一方的に相手をいじめるのがどれだけ楽しいかちょっとだけ教えてくれよ、てめえの体でなあ?」
「ひぃいいいい!」
キューピットの悲鳴が宿舎裏に響く。大鎌の刃先が近づいてくる。
「すみません! ちょっとだけじゃなくけっこうやっちゃいました! すみませんでした! もうしないんで許してください!」
「ああ!? 謝って済めば監査庁なんていらねえんだよ!」
「ぎゃああああ!」
「まったく……」
これ以上は見ていられないと、ルシフェルは角から現れた。
「サリエル」
「ゲッ、ダンナ」
ルシフェルの登場にサリエルは目隠しした顔で振り向いた。すぐに突きつけていた鎌をキューピットから離す。
「ゲッ、じゃないだろう。なにをしているんだお前は」
「なにしてるって、仕事ですよ仕事。こいつがちょいと悪さしてたもんでね、ちょいと躾ってやつをしてるんですよ」
「お前の躾には鎌が必要なのか?」
「道具ってのは効率を上げるためにある。効果的なんっすよ~」
「しまえ」
「はいよ」
ルシフェルの命令にサリエルは鎌を回した後渋々消した。
「君、もう帰っていいぞ。ただし、悪ふざけもほどほどにな」
「すみませんでしたー!」
キューピットは猛ダッシュで逃げ出すと、角で待っていた仲間と合流し飛んでいった。
ここにはルシフェルとサリエルだけになり、サリエルは踵を返した。
「そんじゃ、一段落したみたいなんで俺もここいらで――」
「待て」
「~~~~」
だが、それを許すほどルシフェルは甘くない。
サリエルは居心地の悪そうな顔で向き直った。
「サリエル、お前は悪いやつではないのだが、もっと加減を覚えるべきだ。説教というのは恐怖で行うものではない、教え、説得させるものだ」
ルシフェルは真剣な顔でサリエルを見ると、完璧な善性と言われるに相応しい態度で伝える。
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