天下界の無信仰者(イレギュラー)
天羽軍は無限の軍勢、その必要はないと思う
そこで今まで静観していた天和が口を開いた。隣に振り返る。
「手遅れってなんだよ。天界の門はすでに開いているんだ、手遅れもなにもないだろう」
この戦いの要は天界の門を阻止できるかできないかだ。
敵は地上に残った天羽四人だけだが、これがもし開いてしまえば無限の軍勢となって襲いかかってくる。
戦力差が一気に逆転だ。そしてそれはもう開いてしまった。絶望的な展開だ。
でも、まだやれることがあるのか? 天和の口ぶりはそう聞こえる。
「どういう意味だ?」
ボードの前に立つペトロも天和に問いかける。会議室にいる全員が天和を見つめた。
「もし天界の門(ヘブンズ・ゲート)が開いて、無限の軍勢が押し寄せるのならどうしてミカエルはすぐにも侵攻を開始しないの? 栗見さんによる散発的な襲撃はあったけど、あんな真似しないで全軍でかかればいいのに」
「それはそうなんだよな~」
天和の言ったことは俺もなんとなくは思っていたことだった。
きっとなにか理由でもあるんだろうと深く考えていなかったが。
でもそうなんだよな、天界の門が開いたにも関わらず侵攻を開始しない理由ってなんだ?
「俺が知ってるミカエルっていうのはムカつくやつだったが馬鹿じゃない。ただ臆病者って感じでもなかった。そんなやつが天界の門(ヘブンズ・ゲート)が開いたにもかかわらず駐屯地の襲撃だけに留まるなんて奴らしくない」
これまでの敵の行動、それをミカエル一人で計画していたのならたいしたもんだ。腹の立つほど嫌味な男だが頭は冴える。
そして大胆な時は大胆だ、そうでなきゃ軍を洗脳して教皇宮殿に攻め込むなんてしないだろう。
「計画的な男だ。だからこそ本格的な侵攻の前に私たちの戦力を削りたかったのでは?」
「それにしてもだぜ」
ペトロの言うことも分かるが、無限に戦力があるなら相手の拠点を潰すことにどんな意味がある?
石橋を叩いて渡るじゃないが、慎重過ぎる。
「天羽軍は無限の軍勢、その必要はないと思う。むしろ栗見さんの襲撃は陽動、別のものを隠してると思う」
そこで再び天和が言ってきた。
「そういえば、ここを襲ったのも恵瑠を蘇生するための時間稼ぎだったな。やつらの動きが鈍いのも時間稼ぎか?」
「私はそう思う」
「なぜだと思う?」
天界の門は開いた。最悪の事態だ。それでも侵攻はまだ始まっていない。
その理由を、天和は言った。
「天界の門は開いたけど、たぶん、全開じゃない」
「全開じゃない?」
天和の言葉に全員興味深く耳を傾けている。そういえば前もこうして会議室で指摘をしてたよな。
それまでは恵瑠の蘇生なんて誰も想像してなかった。無我無心だから状況を冷静に見れるのだろうか?
それにしてもすごいと思うが。
「天界の門っていうのは、わかりやすく言うと水道の蛇口よ。捻れば水が無限に出てくるけど、少ししか捻らなければ水滴しか出てこない。無限の軍勢といっても出てくるのが少数なら意味がないわ」
「そうか!」
全開じゃないっていうのはそういう意味か。それに天和の言うことは状況に合ってる。
「てことは、やつらはまだ戦力が整っていない?」
「私はそう思う」
俺の確認に天和は無表情のまま肯定してくれた。今もなにを考えてるのか分からない顔しやがって、いいとこ突いてくれるよ。
もしそうなら一気に希望が広がる。相手は無限の天羽だが、その出現数が制限されているなら抑えられるかもしれない。
その隙にすべての支点を破壊し、天界の門も破壊すれば俺たちの勝ちだ。
「でも、そうなると問題は時間だな」
「たぶん残り少ないわ。急いだ方がいい」
会議室がざわつく。天和の言っていることはあくまで推測だが希望の持てる話だ。
計画自体に大きな変更はないが、手詰まり感のあった士気がここにきて前向きになっている。
問題は時間と、支点を守護する天羽の撃破だ。全員で一つずつ回っていては時間が足りないかもしれない。
となれば一対一で倒していくしかない。
それで誰と戦うかだが、そんなのは決まってる!
