勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

あのエロ同人みたいに

「ほれ」

 鍵を開けて中に入ってきたロリババア様が、
 未だに床に座り込んでいる俺に向って
 手を差し伸べて来た。

 身長は大体俺より少し高い位だが、
 今目の前に立ってるロリババ様は物凄く大きく見える。

「どうも。」

 差し伸べられた手を掴み、
 引っ張られ、目の前に立つと
 やはりロリババア様と俺の身長は大して変わりなく、
 ほんの少しだけ俺の方が小さかった。

「くはは、お主小さいのう。」

 ロリババアは物凄いドヤ顔でそう言い、
 頭をペコペコ叩いてきた。

 こいつ、さっきの邪悪な笑みは
 こういう事だったのかよ。
 俺の事を買ってくれた事は凄く感謝してるけど、
 凄くムカつくな。

「ん、どうしたのじゃ?」

 ロリババア様は間近で俺の顔を不思議そうに見てきた。

「別――」

「そうか、そうか!
 まぁ、気にするでない!
 身長何てその内伸びるものじゃ!」

 俺が「別に何でもない」と言おうとしたが
 ロリ様が言葉を遮り、肩をポンポンと叩いてきた。

 普段の俺なら色々と言い返したい所だったが、
 このババアが言うと何だか悲しくなって来たので何も言わない事にした。

 それに、一応俺は奴隷だからな。
 あまり反抗的な態度は取らない方が良いよな。
 言葉遣いも気を付けるとするか。

「何だその可哀そうな者を見る様な目は!
 ……まぁ、良い。取り敢えず此処から出るのじゃ。
 こんな居心地の悪い所に長居はしたくないからのう。」

「分かっ――りました。」

 ロリババアに続いて外に向う途中、
 牢屋を見ながら歩いてたが、やはりどの子も
 生きた目をしていなかった。

 俺はそれを横目で見つつ、
 意外と歩くのが早いババアに置いて行かれない様に
 少し急ぎながらついて行った。

「っ!」

 外に出た俺は久しぶりの日の光を浴び、
 目が潰れそうになった。

「どうしたのじゃ?」

 大げさに目を押さえてる俺を見かねて
 ロリババアが声を掛けてくれた。

「久しぶりの外だか――なので、眩しくて……。」

 何時もの癖で言葉遣いが……

「ああ、そうじゃったのう。
 すまぬな、気付かなくて。
 所でお主――無理に言葉遣いを直さなくても良いぞ。
 寧ろ、妾としては砕けた感じの方が会話しやすいのじゃ。」

 俺的には頑張って言葉遣いを気を付けていたが、
 やはり、慣れない事はやるべきじゃなく
 違和感が生まれてしまいロリババアに気付かれた。

「分かった。」

 中々良い奴に買われたな……
 言葉遣いがなってない!とか言って殴られたらどうしようかと思ったが、
 このロリババアならそんな事はなさそうだ。

 そんな事を思いながら、
 目を徐々に開け、日の光に慣らし始めた。

「なぁ、お主。」

「ん?」

「お主の名前は何と言うのじゃ?」

 ああ、まだお互い名前すら知らなかったな。

「ソラだ。」

「ソラ……か。変な名前じゃ」

「言うな、で、あんたの名前は?」

「あんたとは口の利き方がなってないのう。
 ご主人様とよべ。」

 ロリババアはそう良い、
 仁王立ちで俺の前に立ち、
 ゴホンと咳払いをし偉そうな顔で

「妾の名前はエキサラと言うのじゃ!!」

 何故自分の名前を名乗るだけなのにも関わらず、
 此処まで偉そうに言っているのか理解できないが、
 取り敢えず拍手を送ろう。

「うむ、良い心がげじゃ。
 互いの名も知れた事じゃ、次は――」

 エキサラは途中まで良い掛け言葉を飲み込み、
 俺の体をジロジロ見てきた。

「そんな恰好をしてて恥ずかしくないのかのう。」

「え?恰好……あっ!」

 やばい、恰好の事すっかり忘れてた!
 今の俺って布切れを纏っただけで、
 体の彼方此方が露出してるんだった!

