神様はチートはくれないけど元々俺のステータスはチートだった

おねむねむねむのきょう

大会編 二章 大会予選15

最近カルラとエイトの戦いの描写ばかりなのでフレア達の予選を書きます。
※三人称視点にしてみました。



フレアは予選第2回戦を前にして心を落ち着かせていた。
「速く勝って本戦に出なきゃ」
決意を言葉に出し腰にある木刀に手を触れさせる。
本戦に出てエイトと戦う。
これがフレアの大会の目標だ。
この学園に入った頃完全模倣師フルマスターなどと呼ばれてつけあがっていた。
自分は強いのだと。
今思い返すとそれは根拠のない自信だった。
そして、学園に入って出会った少年、エイト。
最初は単なる親切心で声をかけたのだが、2階級と聞いた時は大層驚いた。
自分より小さくてあまり強く見えないこの少年が自分より十数段上だとは信じ難かった。
きっとどこかの貴族の子供で、つけあがって嘘をついているのだと思った。
しかし、それを裏付ける出来事がその後起きたのだった。
貴族のレッグに戦いを挑まれたのだ。
最初は止めようとした、だがこのエイトと言う少年の実力をよく知るチャンスだと考えた。
結果はエイトの圧勝。
使う事が困難と言われる魔法をいとも容易く使ってみせたのだ。
上には上がいると知った。
だからこそいつもより練習を厳しくした。
エイトと言う新たな目標に打ち勝つために、様々な魔法に挑み腕も少しずつ上げていった。
勿論フレアは弱い訳では無いが、エイトの魔法だけはどうしても模倣出来なかった。
言わば今回の大会は自分の実力を図るために参加しているのだ。
予選で負ければその程度だったと言う事だ。
万が一、エイトに勝てたなら更に特訓を重ねライバルとして戦い続ける。
「しまった、今はそんな事考えてる暇は無かった。ここでも勝たなきゃ」
フレアの対戦相手はBランクの冒険者ガークス。
20代の男。
基本は短剣を使い幻術と様々なスキルでこちらを惑わしてくるどちらかと言うと対人向けの戦い方。
使っている短剣は凄腕の鍛治師が作った闇を纏い数秒の間だけ闇を伸ばしてリーチを伸ばすなど騙し技が得意。
対策としてはこちらも幻術を使い相手に的を多く見せ判断を遅れさせる。
又は、相手の身動きを封じさせる。など
事前に調べておいた情報を整理していると綺麗な女性の声が会場に響き渡った。
「それじゃ試合する方は前に出てきて下さ〜いな〜」
部屋の中央に女性が空中に立っている。
背中まで伸びている薄い水色のサラサラとした髪と同色のローブを着ている20代前半くらいの容姿をした女性は『水と白の魔法使い』のスノウ。
スノウは白い瞳を持ちそれは人の心を乱す魔眼。
この魔眼で数々の修羅場を潜り抜けてきた。
そして『水と白の魔法使い』とは王都で名を連ねる冒険者のパーティ『色彩の覇者』の魔法使いの1人である。
一応ウェンデルもその1人だが、彼は『光と黄の魔法使い』と呼ばれている。
しかし、彼はそれを嫌い自ら風の魔法使いと名乗っている。
一旦それは置いておくとして、フレアとガークスとの戦いは今始まろうとしていた。
「それじゃ始めちゃおうか」
ガークスが一礼し挨拶をする。
「よろしく」
「はい。よろしくお願いします」
それに応えこちらも一礼する。
「いっくよ〜始め」
スノウは呑気に開始の合図を出した。
フレアとガークスが同時に武器を抜いた。
先に行動したのはフレアであった。
「下級精霊召喚 火の精霊ファイアスピリット
 下級精霊召喚 水の精霊ウォータースピリット
 下級精霊召喚 風の精霊ウィンドスピリット 」
フレアの詠唱と共に赤、青、緑と拳サイズの光が出てきた。
このふわふわと浮いているのが精霊。
下級より上のランクの中級や上級、超級、神級ともなれば人型や獣のような姿をした精霊もいるが下級では光だけの実態のないものとなる。
それでも常人では精霊を三体も同時にしかもこれ程短い詠唱で出すことは不可能だ。
才能ある彼女だからこそできたのだ。
「な、精霊を三体同時にだと!そんな事ができるのか…。厄介だな」
ガークスも一瞬驚いた様子を見せるが冷静になりこちらの精霊を見つめる。
「まだまだよ。
 上級精霊召喚 真実の精霊トルーススピリット
詠唱し終わると小さいリス程度のサイズの小さな少女が現れた。
背中には透明な羽が2つ生えており空中に現れるとヒラヒラと飛びフレアの肩にちょこんと座った。
「ふぁ〜。私を呼んだ?」
真実の精霊はあくびをして首を傾げた。

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