勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

幼女と風呂とソラ

 ヤミが仲間になってから数日間後、やっと森を抜け出す事が出来た。
 途中、何度かモンスターが襲ってきたが、
 ヤミによって一瞬で消滅させられていたので一度も傷を負うことなく森を抜け出せた。

 本当は、新しいスキル重力操作を使ってみたかったが諦め、
 仕方なくスキルの呼び名を考えていた。

 まずは魔眼。
 これの呼び名を魔眼フルヴュー・アイズと呼ぶ事にした。
 ステータスが丸見えって事でフルヴューにした。
 特にこだわりはない。

 身体強化。
 これの呼び名を身体強化リインフォースメント・ボディと呼ぶ事にした。
 特にこだわりはない。

 闇魔法。
 これの呼び名を闇魔法ダークネス・ソーサリーと呼ぶ事にした。
 特にこだわりはない。

 重力操作。
 これの呼び名を重力操作グラビティ・コントロールと呼ぶ事にした。
 特にこだわりはない。

 と、まあ。こんな感じになった。

・・・・

 森を抜けると、また草原が広がっておりそこはモンスターが一匹も出現しない安全地帯になっている。
 この草原を抜けるとボールゴア王国に着くので、
 後二日もあればきっと着くだろう。

 本当なら、最低三週間掛かるはずだったが、
 此処までたったの七日しか掛かっていない。
 本来であれば森を抜け出すので十日位掛かるはずだ。

 だが、俺達はその森をたったの三日で抜けてきた。
 それは恐らく、いや、間違い無くヤミのおかげだ。

 ヤミがモンスターを一瞬で消滅させていたので、
 戦闘を行う事無くスムーズに進む事が出来た。
 結果、たったの三日で着いた。

「ますた、とおくからひとがきます。」

 そんな事を考えていると、ヤミが話し掛けてきた。

「そんな事がわかるのか。」

 俺には全く分からないぞ……
 この子凄いなぁ。

「はい。にふんご、すがたがみえます。」

 俺は別に接触しても問題ないと思ったので、
 隠れも逃げもしないで、そのまま真っ直ぐ進み続けた。

 すると、ヤミの言った通り約二分後、人影が見えた。

 本当に来たよ。
 馬車が一台。御者が一人、馬車の周りに4人……

 馬車と言っても引いている動物は馬では無く、
 バロホと言うモンスターだ。
 見た目は馬そっくりだが、中身は全然違う。

   4人は一人一人違う装備だったが、一つだけ共通点があった。
 それは、4人共血がついている事だ。
 傷がある訳ではなかったので、恐らく返り血だろう。

 俺はそれに気付き、何時でも武器を出せる様にして警戒した。

 もしあの返り血が人の血だったらどうしよう。
 チビッチャイソウだ。

 そんな事を心の中で呟きながら、歩き続けた。
 そして、そいつ等との距離が10m位になった時

――ボウッ!

「なっ!?」

 突然一人がファイアを飛ばして来た。
 俺は咄嗟に避けようと――する必要は無く
 そのファイアは俺達に辿り着く前にヤミの漆黒の炎によって消滅した。

「危なかった……ヤミありがとな。」

「うん!」

 奇襲に失敗して、4人は戸惑っていた。
 奇襲に失敗するとは思わなかったのだろう。
 すると、御者が此方に向かって叫び出した。

「貴様っ!命が欲しければ身に着けている物と女を置いていくんだな!」

「えぇ?女……ってまさかあんたこんな小さな女の子を
 ……趣味悪いぜ。」

「さいてー」

「なんだと!覚悟しろ!」

 奇襲が失敗したのにもかかわらず良くそんな事が言えるな。
 てか、重力操作グラビティ・コントロールを使うチャンスじゃね!?

 俺はやっとスキルが試せると思うと、自然とニヤけていた。
 それを見た、御者が「何をニヤけている!……答えろ!」と叫んできた。

 だが、俺には答える気なんて無い。そして、厨二全開でスキルを発動した。

「我は、世界の理を破壊し、法則を否定する!
 重力操作グラビティ・コントロール

「なにを言って――っ!?」

 突然、馬車を中心に3mほどのクレーターが出来た。
 これが重力操作グラビティ・コントロールの力。
 重力を自由自在に操る。

 重力操作グラビティ・コントロールを受けた4人と御者は地面に倒れこみ、気絶していた。
 そして俺は中に何が入っているのだろうと思い、
 半分潰れた馬車に近づき無理矢理ドアを開けた、

 するとそこには大量の武器などがあった
 。恐らく、奪い取った武器だろう。
 そう思いつつ馬車の中に気絶した4人と御者を入れ、
 出れないようにドアを重力操作グラビティ・コントロールを歪ませた。

