勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

洗脳

「ただいま~」

「うむ」

「!?!?!?」

 冒険者ギルドに入りまだ受付嬢の前に居るポチにそう言うと
 特に驚いた様子も無く何時も通りだったが、その後ろにいるユリさんは目をパチクリとさせ
 金魚の様に口をパクパクとさせていた。
 かなり早く戻ってこれたと自分でも思うが、そこまで驚かれると少し傷つく。

「ソラ君?君は何をしに戻ってきたのかな?」

「ん?何って依頼完了に来たんだよ?」

 一体この受付嬢さんは何を言っているのだろうか。依頼を受けて戻っていたのならば
 依頼を完了しにきたに決まっているだろう。

「は?冗談を言わないでください。これでも私は忙しいのですよ?」

 ……見た目が子どもだからだろうか。冗談だと思われて全く相手にされない。
 悲しいが見た目はどうしよも無いので気にしない……ぐすん。

「冗談じゃないよ。ほら、これ」

 そう言って先ほど貰った何かが彫られているコインをカウンターに置いて見せた。
 するとユリさんは再び目をぱちぱちとさせたり目をこすったりしていた。
 一応証拠品になっているのだろうか。貰っておいて良かった。

「た、確かにこれは本物ですね……ポチさん、ソラ君は本当に行ったのでしょうか」

 何故かポチにそう尋ねるユリさん。素直に信じてくれない様だ。
 ポチもまさか振られるとは思ってもいなかったのだろう。若干の戸惑いが見えた。

「当たり前だ。ソラは我よりも凄いからな」

「そ、そうですか……依頼完了です。おめでとうございます。
 ですが、私はまだ認めませんからね!せめてあと二、三回は一人で依頼を受けてください!」

「はーい」

 取り敢えず依頼は完了になったらしい。一件落着だ。
 それにしてもあと三回も依頼を受けなくてはいけないのか……面倒だ。
 今日中にささっと終わらせてしまおうか?

「行くぞ、ソラ」

「え、うん」

 報酬を貰い次なる依頼を探そうとしたらポチに腕を引っ張られてしまった。
 今日の予定は何もないはずなのだが、一体どこに行くのだろうか。
 ポチに引っ張られるがままに扉の近くまでに行った瞬間――

「あ、ソラ君、此処に居たんだね」

 現れたのはアサフさんとその後ろに三人の真の勇者の姿があった。
 何故ここに居るのかと言う疑問が生まれたが、それよりも気になる事があったので魔眼を発動させた。

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ミズノ シズカ(洗脳)

Lv10
体力:15,000
魔力:20,000
攻撃力:400
防御力:1,500
素早さ:550
運:70

言語理解Lv1
少しの言語なら理解でき、読み書き出来る。

剣術Lv5
剣を振り回せる。

眠りを妨げる者は――LvMAX
邪魔する者は――。

眠たいLvMAX
常に眠たい代わりに魔力が常時回復していく。

真の勇者LvMAX
勇者の中の勇者。強いですよ。

状態異常耐性Lv3
状態異常に陥っても意識はある。

あらぁ、洗脳ですって。全くこの世界の神は屑しかいませんね!
この調子だとほかの二人も洗脳済みでしょうね。と言うか洗脳されているので
見なくても良いですよ
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「……」

 やはり、と言うべきか。神との面会などろくな事が無い。
 俺が言った通りに状態異常耐性を取ったようだが流石に神相手だと耐えれなかったらしい。
 意識はあるようだが、身体は言う事を効かない状態なのだろう。
 焦る必要はない。分かっていた事だ。それにもう手は打ってある。後は時が来るのを待つだけだ。

「どうも、アサフさん。身体は大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫ですよ。昨日はすいませんでした。
 本来であれば僕が護るべき立場だったのに逆に護られてしまいましたね……情けないです」

「仕方がないよ、気絶しちゃったんだもの」

 そんな会話をしながらこっそりとアサフさんのステータスも覗いてみると――

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アサフ・モデガナ(洗脳)

Lv89
体力:350,000
魔力:220,000
攻撃力:1,500
防御力:3,000
素早さ:909
運:30


剣術LvMAX
剣を振り回せる。

壁LvMAX
硬いです。

不死の奮闘LvMAX
一日に一回体力がなくなっても生き返り数秒間無敵!
ゾンビかな?

騎士の誓いLv30
パートナーの近くに居ると防御力が上がるらしい。

あら、この人も洗脳済みですね。あはははははは、ださいですね~
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「……」

 本当に不愉快だ。
 昨日会ったばかりの人間だが、それでも同じ食事をした仲間だ。
 助ける義理など存在しないが、非常に不愉快だ。

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