死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜

ライオットン

第35話〜力〜

 血を吸った瞬間、司の中に底知れない力が流れ込んでくる。全身の血が、体中を激しく駆け廻る。それは激しい痛みをともない、司の命を削っていく。

「そんな! こんな症状が出るなんて聞いてないのに」

 アイネルの声がするが、痛みが激しすぎて何を言っているかもわからない。

 まさか、はめられたのか? 司はそう思わない。この痛みの先に、目標のものがある。力が、全てを、花音を守れる力があると、司は直感していた。

 あまりの痛みに司は意識を手放す。


 司が目を覚ますと見たこともない場所に、四人の見知らぬ人がいた。

「ほう。君が我らの王になる者か」
「とても強い意志を感じる。これはつよくなるね」
「やっと私たちの夢がかないました」

「あなたたちは?」

「我々は先代の始祖じゃな。おそらくもう会うことはない。これからを頼むぞ。王よ」
「やりたいことをやればいいよ!」
「頑張ってくださいね。貴方も夢をかなえてください」

「はい。ありがとうございます」

「じゃあ、そようならだな。さらば」

 一人がそう言った瞬間、司は目を覚ました。

「大丈夫ですか? 司君?」
「大丈夫か? モンブラン君?」
「司お兄ちゃん起きた!」

 ベットで目覚めた司の周りには、見知った顔が並んでいた。どうやらとても心配をかけたらしい。

「大丈夫ですよ。痛みもありません。どのくらい眠っていたんですか?」

「数時間ですよ。おそらく、その間に何度も生死を繰り返しました」

「そうですか。俺のステータスプレートってどこにありますか? 途中で落としてしまったようなんですが」

「ああ、回収していますよ。少し待っていてください」

 そう言ってアイネルが部屋から出ていく。

「モンブラン君本当に大丈夫か? 王になるって聞いたんだが本当か? 目の色も変わっているし」

 ルギスが心配そうに話しかけてくる。

「大丈夫ですよ。俺には力が必要なんです。すべてを守れる力が。目の色?」

 司が疑問に思いきくと、ルギスが近くにあった鏡を手に取る。それを司に向ける。

 そこには黒かった目ではなく、ヴァンパイアあよりもさらに赤い、真紅の目が映っていた。

「王か」

 司がつぶやいたとき、アイネルが部屋に戻ってくる。

「はい。これが司君のステータスプレートですよ」

「ありがとうございます」

 ステータスプレートを受け取る司。ステータスプレートを確認しようとするが、内心は不安と期待が入り乱れていた。

 ステータスプレートを確認すると、驚愕としか言いようのない内容が映し出されていた。周りで見ていた全員も驚愕の表情を浮かべる。

 吸血鬼の王

 体力:SS-
 攻撃:SS+
 耐性:SSS-
 魔力:S+
 魔法攻撃:SS-
 魔法耐性:SSS-
 俊敏性:SS+
 能力:不死(強化・奪取)・鬼人化・種族強化・血の支配者・狼球
    
 ステータプレートに映し出されるSの文字。A+が最大といわれていた司は何が何だが理解が追い付かない。能力も見たことがないものばかりだ。

 魔王シンとの戦いで、ゴブリンの王ナーナとの戦いで、吸血鬼の王になったことで、強くなったとは思っていた。だが、予想をはるかに超えていた。

「どうなってんだよ」

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