「良し良し、これで――おっ?」

 バロホには意識があったので、そのバロホを借りてボールゴア王国に行くことにした。

 だが、バロホもクレーターにいたので、
 重力操作グラビティ・コントロールで浮かせて地上に上げる事にした。

 そして、バロホに乗った。
 俺にはバロホに乗った経験はなかったが、
 エリルスの記憶のおかげで乗り方などはわかっていた。

 流石にバロホに乗って移動すると肩にいるスラが落ちそうな気がしたので、後ろに乗っているヤミに預ける事にした。

「ヤミ、こいつを預けよう。こいつの名はスラと言う。
 俺達の仲間だ仲良くしてやってくれ。」

「ますたのなかま……よろしくね。」

 ヤミにスラを預け、バロホでボールゴア王国を目指した。
 バロホで移動したおかげで、
 二日掛かる予定だったが何とか夜にボールゴア王国に着く事が出来た。

「ここまでありがとな。」

「ばいばい」

 ボールゴア王国に入る前にバロホを野生に返した。

 ボールゴア王国はネルガ王国とは違い、
 出入り口の門は存在するが門兵は居ない。

 此処は色々な国の人が着て商売をしてる国らしい。

 ボールゴア王国に入るともう夜なのにも関わらず、活気で溢れていた。
 店の前で人を呼んでいるお兄さん、
 酒で酔って他人に助けられているおっさん、
 男と手を繋いでいる女……くっ、リア充爆発しろ!

 人混みの中、俺はリア充が羨ましくて――違う、
 逸れない様にヤミの手を握って宿を探した。

 探す事数十分、【ラブリー】と言う名の宿屋を発見した。
 流石に俺は幼女と【ラブリー】とか言う危険な宿屋に行く度胸は無かったので、他の宿を探す事にした。

 その後も色々な宿を発見したがどれも危険な匂いがしたので、
 もう諦めようかと思っていた時

「あ、あった!!」

 ついに見つけた。【宿屋】と言う名の宿を。

 俺はここだ!と思い、【宿屋】に入った。
 宿に入ると、猫耳の女性が「いらっしゃい!」と言ってきた。

 うおっう、猫耳……
 猫耳が生えているということは、あの女性の種族は獣人ビーストか。

 俺はリアルで初めて見た猫耳に感動しながら空いてる部屋はあるか聞いた。

「ありますよ、二部屋ですか?」

「ああ――

「だめ、ひとへや。」

「えぇ!何でだよ。」

「ひとへやがいい!」

 ヤミはそう言ってムスーとした表情で此方を見て来て
 俺は引きそうにないヤミを見て仕方なく一部屋にすることにした。

「一部屋で。」

「ふふ、仲がいいですね。一部屋ですね、わかりました。」

 猫耳ちゃんから部屋の場所を聞き、鍵を受け取って部屋に向かった。
 部屋の中に入りベッドの上に座り、
 魔石の個数を確認した後に三日間風呂に入っていなかったので風呂に入る事にした。

「スラと一緒に風呂に入ってくる。」

「ん。」

 ヤミにそう伝え、スラと一緒に風呂に入った。 
 スラの事を突っ突きながらお湯に浸かり、
 幸せな気分になっていると、

 ドアが勢い良く開けられ、ヤミが素っ裸で入ってきた。

「キャアアッ、エッチ!」

 俺は女の子の様な叫び声を上げてヤミに背を向けた。
 ヤミはドアを静かに閉め、ゆっくりと浴槽の中に入ってきた。

 ちょっと、この子何してんの!?
 しかも入って来ちゃったよ!
 どうすんのこれ

 俺は心の中で叫んでいると、ヤミが体を突っ突いてきた。

「ますた、どうしたの?」

「んん!?大丈夫、大丈夫。」

「……あやしい、ちゃんとこっちみて!」

「えぇ!?ちょっ!」

 ヤミは俺の頭を掴み、無理やり向かせた。そして――

――プニッ

 俺の顔が何やら柔らかい物に触れた。

 何だこの柔らかい物は……
 まさか……

 と思いつつ俺は恐る恐る目を開けた。
 すると目の前にはふっくらと丁度良い大きさ膨らんだ――

 スラがいた。
 スラは俺が困っていると察して咄嗟に間に飛び込んだのだろう。
 そしてスラはヤミの体と俺の顔の間に挟まり、俺を守った。

 うぉおお、救世主スラよ、ありがとう!