「俺は恵瑠のところにいくぜ。そこで今度こそ決着をつけてやる」
「手遅れってなんだよ。天界の門はすでに開いているんだ、手遅れもなにもないだろう」
この戦いの要は天界の門を阻止できるかできないかだ。
敵は地上に残った天羽四人だけだが、これがもし開いてしまえば無限の軍勢となって襲いかかってくる。
戦力差が一気に逆転だ。そしてそれはもう開いてしまった。絶望的な展開だ。
でも、まだやれることがあるのか? 天和の口ぶりはそう聞こえる。
「どういう意味だ?」
ボードの前に立つペトロも天和に問いかける。会議室にいる全員が天和を見つめた。
「もし天界の門(ヘブンズ・ゲート)が開いて、無限の軍勢が押し寄せるのならどうしてミカエルはすぐにも侵攻を開始しないの? 栗見さんによる散発的な襲撃はあったけど、あんな真似しないで全軍でかかればいいのに」
「それはそうなんだよな~」
天和の言ったことは俺もなんとなくは思っていたことだった。
きっとなにか理由でもあるんだろうと深く考えていなかったが。
でもそうなんだよな、天界の門が開いたにも関わらず侵攻を開始しない理由ってなんだ?
「俺が知ってるミカエルっていうのはムカつくやつだったが馬鹿じゃない。ただ臆病者って感じでもなかった。そんなやつが天界の門(ヘブンズ・ゲート)が開いたにもかかわらず駐屯地の襲撃だけに留まるなんて奴らしくない」
これまでの敵の行動、それをミカエル一人で計画していたのならたいしたもんだ。腹の立つほど嫌味な男だが頭は冴える。
そして大胆な時は大胆だ、そうでなきゃ軍を洗脳して教皇宮殿に攻め込むなんてしないだろう。
「計画的な男だ。だからこそ本格的な侵攻の前に私たちの戦力を削りたかったのでは?」
「それにしてもだぜ」
ペトロの言うことも分かるが、無限に戦力があるなら相手の拠点を潰すことにどんな意味がある?
石橋を叩いて渡るじゃないが、慎重過ぎる。
「天羽軍は無限の軍勢、その必要はないと思う。むしろ栗見さんの襲撃は陽動、別のものを隠してると思う」
そこで再び天和が言ってきた。
「そういえば、ここを襲ったのも恵瑠を蘇生するための時間稼ぎだったな。やつらの動きが鈍いのも時間稼ぎか?」
「私はそう思う」
「なぜだと思う?」
天界の門は開いた。最悪の事態だ。それでも侵攻はまだ始まっていない。
その理由を、天和は言った。
「天界の門は開いたけど、たぶん、全開じゃない」
「全開じゃない?」
天和の言葉に全員興味深く耳を傾けている。そういえば前もこうして会議室で指摘をしてたよな。
それまでは恵瑠の蘇生なんて誰も想像してなかった。無我無心だから状況を冷静に見れるのだろうか?
それにしてもすごいと思うが。
「天界の門っていうのは、わかりやすく言うと水道の蛇口よ。捻れば水が無限に出てくるけど、少ししか捻らなければ水滴しか出てこない。無限の軍勢といっても出てくるのが少数なら意味がないわ」
「そうか!」
全開じゃないっていうのはそういう意味か。それに天和の言うことは状況に合ってる。
「てことは、やつらはまだ戦力が整っていない?」
「私はそう思う」
俺の確認に天和は無表情のまま肯定してくれた。今もなにを考えてるのか分からない顔しやがって、いいとこ突いてくれるよ。
もしそうなら一気に希望が広がる。相手は無限の天羽だが、その出現数が制限されているなら抑えられるかもしれない。
その隙にすべての支点を破壊し、天界の門も破壊すれば俺たちの勝ちだ。
「でも、そうなると問題は時間だな」
「たぶん残り少ないわ。急いだ方がいい」
会議室がざわつく。天和の言っていることはあくまで推測だが希望の持てる話だ。
計画自体に大きな変更はないが、手詰まり感のあった士気がここにきて前向きになっている。
問題は時間と、支点を守護する天羽の撃破だ。全員で一つずつ回っていては時間が足りないかもしれない。
となれば一対一で倒していくしかない。
それで誰と戦うかだが、そんなのは決まってる!
「俺は恵瑠のところにいくぜ。そこで今度こそ決着をつけてやる」
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