こんな俺でも恋をする

白葉南瓜

力を求めて…

次の日の朝、俺は眠い体を起こしつつ辺りを見渡す。
辺りを見渡すとヒビキの姿はなかった。
「ヒビキ!」
その言葉には何の返事もなく、耳をすませばシャワーの音が聞こえてきた。
「何だ、風呂かー」

ヒビキが風呂から出てきて昨日と同じ服を着ようとしていたから服屋に行く事にした。
「何で私に気を使うの?」
「ヒビキも女の子なんだから可愛い服とか着たいでしょ?」
「そ、そうだけどさー」
そんな事を話しつつ俺は商店街だと思われる道を進んでいた。商店街は賑やかで色々と売っていた。食品や武具、服などもあった。
「とと、その前にっと」
俺は今の財布の中身を見て何万あるか確認した。その理由は、昨日は日本円で考えていたがここでの資金は日本円から変えないといけない。
「銀行はーっと…あ、あった」
商店街の中央に位置して1番大きな建物があって、そこの看板にはバンクと書かれていた。
その中に入るとそこは宿のように落ち着いた内装になっていて銀行独特な静けさもあった。
「すいません、日本から来た者なんですけど、日本円から変えれますか?」
「はい、出来ますよ。少しお待ちください」
銀行員さんに2万5000円を渡して少し待っていると結構な量の紙束が渡された。
「5万センデルです」
ここの国のお金の単位はセンデルなんだ…俺はそのことに感心しつつ封筒を受け取ってから銀行を出て行った。

その後は女の子向けのお店に入り服を選んでヒビキに似合うものを買ったりしていた。
「ありがとうございます。信」
「ううん、あんまり出費してないから良いよ」
俺とヒビキはそんな会話をしながら宿に帰って行っていた矢先になんかチャラい奴らが俺らの周りに群がって来た。
「ねー、そこの女の子ー、君、奴隷でしょ?そんな奴よりさ俺らの方が金あるからさこっち来なーい?」
俺はヒビキを後ろに隠してあまり見せないようにした。
「お前には用はねぇーよ、さっさとどきな」
「たく、こんな奴らしか居ないのか…日本が平和だったってよく身に染みるよ」
そんな事を言ってる間にチャラい奴らはナイフを取り出して戦闘態勢になって居た。
「あんまり大事にしたくないけど、仕方ない…か」
俺が懐からグリップを取り出すと、奴らはお腹を抑えて笑って居た。
「何だよそれ!おもちゃか?」
「笑ってられるのも今のうちだぞ」
俺は腰に帯びていた替え刃のケースにグリップを指して周波ブレードを展開した。
展開してからは相手に怪我をさせないようにナイフだけを弾いていた。
「これで、もう良いだろ?」
そう言うとチャラい奴らは逃げて行った。
「帰ろう」

宿に着くと汗をかいていたので俺が先に風呂を借りてしまった。

風呂から出るとヒビキが机の上で本を見ていた。
「ヒビキ、何それ?」
「これは魔道書です」
「やはりな、その違和感は魔法だったか…」
いきなりクロユリが話しかけて来たので少し驚いたが表情に出さないように頑張った。
「ヒビキは魔法使えるの?」
「はい、使えますよ。右手が氷と火。左手が雷と幻想です」
その本の中身を見ると、第6章《獄炎のイフリート》と書いてあった。
「このイフリートってのは魔法なの?」
「違います。魔法というよりは魔術ですね」
俺は魔法と魔術の違いがわからず首を捻っているとヒビキが本を読むのをやめて説明してくれた。
「魔法は魔力というエネルギーが体の中にあるのでそれを使っています。魔術は何かを代償にして使います。このイフリートと言うのは自分の体のどこか一部を代償に差し出します」
その説明が終わると俺はへーとしか言葉が出なかった。
「じゃー、粒子と似てるんだな」
俺はその話を聞いて考えていると椿さんが教えてくれた能力粒子の話を思い出した。
その能力粒子というのは能力者が能力を発動させるために必要な粒子ならしい。その能力で必要な粒子の類は変わっていくのだが、俺の粒子と鈴の粒子と椿さんの粒子は似ていると言っていた。
「その粒子とは何ですか?」
ヒビキは俺の独り言に興味津々になっていて目をキラキラさせていた。
「魔力に似てる物だよ。日本じゃ能力と言われるものが…」
俺は重大なミスをしてしまった。本当は言ってはいけない事なのに言ってしまった…仕方ないか。
「あるんだけど、その能力を使うときに必要なものなんだ」
その説明が終わると、ヒビキはまだキラキラさした目をしていた。
「み、見てみたいの?」
俺は一応椿さんから弱い技を数個教えてもらって来てるのでわざわざ鬼眼を見せなくても良い。
「見てみたい!」
「わかったよ」

場所を変えて宿の裏庭に来ている。そこは丙で囲われているため周りからは見えていない。
「じゃー、やるよ」
俺は右腕を前に出して目を閉じた。
「自然の流れをここに集いそして形となせ」
その後にすぐ空気が俺の手のひらの上で圧縮されて刀となった。
「模造刀《空海》」
俺の手には少し白く濁っているガラスのようなものが刀の形になっていた。
「これは何ですか?」
「これは、創造能力、何かを使って作る能力だよ」
「この刀にも粒子は使われているんですか?」
「うん、使われてるよ。これは風の粒子。だからこの物体自体には切れ味はないの、風が高速に渦を巻いてその空気圧で切るんだよ」
その後にも色々と見して。
その日は夜を迎えた。

果たして、この能力者と魔法使いの物語はいかに。

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