死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜

ライオットン

第36話〜始動〜

「これからどうされるんですか?」

 司が王になってから数時間後、大広間で話し合いが行われた。内容はもちろん、今後の方針についてだ。

「俺は全てを守りたい。サイクロプスのみんなもヴァンパイアの皆さんも全て!」

 司は自分の硬い意思を表示する。

「やはり、魔王になるのがいいのではないですか? 魔王になればさらに強くなれますし、絶対的な抑止力になるでしょう」

「魔王になることで強くなれるんですか?」

「多少ですけどね。ステータスは上がると思いますよ。多少ですが」

「じゃあ、魔王になりましょう! 皆さんはどうしますか?」

「私たちヴァンパイアの王はあなたですよ。王の意思は我らの意思です」

「俺達は君の意思を尊重する。命の恩人だしな。俺たち全員、ヴァンパイアがこなければ死んでいたかもしれないしな」

「決定ですね。俺は魔王になります。そのためにも協力お願いします」

「「喜んで」」

 司の中に新たな目標がうまれた。また一歩、自分の理想に近づくことができる。力を持った自分の姿が、この上なく嬉しいのだった。

「具体的にどうすればいいんですか?」

「今存在する七人の魔王の誰かを殺すことじゃ。簡単な道のりではないと思うぞ。魔王のステータスなんて見たことないからな。奴らは確かに強いぞ」

「分かっています。でも、殺します! 負けるつもりはありません!」

「よし! 目的も決まったことだ。パーッとやろうぜ!」

 さっきまで真剣そのものだった表情が一気に崩れ、バルクが声をあげる。一瞬驚いた司だが、ルギスやオルドの表情から、これが本当の姿であることを察知したのだった。

 その晩は、王の誕生祭として大いに盛り上がったのだった。

 
 その頃、インテグラル王国には圧倒的な厄災が迫ろうとしていた。

「ヘルメス様。また、あいつがやってきます」

「またか。この国始まって以来の汚点が邪魔しにきやがって!」

「どうされますか?」

「いつもどおりだ。奴らをぶつける」

「了解です。勝てますかね?」

「どうかな? 負けたらその時はその時だ。また召喚すればいい」

 兵士とヘルメスの不吉な会話は闇の中に消えていく。



「さあ行こう。僕のような存在を生まないために。最悪の芽は、今のうちに摘み取るとしよう」

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