勇者になれなかった俺は異世界で

倉田フラト

幼女とソラ

 リーザと別れた後俺はスラと魔王城に向かった。
 エリルスの記憶によれば魔王城はディ・ノデルと呼ばれる地の奥にあるらしい。

 此処、ネルガ王国からディ・ノデルに行くには、
 何時もの草原をひたすら真っ直ぐに進むと着くらしい。

 だが、その道中にはケンタウロス、ミノタウロス、グリフォンなどの
 強力なモンスターが出現するため今の俺とスラでは自殺に行くみたいなもの
 なので、他のルートを探す事にした。

 安全かつ最短なルートをエリルスの記憶から探した。
 莫大な記憶の中から、一番安全かつ最短なルートを探すのには
 少し時間が掛かったが何とか見つけることができた。

 一番安全かつ最短なルートは此処からヘルノリア王国に行き、
 そこで食料などを補給し、ボールゴア王国に行く。
 ボールゴア王国には転移装置ゲートが設置されていて、

 それを使いディ・ノデルの近くのデッゴス火山に転移してそこから徒歩でディ・ノデルに行く。

 デッゴス火山にもラドンやイフリートと言った強力なモンスターが出現する
 が、数は少ないらしいので、ばれない様に行けば何とかなる。

 このルートが一番安全かつ最短なルートだ。
 だが、最短と言っても最低でも3週間は掛かる。
 此処からヘルノリア王国に行くのに最低三日。
 ヘルノリア王国からボールゴア王国に行くのに最低十三日。
 デッゴス火山からディ・ノデルに行くのに最低五日。

 中々大変な旅になりそうだが、俺はワクワクしていた。

「これが、選ばれし者に与えられる訓練と言う奴か。」

 そんな事を呟きながら、俺はスラとヘルノリア王国に向けて歩き出した。
 俺はスラの事を肩に乗せ、歩き出してから数時間が経った。
 途中、ゴブリンが現れたが、スラと協力して無傷で倒した。

 夜になると俺かスラの片方が見張りをし、
 もう片方が寝て、数時間経ったら交代し夜を過ごした。

 そんな事を繰り返し、予定通り三日でヘルノリア王国に着いた。
 ヘルノリア王国着き、まず先に宿を探した。
 何故、宿を探すのかと言うと、
 三日間野宿をして風呂に入れなかった事と少し寝不足だったからだ。

 本当は休まずにボールゴア王国を目指すべきなんだろうが、
 風呂とふわふわのベッドの誘惑には勝てない。

 無事宿を探す事が出来、早速風呂に入った。

 あ゛あ゛~とおっさんみたいな声を出し、お湯に浸かった。
 勿論スラも一緒にお湯に浸かった。

 三日ぶりに温かいお湯に浸かって
 幸せな気持ちになりながら俺は道中でモンスターを倒した事を思い出し
 ステータスを確認した。

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名前:ソラ=バーゼルド
年齢:15
種族:人間
レベル:12

体力:250
魔力:260
攻撃力:42
防御力:200
素早さ:42
運:15

スキル
魔眼:LvMAX
身体強化:LvMAX
闇魔法:LvMAX

能力
大魔王の加護:Lv MAX

称号
大魔王の弟子
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「闇魔法?なんだそれは。」

 俺は闇魔法のレベルがMAXになっている事は気にせず、
 闇魔法の効果を知るために魔眼を発動した。

闇魔法:LvMAX
闇属性の魔法を出します。

 うん、わかっていたけどやっぱり雑な説明だね。
 と思いつつも魔眼を発動させたついでだからと思い、
 スラのステータスも確認することにした。


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オリジナルスライム

Lv10
2300/2300
2000/2000
スキル

言語理解LvMAX
スライム言語を理解するスキル。

ファイアLvMAX
魔力を50消費して炎を出すスキル。
威力は弱いが使い方次第ではかなり強くなる。


稀に現れる中立モンスター。
生まれながら魔力が高い。
ソラのペット。
名前はスラ。
スラ自身はとてもこの名前を気に入っている。
ソラの肩に乗って移動する事が大好き。
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「スラもレベルが上がってるな、それにしても体力と魔力高すぎ……」

