世界の恋の時間

ねお

世界の恋の時間

私には好きな人がいる。
彼の喋り方、歩き方、太陽みたいなキラキラ明るい笑顔、寝起きは少し機嫌が悪いとこ。
彼の全部が好き。不器用だけどいつも私のことを気にかけてくれて優しかった。彼は天国にいる。昨年交通事故で亡くなった。私は今も彼を想い続けている。きっとこれからも。彼を愛している。

俺には好きな人がいる。
バイトの先輩で、彼女の凛とした横顔を見た時、俺の心に花畑が広がった。一目惚れだった。それから目で追うようになった。挨拶すら緊張してできないけど彼女はいつも輝いていて俺のお姫様だった。でも彼女には好きな人がいる。彼女はずっとこの世にいない人を想い続けている。俺はその人に勝てることはできない。勝負すら出来ない。俺はどうしたらいいんだろう。

私には好きな人がいる。
そいつとは幼馴染でいつも一緒だった。小さい頃は私の方が身長も高くて弱虫だったのに、今ではあいつは私よりうんと高くなってかっこよくなった。弱虫だったあの頃のあいつも好きだけど今も好き。でもあいつはバイトの先輩が好きらしい。なんで?私がいるじゃん。私が1番あいつを分かってるつもり。上手くいかなかったらいいと思いながら今日もあいつを見つめています。

僕には好きな人がいます。
僕は人見知りで友達もいない。いじめられてはいないけど、僕は空気扱いだ。いじめられるよりかはマシだけど空気はちょっと傷つく。そんな中、毎朝おはようと言ってくれる天使がいた。彼女はいつも僕に笑顔であいさつをしてくれる。でも彼女には一緒に登校をしている幼馴染の男の子がいる。人間観察をよくしているから、彼女が誰に好意を向けているかなんかはすぐわかる。悔しいが僕は彼に何一つ勝てていない。だから空気でいてはダメだ。明日、大きな声でみんなに挨拶をしよう。

私には好きな人がいる。
私は何もかも平均的でクラスのモブ的存在。友達もいるし別に今のポジションも気に入っている。私は教室に飾ってある花が枯れている所を見た事がない。誰が水を替えているんだろうと思ってある日朝早くに学校にいった。私のすぐあとにクラスでいつも1人でいる男の子がきた。その人はすぐに花瓶の水を替えて本を読みだした。私は心が綺麗な人だと思った。そしていつの間にか好きになっていた。でも緊張して挨拶すら出来ていない。距離縮めたい。でもなかなか行動におこせなくてもどかしいです…

俺には好きな人がいる。
叶わない恋。年の差11歲。しかも教師と生徒。俺が中学3年生の時に彼女と出会った。親がギャンブルにおぼれ家庭は壊れ俺は心身ともに疲れていた。家に帰りたくなくていつも近くの公園のブランコに座っていた。ある日いつもと同じように座って時間を潰していたら小さい女の子が俺の目の前にきて
「どっか痛いの?あ、まってね今からプリキュアに変身するから!」
とプリキュアの真似をして俺を元気にしようとしてくれた。なんだかおかしくってでも嬉しくって涙がとまらなかった。俺は彼女に救われた。引っ越してもう会えないと思っていたけど再会できた。いつか、絶対ちゃんとこの気持ちを伝えたい。

私には好きな人がいる。
私に惚れない男はいない。ずっとそう思ってきた。彼に出会うまでは。彼は私がどんな誘惑を仕掛けてもおちない。他に好きな人がいるみたい。別にいいし、大してかっこよくもないしと思っていたけどやっぱ悔しい。絶対私でいっぱいにしてやる!毎日鋼メンタルでアタックし続けていたら彼を好きになっていた。恋ってこんなに苦しいの?悔しいけど言いたくないけど私の頭の中は彼でいっぱいだ。

恋は色んな形がある。恋に正解なんかない。恋は苦しいけど無限の可能性を持っている。恋に理由は要らない。あの人だからとか立場とか関係ない。好きなんだから仕方がない。
後悔の繰り返しで行く先真っ暗で分からなくなっても“好き”という気持ちはしっかり持って。苦しくて傷ついて心がボロボロになった時1番の味方は自分。自分が最強で最高の味方。
恋は美しくキラキラしていて触れようとするとトゲや毒があって必死にもがいてもがいて掴み取ったら嬉しくて泣きそうになるくらい幸せな気持ちになれるこの世の中で1番美しく1番危険なモノです。
世界が恋で満ち溢れますように

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