 俺はスラに心の底から礼を言った。(心の中で)

 俺はスラの事を自分の目の高さに合わせながら持った。

「大丈夫。ちょっとスラと遊んでいるだけだよ。なっ、スラ!」

「……ずるい、わたしもっ!」

「え?ちょ、まて!やめろおおおお」

 ヤミは俺に飛びついた。
 俺の手は今、目を隠すためにスラを持っていたので、
 ヤミを止めることが出来なかった。

 俺はヤミに抱きつかれ色々な物が当たり、
 俺は顔を真っ赤にしながら、必死にエクスカリバーを抑えていた。

 耐えるんだ!落ちつけ、
 そうだ。落ち着くんだ。

「あの~ヤミ?離れてくれないかな?」

「いや。」

 ヤミはそう言いながら、体を揺さぶってきた。

 やめてくれ!擦り付けないでくれぇ!
 やばいっ

「ヤミ!明日の夜なら遊べるから今日はやめてくれ!
 頼む。いや、お願いします。」

 俺は咄嗟に思いついた事を口にした。

「……ぜったいね。」

「はい。」

「わかった。」

 ヤミがやっと離れてくれ、俺は安心して、ふぅ~と息を吐いた。
 そして、とある事を思いついた
 ――そうだ、スラにヤミの大事な場所を隠してもらおう!――と。

 早速、俺はスライム語でスラだけに聞こえるように小声で呟いた。

「スラ、お願いだ。ヤミの大事な部分を隠してくれ。」

 すると、スラは俺の手からスルッと抜けてヤミの胸の近くにくっついた。
 ヤミはスラの事を不思議そうに見ていたが直ぐに目を逸らし俺の方を見てきた。

「ふぅ、俺はそろそろあがるな。」

「うん、じゃあわたしも」

「そうか。」

 俺はヤミを先にあがらせ、
 ヤミが着替え終わりスラが戻ってきてからあがった。

・・・・

 風呂からあがり、今日は慣れない馬に乗り疲れていたので、
 今日はもう寝る事にした。
 当然ベッドは一つしかないのでヤミと一緒のベッドだ。

 俺はスラをヤミとの間に挟むようにしてベッドに入った。

「おやすみ。」

「おやすみ。」

 あっ、そうだ。
 ステータス確認しておくか。

=============
名前:ソラ=バーゼルド
年齢:15
種族:人間
レベル:28

体力:580
魔力:600
攻撃力:82
防御力:420
素早さ:58
運:18

スキル
魔眼:LvMAX
身体強化:LvMAX
闇魔法:LvMAX
重力操作:LvMAX

能力
大魔王の加護:Lv MAX

称号
大魔王の弟子
=============

 レベルが28か、結構あがったな。
 でもこれでもクラスメイト勇者には追いついてないんだよな。

 そんな事を心の中で呟きながら、
 魔眼を発動してスラのステータスも確認した。

=================================
オリジナルスライム

Lv12
2400/2400
2200/2200
スキル

言語理解LvMAX
スライム言語を理解するスキル。

ファイアLvMAX
魔力を50消費して炎を出すスキル。
威力は弱いが使い方次第ではかなり強くなる。


稀に現れる中立モンスター。
生まれながら魔力が高い。
ソラのペット。
名前はスラ。
スラ自身はとてもこの名前を気に入っている。
ソラの肩に乗って移動する事が大好き。
新しい仲間が増えて嬉しい。
==================================

 さすがにあまりあがってないか、
 そうだよな殆どヤミが倒したからな。

 スラのステータスの確認を終え、俺は眠りについた。

 翌日、俺は朝早くからヤミに起こされ、
 若干寝不足だったが準備を終わらせ早速、転移装置ゲートに向かった。

 転移装置ゲートとは使用者の魔力を消費して転移させてくれる装置だ。
 特定のエリアにしか飛ぶことが出来ないが特定のエリア内なら指定して飛ぶことが出来る。

 俺達は転移装置ゲートに着き早速、
 魔力を消費させデッゴス火山に転移した。

 彼方此方からマグマが噴き出し、
 どこを見ても赤い。
 足場までが赤い岩で出来ていた。

「ここがデッゴス火山か、ってあっつ!」

「ますた、しんたいきょうかつかえばいいよ。」

「そうなのか。じゃあ
 ――我は人間の限界を超える!身体強化リインフォースメント・ボディ


 俺はこんなに暑い中でもしっかりと厨二全開でスキルを発動した。
 体全体に身体強化リインフォースメント・ボディを掛けると、
 今までの暑さが嘘だったかのように周りが心地良い暑さになった。

「おお、これ便利だな。そういえばヤミは暑くないの?」

 俺は平然としているヤミを見て不思議に思ったのでそう聞いてみた。

「うん、そういうのきかない。」

「すごいな……」

 ちなみにスライムは基本的にどんな温度でも生きていけるのでこんな暑さでも無事だ。

 

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コメント

  • おかん

    何話かとばしちゃったのかな〜

    0
  • ノベルバユーザー256411

    んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん?

    0
  • コオリ(氷織)

    話が読めない

    2
  • ノベルバユーザー224996

    たしかに、ヤミがどんな姿形なのかも、ストーリーも全くわからん

    2
  • 牙羅守

    急にヤミっていう新しい仲間が増えていてなおかつ魔王城に行く話はどうなったのですか?

    6
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