天下界の無信仰者(イレギュラー)
勝負はこれからですよ
サリエルはサングラスに手をかけた。昼も夜もかかさず掛けているそれを。
サリエルは、サングラスを外した。
「死の視線」
サリエルが持つ赤い瞳。それが、ヨハネを「視た」。
瞬間、ヨハネに異常が現れる。
「ぐああ!」
頭を直撃する衝撃。体が震え上がり歯がカチカチと壊れたように震動している。
「あ、ぐう!」
ヨハネは片手で頭を抱えた。膝が折れそうになる。
怖いのだ、とてつもなく怖い。思考が凍る。恐怖でもう体が動かない。息をするのも躊躇ってしまう。体を乗っ取られたようだ、金縛りのように動けない。それほどまで怖いのだ。
怖い。
怖い。
怖い。
ヨハネは発狂しそうだった。
「おお、おお、よく耐える。十分だぜお前」
それを冷たい微笑で見つめるのはサリエルだった。サングラスをポケットに仕舞いヨハネが苦悶する様子を健闘だと誉めている。
「プリーストなら一瞬で戦意喪失なんだがな、スパーダクラスなら耐えれるか」
ヨハネが陥っている恐慌状態。恐怖によって思考と身動きを縛る邪視の呪縛。
だが、これもサリエルの力の一端でしかなかった。
死の視線。サリエルが常時発動しているそれは直接人を見ることが出来ないという本人への呪いでもあっただろう。
それは天羽が堕天羽にならぬよう監視する天羽であるサリエルだからこそ、自分自身が堕天羽にならぬように。
人を直接見ることが出来ないという呪いは人間との接触を減らせる。結果サリエルが堕天羽になるリスクは減らせるからだ。
そのためサリエルにはこの首輪、呪いとも言うべき能力が備わった。
しかし、だからこそこの邪視は強力だ。
見ただけで相手を洗脳、体力減退、精神攻撃できる邪眼。その力はスパーダでも恐怖を受ける。
さらにこの邪視には段階があり二十秒見れば相手の体力、生気を奪い自分のものとする。
四十秒見れば相手の運気を下げる。
そして、六十秒見れば相手は「死ぬ」のだ。
死の視線。それは死へのカウントダウン。サリエルはただ見ているだけ、それで相手は勝手に死ぬのだから。
ヨハネは恐怖の縛りの中にいた。悲鳴すら出ない、舌は壊死してしまったかのように感覚がない。
だけど、ヨハネの心はまだ死んでいなかった。
怖い。正真正銘怖い。子供が深夜の森の中怪物に会ったかのように怖い。思考は断線しうまく働かない。
それほどの強大な恐怖の中、か細い意志が体を動かした。
「ん?」
サリエルの目つきが変わる。この男、まだ終わっていない? そういう目つき。
「神託、物」
ヨハネは口にした。恐怖に屈することなく、大切な人を守りたいという思いが押し勝ったのだ。
「カマエル!」
ヨハネの背後にカマエルが現れる。鋭い視線でサリエルを見下ろし、大剣を突きつけた。
「おー、第二世代の天羽か」
ヨハネは続いて叫ぶ。恐怖を振り払い、この戦いへ掛ける思いを形にする。
「苦境を律する第五の力!」
ヨハネの全身から赤いオーラが吹き出した。苦痛と引き替えに力を得る忍耐のケブラー。
恐怖はまったくなくなったわけではない。だがかなり軽減されていた。これなら戦える。全身の痛みと目眩がひどくても、心が砕けるまでなら戦える。
「勝負はこれからですよ」
ヨハネはサリエルを睨んだ。全身を赤いオーラと闘志で漲らせ、一歩を踏み出す。
サリエルは、サングラスを外した。
「死の視線」
サリエルが持つ赤い瞳。それが、ヨハネを「視た」。
瞬間、ヨハネに異常が現れる。
「ぐああ!」
頭を直撃する衝撃。体が震え上がり歯がカチカチと壊れたように震動している。
「あ、ぐう!」
ヨハネは片手で頭を抱えた。膝が折れそうになる。
怖いのだ、とてつもなく怖い。思考が凍る。恐怖でもう体が動かない。息をするのも躊躇ってしまう。体を乗っ取られたようだ、金縛りのように動けない。それほどまで怖いのだ。
怖い。
怖い。
怖い。
ヨハネは発狂しそうだった。
「おお、おお、よく耐える。十分だぜお前」
それを冷たい微笑で見つめるのはサリエルだった。サングラスをポケットに仕舞いヨハネが苦悶する様子を健闘だと誉めている。
「プリーストなら一瞬で戦意喪失なんだがな、スパーダクラスなら耐えれるか」
ヨハネが陥っている恐慌状態。恐怖によって思考と身動きを縛る邪視の呪縛。
だが、これもサリエルの力の一端でしかなかった。
死の視線。サリエルが常時発動しているそれは直接人を見ることが出来ないという本人への呪いでもあっただろう。
それは天羽が堕天羽にならぬよう監視する天羽であるサリエルだからこそ、自分自身が堕天羽にならぬように。
人を直接見ることが出来ないという呪いは人間との接触を減らせる。結果サリエルが堕天羽になるリスクは減らせるからだ。
そのためサリエルにはこの首輪、呪いとも言うべき能力が備わった。
しかし、だからこそこの邪視は強力だ。
見ただけで相手を洗脳、体力減退、精神攻撃できる邪眼。その力はスパーダでも恐怖を受ける。
さらにこの邪視には段階があり二十秒見れば相手の体力、生気を奪い自分のものとする。
四十秒見れば相手の運気を下げる。
そして、六十秒見れば相手は「死ぬ」のだ。
死の視線。それは死へのカウントダウン。サリエルはただ見ているだけ、それで相手は勝手に死ぬのだから。
ヨハネは恐怖の縛りの中にいた。悲鳴すら出ない、舌は壊死してしまったかのように感覚がない。
だけど、ヨハネの心はまだ死んでいなかった。
怖い。正真正銘怖い。子供が深夜の森の中怪物に会ったかのように怖い。思考は断線しうまく働かない。
それほどの強大な恐怖の中、か細い意志が体を動かした。
「ん?」
サリエルの目つきが変わる。この男、まだ終わっていない? そういう目つき。
「神託、物」
ヨハネは口にした。恐怖に屈することなく、大切な人を守りたいという思いが押し勝ったのだ。
「カマエル!」
ヨハネの背後にカマエルが現れる。鋭い視線でサリエルを見下ろし、大剣を突きつけた。
「おー、第二世代の天羽か」
ヨハネは続いて叫ぶ。恐怖を振り払い、この戦いへ掛ける思いを形にする。
「苦境を律する第五の力!」
ヨハネの全身から赤いオーラが吹き出した。苦痛と引き替えに力を得る忍耐のケブラー。
恐怖はまったくなくなったわけではない。だがかなり軽減されていた。これなら戦える。全身の痛みと目眩がひどくても、心が砕けるまでなら戦える。
「勝負はこれからですよ」
ヨハネはサリエルを睨んだ。全身を赤いオーラと闘志で漲らせ、一歩を踏み出す。
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