勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

コロッセオ擬き

 過去の自分にダメージを負わされると言う
 かなりの遅延がある自傷行為を体験して色々とボロボロになりながら
 食事と片づけを済ませてアルデンに向かう準備をする。
 準備と言うのは着替えと先ほど話題に出ていた仮面だ。

 ポチに作ってもらった特性執事服をわくわくしながら着る。
 サイズはピッタリで物凄く着心地が良い。
 ふわふわに包まれている気分だ。
 非常に動きやすく何よりも軽い。

 後まだ洗濯していないはずだが、
 もの凄く良い香りがして心が落ち着く。
 流石はポチだ、何も言わなくても最高の物を作ってくれる!
 後で沢山モフモフしてやろう。

 俺がそんな事で盛り上がっている内に
 ポチは前回俺と一緒に買い物いった際に買った服に着替えていた。
 此処でも流石はポチで何時見ても似合っている。
 着替えを済ませてエキサラ達がいるところへ向かう。

「ほれ、仮面じゃ」

 エキサラから手渡されたのは本当に先ほど言っていた通りの仮面だ。
 視界と呼吸を確保する穴だけが空いており後は真っ白な面だ。
 糸も何も付いていないシンプルな仮面だ。
 触り心地はツルツルとしていて意外と気持ちいい。

「これどうやってつけるんだ?」

 大人の姿に擬人化しているポチが仮面を眺めながら
 そんな事を疑問を呟いた。

「あー、たしかに」

 ツルツルで糸など何も付いていない為、
 仮面を顔に付けたとしてもそれを固定する物が無い。

「顔に付けると自動的に固定されるのじゃ」

「え、ナニソレ怖い……うぉ、本当だ」

 メイド服の件があったばかりなので
 取れなくなったりしないのかと言う心配をしつつ
 仮面を顔にはめてみると、キュッと仮面が縮まり
 顔面にフィットした。

「あっ、外れる」

 一番の心配だった取り外しだが、
 すんなりと外れてくれた。

「何を心配しておるのじゃ、妾はそこまで鬼じゃないのじゃぞ」

「メイド服の事忘れたとは言わせないぞ。
 あれから二人に対する信用度は半分ぐらいだからな!」

 ゼロでは無いぞ、半分だ。
 幾らこの二人が俺に酷い事をしようとゼロになる日はこないだろう。
 それほど二人は命の恩人であり俺にとって大切な存在だ。

「何か余り仮面を付けてる感じしないね」

「そうだな、これなら気にせず戦えそうだ」

 顔面フィット効果のお陰だろうか、
 仮面を付けている気が全くしなく気が散る事無く
 他の何かに集中することが出来そうだ。
 流石はご主人様、見た目は地味な仮面だが性能は最高だ。
 ……一体どこで仕入れてくるのだろうか、今度聞いてみよう。

 全員が仮面を付け終えエキサラの近くに集合し、
 転移を使って一瞬でアルデン付近に移動する。
 まず転移してやることは周りに人が居ないか確認する事だ。
 転移魔法を使える人材が少ない為、見つかると、
 珍しがられ、目立ってしまうと面倒だかららしい。

 確認を済ませ、何事も無かったかのようにアルデンへ足を踏み入れる。
 明らかに周りからは変な目で見られ痛い程視線が伝わってくる。
 子供の姿の二人大人の姿二人が仮面を被って堂々と歩いているんだ。
 これから何か見世物でもするのかと注目する人や
 ただたんに危険視している人もいるのだろう。

 そんな事を気にしている間に人混みの中へ侵入。
 波に揉まれて逸れてしまわない様に四人でしっかりと手を繋いでいる。
 ポチがもう少し男っぽい姿に擬人化してくれれば
 完全に親子に見えるだろう。仮面を付けている変な親子。

 人混みを抜け暫く歩くと何処か既視感のある建物に辿り着いた。
 彼方の世界でも何度かお世話になり地球にもあった様な建物。
 石作りの美しいアーチ型並んでいて数階建ての建物。
 コロッセオ擬きだ。

 商店街程では無いが此処も結構込んでいる。
 殆どの人物が軽く武装をしていることから
 此処に集まっているのは全員闘技大会に参加する者か、只の戦士かだ。
 がたいの良い人からひょろひょろな人まで様々だ。
 中でも気になったのが俺と同様に奴隷の首輪を付けている人の数だ。

 格好も豊かな物とは言えなくボロボロになった装備を身に着けている。
 肌もボロボロになっておりとてもじゃないが健康体とは言えない。
 そんな奴隷の中にも貴族匂がする格好の奴もいる。
 良い主人に拾われた奴隷とそうでない奴隷が一目見てわかる。

「なんだかなぁ」

「気にするな、何時の時代にも見る光景だ」

「うん……」

 俺の気持ちを察してかポチが励ましの言葉を掛けてくれたが、
 やはりそう簡単には納得することが出来ない。
 奴隷制度が無い所で生まれて育ってきたから、そういう感情を抱くだけであり、
 生まれながら奴隷制度がある所で育ってきたらこういった感情はなくなってしまうのではないだろうか。
 人は生まれながら誰かに洗脳されると聞いたことはあるが、こういう事なのだろうか。

「勇者になれなかった俺は異世界で」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

  • ラノベ大好きサムライ

    ブ○ーチみたいなねw

    1
  • ヒグピー

    こーね、どこぞのホロウの仮面みたいに顔に手を掛けると
    着くみたいにね?

    1
コメントを書く