勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

戦いに向けて

「どうじゃ!?楽しみじゃろう?」

「うん!最近暴れてなかったからすっごく楽しみだよ!」

「……」

 エキサラが食事中に爺との会話の内容を明かし、
 二人して興奮し盛り上がっていた。
 一方俺の方はそんなに盛り上がってはいなかった。
 幾ら大魔王の加護が戻って殺傷に抵抗を感じなくなったとは言え、
 そこまで自分から喜んで殺戮を行う程好戦的にはなっていないのだ。

 だが、今回の場合は巻き込まれる可能性が大という事で
 過剰防衛過ぎる気もするが全力で戦う事にする――が、一つだけ気になる事がある。

「どうしたんだいソラ君?考え事かい?」

「んーまぁな」

 少しだけ考え事をしていると表情に出ていたらしく、
 ヘリムが顔を覗き込むようにして聞いて来た。
 考え事と言うのは、大賢者田中の事だ。
 何故このタイミングでそのことを考えているかと言うと、

 エキサラが言うにはこれから戦いは世界大戦規模になるらしい。
 世界のあらゆるところが戦地となり破壊されるだろう。
 それに乗じて序列を上げる種族も少なくはないと考える。
 そんな滅茶苦茶な状態になっていしまえば
 当然数年後の罪人公開は当然中止になってしまうだろう。

 そうなってしまえば仕方が無いとはいえ
 ロウォイとの約束を果たせなくなってしまう。
 先に与えられたものが感謝しても仕切れない程
 かなり大きい為それだけは避けたい。

 ソラもそれに乗じて大賢者とやらを攫えば良いだろ

 ああ!それだ!!――ってポチっ!?ポチナンデ!!

 ポチの声が急に飛び込んできて普通に
 良い案だと肯定してしまったが、
 冷静に考えてみるとポチの上に乗っていないのにも関わらず
 ポチは俺の心を読み良案を出してきたのだ。

 現在ポチは人の姿になり皆と食事を楽しんでいる。
 其れなのにも関わらず心を読むとは一体どういう事だ。

 一度魔力を繋いだら解除するまで繋がっているぞ
 てっきり分かっているかと思ったがこの前のは無意識だったか。

 えぇ、それって騎乗って名前詐欺になるじゃん……

 騎乗を使えばどんなことがあってもポチから落ちる事は無く、
 お互いの思考が伝わってくる。それが騎乗だと思っていたが、
 実際はもっと幅広い効果があったらしく、
 ポチから降りた状態でもお互いの思考が分かるらしい。

 これからは容易く変な事を考えない様にしよう。
 ポチに俺の性癖がバレてしまう。

 それは少し興味あるな……

 興味持たんで良い。それよりも良い案ありがとなポチ!

 ポチのお陰で考えていた事が簡単に解決した。
 戦争によって混乱するのを利用してその間に大賢者田中を攫う。
 それならば俺が犯人だとバレる事は無く通常よりスムーズに進む。
 その後はロウォイに任せて俺はエキサラ達と共に暴れる。
 完璧な計画だ!後で骸骨さんをつかってロウォイに知らせよう。

「おっ、解決したんだね」

「おお、良く分かったな流石だ」

 まだ何も発していなかったがヘリムが笑顔で当てられてしまい、
 俺ってそんなに顔に出るタイプなのかなと少し不安になる。

「何を考えていたのかのう?」

「あ、いつも通りのご主人様だ」

「む?」

 この場でヘリムと共感した為興奮が収まったのだろう、
 頭の可笑しいエキサラは姿を消しいつも通りの幼いばあさんがそこにはいた。

「えっと、前に俺の力を取り戻してくれた
 エクスマキナのロウォイっていただろ?
 その時の約束として俺はある人を助けないと行けなくてな、
 だが、少し厄介な所に捕まっていて助けるのが面倒だったが、
 折角だしその戦いに乗じて助けてやろうと言う事を考えてたんだよ」

 う~ん、自分でいうのもあれだが本当に説明下手くそだな!

「なるほどのう、手伝った方が良いかのう?」

「いや、ご主人様達は思う存分に暴れてくれ」

 ヘリム達が思いっきり暴れれば暴れる程
 被害は拡大して良き混乱も拡大して行く。
 二人は楽しくて周りには大迷惑で気が気でくなる。
 そして俺はその間に大賢者田中を攫ってくる。

「うむ、ソラがそういうのならば思う存分暴れるのじゃ!
 くはははははははははははははははは!!」

「でも、何かあったら直ぐ僕を呼ぶんだよ?」

 再び狂ったように高笑いをするエキサラと
 少し心配症のヘリムが冷静にそういってくる。

「それは問題ない。何かドジをしても我が何が何でもソラを守る」

「それは頼もしいね、無いと思うけどソラ君にもしもの事があったら
 僕、この世界壊すからね?」

 頼もしい事を言ってくれるポチと物騒な事を言うヘリム。
 何方にしても俺の事を心配しての事なので素直にうれしい。

「なぁ、ご主人様よ大体どれぐらいでその戦いは起きると思う?」

 改めて心配してくれていると思うと思わず照れてしまい
 照れ隠しとして話を変える。

「うーむ、序列上位が同盟を組むほどなのじゃ、
 慎重に準備を進めてから仕掛けると思うからのう、
 早くて一年後って所かのう」

「一年後か……なら、まだまだ強くなる時間はあるってことか」

 一年もあの鬼メニューをやっていけば確実に強くなる。
 そうすればエキサラ達に後れを取らない程暴れる様になれる。
 と言ってもそこまで暴れる気はないのだが、一応視野に入れておく。

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コメント

  • ノベルバユーザー201704

    これ以上強くなったらほんとやべー

    0
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