「物凄く恥ずかしい。」

「じゃろうな。
 ほれ、どんな服が欲しいか言ってみるが良い。」

 お、買ってくるのか!
 意外とやさしいな。
 ……でも服か、
 言われると何も出てこないな。

「ん~」

「さっさと決めんかのう。」

 中々決められなく、悩んでいると
 エキサラが「ええい!もう妾が決めてやろう!」と言いだした。

「おっ、じゃあ頼む。」

「うむ、ちと待つが良い。」

 エキサラはそう言って右手を何もない空中に突き出した。
 右手を動かし何かを探してる素振りをしてる。

「おっ、あったあった。」

「何が。」

「よっこいしょ」

 エキサラは何もない所から服を取り出した。
 右手の近くの空間が少し歪み、そこから服を引っ張り出したのだ。

 うお、凄いな。
 この世界はこんな魔法もあるのか。
 知らなかった。

「ほれ、ソラの服じゃ。」

「ああ、どうも。」

 エキサラから渡された服は全身が黒く襟が灰色の執事服上下と
 真っ白なワイシャツだ。

「これはエキサラの趣味か?」

「うむ、執事服は妾の理想の服装じゃ
 それと妾の事はご主人様と呼ぶのじゃ。」

 よほどご主人様と呼ばれたいんだろうか、
 頬を膨らましている。

 執事服か、何か堅苦しいから好きじゃないな。
 まぁ、奴隷服よりかは断然マシだけど。
 着替えるか。

「なぁ、エ――ご主人様、
 何処で着替えればいい。」

「うむ、ご主人様じゃ。
 着替えなら此処でも問題無かろう。」

「問題なかろうって……今ノーパンなんだけど?」

 布切れの下はすっぽんぽんだ。

「ノーパン……ああ、パンツを履いていないって事かのう。
 別に問題無かろう?」

「いやいや、問題大あり、ありまくりだ。」

 ヤミ位にしか見られた事が無い俺のエクスカリバーを
 このロリババアに晒せと?
 嫌だね!恥ずかしい!
 あっ、でも体変わってるからヤミは関係ないや。

「なんじゃ、もしかして恥ずかしいのかのう?
 ……これから沢山辱められるんだぞ、お主は。
 羞恥心なんて捨てた方が良いぞ。」

「おい、どういう事だよ!
 辱められるって!」

 おいおい、あのエロ同人みたいにされちゃうのか俺。

「すまぬ、言い方が悪かったのう。
 これからたっぷり可愛がってやるからのう、
 羞恥心なんて捨てた方が良いぞ。」

「どういう事だよ……」

 ダメだこいつ。
 何を言っても此処で着替えさせるつもりだ。
 まぁ、周りには人居ないし、背を向けて着替えれば良いか。

 光に慣れ、周りが見えたが此処は
 路地裏見たいな様で、周りが建物の壁で覆われていて
 人の視線が全くない。
 奴隷を売るならこういう所が最適なんだろう。

「はぁ、背向けて着替えるからこっち来るなよ。」

「心配するでない。
 今は何もせんぞ。」

 今はって言葉が突っかかるけど、
 まぁいいや。

 俺は背を向けて布切れを脱ぎ、
 ワイシャツ、ズボン……の順番で着て行った。
 途中で気が付いたが、
 この執事服の後ろ側の裾が二つに分かれて尖っていた。
 燕尾服だっけ?

