勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

真の勇者

 説明を受けている間、俺は聞いている様なふりをして
 天井を見てシミの数を数えたり棚を見て埃たまってるなぁ、など全く関係のない事を考えて
 早く説明が終わらないかと時間をつぶしていた。
 俺がそんな最低な事をしている間ポチは真剣に説明を聞いている様だ。

 どうやら、俺の記憶だけでは不安らしく自分で聞かないと不安なのだとか。
 意外にもポチさん、冒険者になる事にノリノリの様だ。
 かなりの長い間生きているポチだが、冒険者になる経験などしたことがない為、
 ウキウキしているみたいだ。
 非常にその気持ちは分かるし、実際に俺もポチと冒険者になる事は楽しみだ。

「――以上です。弟くんには退屈な話でしたね」

「そ、そんなことないよー。お姉さんの話わかり易かった!」

 適当に聞いているふりをしていたのだが、流石はベテランだ。
 俺が話を聞いていないと見切ってしまった。
 此処は子供らしさを出しつつさらっとお姉さんの事を褒めるのがベストだ。
 伊達に数年間子供をやってきていない……。

「あら、そうですか。それは嬉しいですね」

 ニッコリと可愛い笑みを作って見せる受付嬢。
 会話もスラスラと出来てしっかりと笑顔もつくることが出来る。
 普通の事なのかもしれないが俺は凄いことだと思う。

「これがお二人のギルドカードになります」

 完成したプレートを受け取り、
 一応間違いなどがないかを確認する為に目を通してみる。

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ソラ
6
人間
G
=========
=========
ポチ
18
人間
G
=========

 相変わらずシンプルなギルドカードだ。わかり易くて良いんだけど。
 それにしても改めてプレートに書かれると何だか俺たち何方ともペットの名前みたいだな。
 ポチは初めての経験に目を輝かしてプレートを見つめていた。可愛い。

「ちなみにもうすぐパレードが開かれるので、行ってみると良いですよ」

「うむ、そのつもりだ」

 そういうとポチはテクテクとカウンターから離れて行った。
 俺は受付嬢にペコリと頭を下げてから急いでポチの後を追う。
 最初は痛い程視線が降り注いでいたが、今ではちらほらといる程度だ。
 冒険者ギルドを出て勇者パレードが行われる予定の広場に行くと、
 既に人だかりができており、チビには非常に厳しい環境になっていた。

 わぁーと歓声が上がりだしたのだが、前が全く見えないため何が起こっているか分からないが、
 恐らく勇者パレードが始まり勇者様が現れたのだろう。
 今日ほどこの身長を憎いと思った日は無いかもしれないかもしれない。
 ピョンピョンとジャンプをしてみるが、当然見える訳がなく――

「わ!」

 急に視線が高くなり視界が開けた。
 ステージが設置されており、その上に三人の勇者らしい人物と
 複数の兵士と偉そうな人が一人、そして異質な存在を放っているのが
 縛られて兵士に連れられている謎の人物。

「これで満足か?」

 悲しい気持ちになっている俺の事を軽々と持ち上げ肩車をしてくれた
 神の様な存在のポチ様がそう聞いてきた。

「うん、大満足!」

『それにしてもあんなのが勇者なのか、頼りなさそうな奴ばかりだ』

「まぁ、そういうなって」

 今日、この世界に呼ばれたばかりなら当然だろう。
 そんな事を思いつつ魔眼を発動し勇者のステータスを見てみる。
 まずは左端にいる少し身長が高く、顔が平たく、
 おでこに二つの黒子があるのが特徴の少年からだ。

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キムラ マコト

Lv1
体力:10,000
魔力:5,000
攻撃力:1,000
防御力:2,000
素早さ:500
運:50

言語理解Lv1
少しの言語なら理解でき、読み書き出来る。

苦痛は快感へペインプレジャーLvMAX
痛みや苦しみが快感になり、防御力がかなり上がる。

被虐性欲壁マゾヒストウォールLvMAX
一部が活性化する代わりに盾を発動し、防御力がかなり上がる。

真の勇者LvMAX
勇者の中の勇者。強いですよ。

この人はあれです。M男と言われる奴ですね。
非常に気持ち悪いと思うのですが、敵に回すと結構厄介だと思います。
一体何が彼をこんなM男に変えてしまったのか興味がありますね
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 魔眼よ、確かにそれが気になるが、ステータスは何時からお前の感想欄になったんだよ!

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良いじゃないですか、ほら次行きますよ
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 次は、M男の隣にいる見ているのが眩しい程のイケメンフェイスの少年だ。
 明らかに勇者になるべくして生まれてきましたと言った感じだ。

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ケンドウ タツノスケ

Lv1
体力:5,000
魔力:5,000
攻撃力:2,000
防御力:3,000
素早さ:1,000
運:77

言語理解Lv1
少しの言語なら理解でき、読み書き出来る。

柔道叩きノ介ジュウドウタタキノスケLvMAX
どんな攻撃を受けても必ず受け身を取りながら倒れる。
発動時に防御力がかなり上昇。

完璧運動男パーフェクトスポーツマンLvMAX
どんな運動でも完璧にこなしてしまう(剣道以外)
常時発動

真の勇者LvMAX
勇者の中の勇者。強いですよ。

ケンドウ タツノスケ マル
ケンドウ ハ デキマセン マル
ナマエ サギ デスネ マル
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 最後は唯一の女。
 名前詐欺イケメンの後に続いてこれもまた美少女。
 眠たそうな眼つきに可愛らしいツインテール。
 シミ一つなく真っ白な肌、まるで人形の様な少女だ。

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ミズノ シズカ

Lv1
体力:3,000
魔力:10,000
攻撃力:100
防御力:1,000
素早さ:300
運:70

言語理解Lv1
少しの言語なら理解でき、読み書き出来る。

眠りを妨げる者は――スリープヒンダァマッサークルLvMAX
邪魔する者は――。

眠たいネムタイLvMAX
常に眠たい代わりに魔力が常時回復していく。

真の勇者LvMAX
勇者の中の勇者。強いですよ。

そうやって眠たい眠たいと怠けてばかりいたら
近い将来に絶対ブクブクと太っていきますよ。
はっはっは。
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 以上が真の勇者と言われるものたちのステータスだ。
 全体的に癖の強い奴らだが確かに真の勇者と呼ばれる程強い。
 俺の初期ステータスなんて……くそ、思い出したら腹立ってきた!

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やーい、雑魚~やーい――そんな事よりも
あの異質な存在感を放っているのを確認しましょう
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 くっ、この魔眼!最近調子に乗ってないか?

 後で絶対叱ってやると思いつつも異質な存在を放っている
 捕虜らしい人物のステータスを見る。

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――

Lv――

――LvMAX


大魔王達によって作られた人形。
死をトリガーに大爆発を起こしますね。
その規模はなんとこの国が軽く吹き飛ぶぐらいですかね~
わぁ、大変!どうしましょうか。
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「……」

 どうやら俺がいない間に、
 この世界の大魔王はとんでもない事をやらかそうと考えていたらしい。

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