勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

最終確認

 ギル君の訓練を終えた翌日、俺たちは森の中をこっそりと歩いていた。
 正確には勇者達の事を尾行をしているのだ。
 出来るだけ早めの方が良いと思っていたが、訓練を終えた翌日に絶好のチャンスが訪れたのだ。
 現在勇者達は護衛にアサフさん、他三人の護衛を連れて森の中を歩いている。

 洗脳を解く為には相手――彼女にスキルを使わせなければいけない。
 その為には絶対に戦闘は避けて通れない道なのだ
 街中ではかなりの被害を出してしまう為、こうして人気のない場所に行くのを待っていたのだ。
 ……と言っても今日はたまたま勇者達が外に行くのを見かけたから急いでギル君を呼んできたのだ。
 
 作戦は、基本的に戦うのは俺の仕事で後衛で隠れながらギル君が洗脳を解くスキルを唱える。
 と言う感じだ。後衛でも安全とは限らない。流石にギル君に怪我をさせるわけにはいかないので
 何時暴れ出してもおかしない状態のポチを無理やり連れてきているのだ。
 ばれない様に息を潜めてこっそりと尾行して行くと、ひらけた場所で休憩するらしく、
 護衛の人以外は腰を下ろし軽く飲み物を飲んだりと休憩しだした。

「あ」

 気配などでばれたくないので結構離れた位置で魔眼を発動させ、確かめ忘れていた事を確認する。
 
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ミズノ シズカ(洗脳)

Lv26
体力:32,000
魔力:40,000
攻撃力:1,100
防御力:3,500
素早さ:550
運:70

言語理解Lv3
ある程度の言語なら理解でき、読み書き出来る。

剣術Lv7
ぶんぶん剣を振り回せる。

眠りを妨げる者は――スリープヒンダァマッサークルLvMAX
邪魔する者は――。

眠たいネムタイLvMAX
常に眠たい代わりに魔力が常時回復していく。

真の勇者LvMAX
勇者の中の勇者。強いですよ。

状態異常耐性Lv3《魔王を倒すのは私だ》
状態異常に陥っても意識はある。

ほーらちゃんと呼び名まで表示してあげましたよ~これで文句なしですね。
やはりこの勇者出来る女ですね!さぁ、後は此方の仕事です!
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「よしっ!」

 俺は思わずガッツポーズを取った。もちろん声は抑えている。
 これで下準備は完璧だ。後は俺が思う存分――って待てよ、俺がどんだけ頑張っても
 状態異常耐性を発動してくれなきゃダメなんだよな……俺状態異常系のスキル持ってないんだけど――
 ダメじゃん!!
 
「ポチ……その、お願いがあるんだけど」

 此処まで来て完全に抜けていた……非常に申し訳ない気持ちになりつつも
 何時も頼りなるポチにお願いしてみる事にした。

「何だ」

「その、良いタイミングでアイツらに状態異常系の魔法を掛けて欲しいんだけど……ダメかな?」

 出来るだけ上目使いであざとく頼んでみた。
 恐らく、こんな事しなくてもポチは快く引き受けてくれるだろう。
 だが、ギル君の前なのだ。こんな将来有望の子の前で年上が年下に扱き使われるのは教育に悪い!
 
「問題ない。任せろ」

「うん!ありがとう!!ちゃんと加減はしてね?」

「分かっている」

 本当に分かっているのだろうか、先ほどからポチに落ち着きがないのだ。
 洗脳組が近くに居る為、イライラしているのは仕方がないのだが、
 そのイライラが爆発して状態異常(即死)とか意味の分からない事やられたら溜まったものではない。
 万が一の時に備えて方法にも注意を向けて置こう。

「さ、気を取り直して最終確認だ。ギル君!君のやる事はなんだ!?」

「はい!俺がやるべきことは状態異常解除を使い彼らの洗脳を解くことです!」

 たった数日間の付き合いだが、訓練を通して此処まで仲良くなったのだ。
 少し厳しくし過ぎた影響もあるかも知れないのだが、
 相手もまんざらではなさそうなので良しとしよう。

「そうだ!キーワードを言ってみろ!」

「魔王を倒すのは私だ!です!」

「完璧だ!では俺は行って来る――ポチ、あとは頼んだよ」

 流石にポチにまでこのテンションで行くと引かれそうなので
 此処はしっかりと切り替えて発言をする。

「ああ、任せろ」

 しっかりと返事を聞いてから俺は勇者達の居る場所へ走り出した。

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コメント

  • ちきまる

    (小説家になろう)から(ノベルバ)に変わってるけど、なんでだろう

    1
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