「よし、」

 着替えが終わり振り向くと
 そこには、何故か仁王立ちしているエキサラがいた。

「うむ、着替え終わったのう。
 所で、ズボンの下は何も履いてないのかのう?」

「履いてねえよ。お前が出してくれなかったんだろエキサラ!」

 白々しくいって来るエキサラに若干怒りを覚え、
 少し怒鳴った。

「そう起こるではない。
 新た性癖に目覚めたらどうする気じゃ。」

「知らねえよ……」

「着替え終わったことだし、
 ソラよ、お腹は空いてないかのう。」

 さっきパン食べてたの見ただろ!
 まぁ、少し空いてるけど。

「少しだけな。」

「では、食べに行くとするかのう。
 あっ、その布切れは燃やしても構わないのう?」

「ああ、要らない要らない。」

「うむ。」

 そう言ったエキサラの目が一瞬光ったと思ったら、
 隣に落ちていた布切れが激しく燃え、一瞬で消え去った。

「うお、凄いな。」

「くははは、もっと褒めるが良い!」

 詠唱もしないで魔法を発動か……
 やっぱこの世界に付いて詳しく調べて置くべきだったな。

「ほれ、何をしているのじゃ、
 置いて行かれたいのかのう。」

 そんな事を思っていると、いつの間にかに
 先に行ったエキサラがそう言ってきた。

 褒めろって言ったくせに
 先に行くなよな。
 まぁ、褒める気なんて無かったが。

「ああ、今行く。」

・・・・

 路地裏らしき所から出ると、
 何やら賑わっている商店街らしき所に出た。
 色んな出店が出ておりそれを見たり買ったりしてる
 色んな種族の人たち。

 俺とエキサラが
 大勢の人混みに飲まれてしまえば、
 一瞬で見えなくなってしまうだろう。

「凄い……」

 平和だな、これが序列時代か。
 パッと見は良い時代何だけどな……
 良く見ると、全くと言っていいほど人間が居ないんだよな。

 色んな種族が居るが、
 その群衆の中には人間と言う種族は居なかった。
 パッと見じゃ人間そくっりだが、よくよく目を凝らしてみると、
 耳が長かったり猫耳が生えて居たり瞳が蛇の様になっていたり……

「どうしたのじゃ、そんなに凄いかのう?」

「確かに凄いけど……
 全く人間がいないんだなーって。」

「そうじゃのう、人間は殆ど奴隷だからのう。」

「……」

 やっぱり、力のない種族はそうなる運命なのか。
 今更だが本当に救えるのか心配になってきた。

「まぁ、そんなに気に病むでない。
 ソラは妾の所有物じゃ、
 妾が守ってやるからのう。」

 んー、普通俺が言うセリフなんだけどな……
 確かにその通りだが、何か女に言われるって複雑だ。

「ありがとう。」

「うむ、では食べに行くかのう。
 ほれ。」

「?」

 エキサラはそう言って手を差し出してきた。
 俺はその意味が分からず、キョトンとしていると、

「ほれ、早くせんか。
 迷子にならない様に手を繋いでやると言っているのじゃ。」

「ああ!そう言う事。」

 エキサラの手を掴むと、
 早速群衆の中に連れていかれた。
 沢山の人に押され何度も何処かへ流されそうになったが、
 エキサラが手を引っ張ってくれている為、何とか流されずに済んだ。

 良く平然と進めるな。
 と感心しつつ、人混みに揉まれる事数分が経ち、
 やっと人混みから抜ける事が出来た。

「ほれ、着いたのじゃ。」

 木材建築の大きな建物だ。
 紫色で塗装されており、何とも言えない見た目だ。
 扉の上には大きく……

 読めない。
 全く読めないぞ。
 何語だよ……

「何て読むの?」

「なんじゃ、読めないのか。
 デリノウスって書いてあるのじゃ。」

「で、デリノウス?
 ちなみに何語?」

「亜人語じゃ。」

 亜人語……
 やっぱりこの世界の事もっと調べればよかった……

「亜人語、デリノウス……どういう意味なの?」

「知らないのう。」

「ええ……そんな店入って大丈夫なの?」

「安心せい、妾のオススメの店じゃ。
 ほれ、入るぞう。」

 エキサラのオススメ……
 何だろう、期待して良いのか良く分から無いな。

――ギィイ

 と、音を立てて木材で出来ている扉を開けると、
 目の前には何とも言えないあの外見とは裏腹に、
 物凄くお洒落な内装が広がっていた。

 カウンターがあり、窓の近くには机と椅子があり
 全てが木材になっており、自然の色そのままだった。
 明かりは、松明らしい物で照らしていて香りもほんのりとだが森の香りがする。