 スラの体力と魔力の高さに少し驚きつつも、魔眼を解除した。
 それからゆっくりとお湯に浸かって体全体を温め、風呂を出た。

 風呂を出た時の時間はまだ昼位だったが、
 途轍もない睡魔が襲ってきたのでスラと一緒にベッドの中に潜り込み、
 そのまま眠りについた。

 翌日、俺はスラと食べ物を補給してボールゴア王国を目指し歩き出した。
 歩き出すこと数時間、俺とスラの目の前には大きな森があった。

 今までずっと草原を歩いてきたが次からは目の前にある森の中を歩いていかなくてはならない。

 エリルスの記憶によれば、
 この森の中にはゴブリンキングと呼ばれるゴブリンの大きいバージョンがいるらしい。

 大して強くは無いが、皮膚がとても硬く、防御力が高い。
 本来であれば、あまり相手にしたくないモンスターだが、
 俺は戦ってみたいと思っていた。

 その理由は、ただ闇魔法を試してみたいからである。

 俺はワクワクしながら森の中に入った。
 森の中には巨大な木が沢山生えており
 その木のせいで太陽の光があまり入ってこなく、
 ジメジメとしていた。

 暫く歩いていると遠くから『ゴアアッ』と言う叫び声が聞こえてきた。

「何だ?」

 何の叫び声か気になった俺はその叫び声のした方向に向かった。

「っ!?」

 するとそこには、ゴブリンキングがいた――がゴブリンキングはあるモンスターに食べられていた。

 うわぁ、まじかよ。
 本当に居るんだな。

 そのモンスターは、ブタ顔をした巨人。
 すなわちオークだ。
 俺はオークに向けて、ばれない様に魔眼を発動した。

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オーク

Lv18
1200/1500
1000/1000
スキル

なし

凶暴なモンスター。
時には仲間を喰らう事もある。
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「18レベルか、強くも無く弱くも無くて丁度いいな。」

 俺はオークのレベル確認してニヤリと不気味な笑みを浮かべ、
 ゴブリンキングを喰らっているオークに向けて厨二全開で闇魔法を発動した。 

「目覚めよ我が力よ、契約に基づき命じる!
 漆黒の炎を纏いて奴を喰らい尽くせ!
 さぁ、己が無力を知れ!――闇魔法ッ!」


 厨二全開でそう唱えた瞬間、本当に漆黒の炎が現れ、
 物凄いスピードでオークに飛んでいった。

 そして、漆黒の炎がオークの体に触れた瞬間オークの体全体が漆黒の炎に包まれ、声を上げることなく消滅した。

「つ、強い。」

 俺は闇魔法の強さに驚きつつもしっかりと魔石を回収した。

「よし、じゃあ行くか。」

 再び森を抜けるため歩き出すと

――っ!?

 突然上から大量のオークが降ってきた。
 恐らく、この巨大な木の上で生活していたんだろう。

 おいおい、まじかよ。
 流石にこの数はやばくないか?

 大量のオークに囲まれて、咄嗟に武器を構えたが――

――ボウッ

 突然オーク共が勝手に燃え出し――消滅した。

「何が起きてるんだ……なっ!?」

 俺は突然燃え出し、消滅した事に驚いていたが、
 それ以上に驚く事が起きた。

 それは、目の前で漆黒色の炎が集まって人型になってきてる事だ。

 その光景を見て唖然としていると、上から大量のオークが再び振ってきた。
 それに気付き、俺は何時でも戦える準備をした。
 だが、その必要はなかったと次の瞬間知ることになる。

――ボウッ!

 目の前の人型の炎が動き出し、
 一瞬で周りのオーク共を燃やし――消滅させた。

 俺はそれを見て確信した。先ほどのオークもこいつによって消滅したんだと。

――危険だ。

 そう思い、俺は人型の炎から距離を取った――だが、それはかなわなかった。
 人型の炎はあり得ない速さで近づき抱きつく様に拘束したからである。

「あ、熱っ……くない。」

 何なんだよこれ……

 俺は人型の炎に抱かれ死を覚悟したが、その炎は熱くなかった。
 俺が困惑していると、人型の炎の炎が段々人間の皮膚に変わっていった。

 そして、そこに現れたのは身長は130cm位で真っ黒な髪で片目が隠れている幼女だった。

 女の子?
 って裸じゃねえか!

 俺は顔を真っ赤にしそうだった。
 なぜなら、目の前に現れた幼女は服を着ていないのだ。
 しかもその状態で抱き付かれている。

 俺はロリコンではないが、
 年頃の男の子でしかもチェリーのためエクスカリバーが反応しそうになっている。

 これはまずい!
 と思い急いで幼女を離そうとしたが予想以上の怪力でビクともしなかった。
 これは無理だと思い、肩に乗っているスラの方に目線を逸らした。
 スラは肩の上でフニフニとしていて、それを見る事によってエクスカリバーは静まった。

 ふぅ。と安心した時、突然幼女が喋り出した。

「ますた?」

「へ?ますた?」

 俺は突然の声に驚いたため、声が裏返ってしまった。

 ますたってなんだ?
 ……ますた、マスタ……マスター!

 そうか、マスターか!
 と思ったが何故マスターと呼ばれているのか理解できなかった。
 それよりもこの幼女は本当にさっきの炎なのか?と言う疑問が浮かんだ。

「ますた、どうしたの?」

「お前は、何者なんだ?」

 俺は幼女の方を見た。
 顔より下を見ると再びエクスカリバーが反応しそうだったので、
 顔だけを見るようにした。

 すると、幼女の表情が少し悲しそうな表情になった気がした。

「ますた、ひどい。
 ますたがわたしをよびだしたのに。」

 呼び出しただと?
 俺が何時……漆黒色の炎、呼び出した……まさかっ!

 俺は心の中で考え、一つと結論を出した。それは――

「――お前は闇魔法なのか?」

「さすが、ますた!」

 幼女の表情がパァと明るくなり、笑みを浮かべていた。
 その笑みを見ていると自然と俺も笑みを浮かべていた。

「なぁ、取り敢えず離れてくれないか?」

「わかった。」

 幼女は離れてくれた。
 だが、離れたせいで先ほどよりも色々な所が見えてしまっていた。
 俺は急いで目を逸らした。

「ますた、どうしたの?」

「その、服などは持ってないのか?」

「ふく?きてほしいならきるけど?」

「ああ、是非着てくれ!」

「わかった。」

 幼女は漆黒色の炎に包まれ、数秒後その炎は消えた。
 そして、そこには漆黒色のローブを纏った幼女が立っていた。
 ローブかよ!と思ったが何も着ていないよりマシだったので、
 何も言わなかった。

「これで、いい?」

「ああ、ところでお前の名前は何て言うんだ?」

 俺はこの幼女の事を何と呼べば良いのか分からなかったから名前を聞いてみる事にした。

「なまえ?そんなのない。ますたがきめて。」

「ん~そうだな、じゃあお前はヤミだ。」

 闇魔法から生まれたからヤミ。ひどいネーミングセンスだ。

「やみ……わたしのなまえ。くふ。」

 どうやらヤミと言う名前を気に入ったようだ。
 それから、ヤミのステータスを確認するために魔眼を発動した。

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ヤミ

Lv-
-/-
-/-
スキル
-

闇魔法によって生まれた。
体力などは存在しない。
スキルは持っていないが、
とても強力な攻撃をする。
倒した敵の経験値はすべてソラに行く。
ソラがヤミの近くに居る事が前提。
==================================

「体力が存在しないだと!?ヤミは無敵なのか!?」

 体力が無い。ということは、
 幾ら攻撃を受けても減る物が無いのだから無敵だと思い俺はそう言った。

「ますたがしなないかぎり、わたしもしなない」

「何だと……ヤミは俺と運命共同体なのか!」

「うん」

 俺はヤミのステータスを見て
 『倒した敵の経験地はすべてソラに行く。』
 と言う言葉があったので早速自分のステータスを見てみた。

=============
名前:ソラ=バーゼルド
年齢:15
種族:人間
レベル:20

体力:400
魔力:500
攻撃力:70
防御力:380
素早さ:50
運:17

スキル
魔眼:LvMAX
身体強化:LvMAX
闇魔法:LvMAX
重力操作:LvMAX


能力
大魔王の加護:Lv MAX

称号
大魔王の弟子
=============

 うおっ!結構レベルが上がってる!
 しかも新しいスキルまで増えてる、これは楽しみだ!

 俺はそう思いながら、
 スラとヤミと共に森を抜けるために歩みだした。

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