「おお……」

 外見からは想像できない内装に思わず声を出してしまった。

「どうじゃ、中々良い所じゃろ?」

「正直びっくりだ……てっきり内装も悪趣味なのかと。」

「くははは、妾も初めはそう思っていたのう。
 見かけで判断は良くないって事が良く分かる店じゃのう。」

「おい!テメェ等、
 なーに、人の店に文句つけちゃってくれてんだい!」

 そう言って、
 カウンターから化粧やアクセサリーを沢山付けた化け物が現れた。

 うわ、やばい。
 化粧濃いってレベルじゃねえぞあれは!
 それにアクセサリー付け過ぎてチャラチャラうるせえ。

「何じゃ、折角客として来てやったのにのう。
 そんな態度はなかろう。」

「げっ……」

 エキサラの姿を確認した化け物の顔が一瞬で青くなった。

「げっ、とは失礼じゃのう。
 ほれ、さっさと席にあんないせい。」

 何だろう。
 化け物が若干エキサラの事を恐れてる様に見えるな。

「わ、分かりました。」

 うわ、やっぱり最初と全然態度違うな。
 絶対何かしたな。エキサラ。

「こ、此方の席にどうぞ。」

「うむ。ちなみに注文は前と同じ物を二つ頼むのじゃ。」

「ふ、二つですか。分かりました。」

 化け物に案内された席に座り、
 エキサラは注文をし化け物は急いでカウンターの奥へ消えて行った。

「なんであの人あんなに怯えてるんだ?」

 俺はどうしても気になり、エキサラに聞いてみることにした。

「妾が初めて此処に来た時にじゃな、あやつが妾の事を餓鬼扱いしよったのじゃ。
 この後は言わなくても分かるのう?」

 エキサラはそう言ってニッコリと笑って来た。

 うわ、笑顔が怖いな。
 なるほど、あの化け物はエキサラにボコボコにされたと。

「何となく。」

「ちなみに、あのチャラチャラは妾が無理矢理付けたのじゃ。
 どうじゃ、聞きたいかのう?」

「い、いや遠慮しておく。」

 無理矢理付けたって……
 考えただけで恐ろしいな。
 これからは絶対チビとか言わないで置こう。

「お、お待たせしました。」

 エキサラと話していると、意外と早く料理を持ってきてくれた。
 料理を置くと、化け物は颯爽とカウンターに消えて行った。

 料理はあの化け物が作ったとは思えないほど
 美味しそうな料理、サンドイッチらしきものだ。

「ほら、食べるが良い。」

「いただきます。」

 ぱくりと一口食べると、
 やはりサンドイッチだった。
 野菜と卵が入った卵サンドだ。

「美味しいかのう?」

「うん。美味しい。」

 この世界にもあるんだな、サンドイッチ。

・・・・

 サンドイッチを食べ、店からでると、

「さて、妾の家に帰るとするかのう。
 ソラよ、妾の手を掴むのじゃ。」

「ほい。」

 また人混みの中に入るから手を繋ぐのかと思い、
 手を掴んだが、その予想は外れた。

「では、行くとするかのう。」

「っ!」

 いきなり空間が歪み、不思議に思いそれを見ていると、
 いつの間にかに空間に吸い込まれ、眩い光に目を閉じ、
 少しして目を開けると、そこには――

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