死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜

ライオットン

第9話〜夢〜

 今日も司はいじめられていた。だが、今日の司はいつもと一味違った。

「こんなもんか! 五人のくせに弱いな!」

 司は挑発をおこなった。その言葉に対して何が起こるか、分からないほど司はバカではない。言葉によって起こること、それが狙いなのだ。

「クソが! 調子に乗りやがって」
「今日は元気だな! いつまでもやってやるよ」

 今まで従順だった司が急に態度を変えた。そのことに森山達は激怒し、今までよりもいじめがさらに激しくなる。

「そろそろ終わるか。もう疲れたな」

「やっぱり弱いな。俺はまだこんなに元気だぞ!」

「なめやがって!」

 いじめが終わりに近づくと、司はさらに挑発をかける。本来なら解放されることは何よりも嬉しいことだ。だが、今は違う。いじめてもらわなくては困るのだ。もっと強くなるために。能力を最大限生かすために。

「今日のところは勘弁してやるよ。また明日だ! 覚えとけよ」

 森山達はその場から立ち去った。こんなものか。早くステータスの確認しないと。司はそう思ったが、先に書庫で昨日の続きを読むことにした。ステータスも気になるが、あの本もやはり気になるのだ。

 書庫に到着し、昨日本を隠した場所に向かう。本棚の裏を確認すると……あれ? 昨日確かにここに隠したはずなのに。どういうことだ? 司が頭を悩ましていると

「どうかしたのか?」

 昨日の騎士団員が話しかけてくる。

「なんでもないですよ。気にしないでください」

「そうか」

 普段の司なら何も思わないだろうが、今は違う。何かタイミングが良すぎる。昨日の夜にたてた仮説が騎士団員が話しかけてきたことで、現実性を帯びていく。もしかしてこの国は俺達を騙そうとしてるのか?
 何か確証があるわけでもないので、今のところは情報を集めることに専念することにした。司は本を手に取り読み始める。たてた仮説で本を読んでいくと、すべての内容が異なって見える。洗脳でもしに来ているのではないか? 歴史の本は特に。
 今日はこの辺にしよう。司は書庫を後にする。今日だけで収穫は十分だった。たくさん本を読み、司の仮説がさらに現実性を帯びる。あの紙の言葉の意味。この国はまずそうだ。
 
 司は自分の部屋に戻りステータスの確認をする。

 体力:C-
 攻撃:D+
 耐性:C-
 魔力:C-
 魔法攻撃:D+
 魔法耐性:C-
 俊敏性:C
 能力:不死(強化)

 昨日よりもさらに増えている。この調子でいけばさらに強くなれる! 花音の為を思えば、死ぬことだって耐えられる。痛みなんて怖くない。もっともっと強くなって花音を守れるようになる! 司は歓喜し眠りについた。

 司が目を覚ますとそこは見たこともない場所だった。ただ一人、目の前に男性が立っていた。

「どこだここ? あなたは誰だ?」

「これ……死ん………い……ない」

「なんだ? よく聞こえない」

「死……で……けない」

「何が言いたいんだ?」

「心……こ……れる……人……なくな……」

 男性の姿が徐々に霞んでいく。

「おい。待って! 話が終わってない」

 司が手を伸ばすと同時に意識が覚醒する。そこは自分のベットの上だった。夢か。やけにリアルな夢だったな。あれ? なんで俺泣いてるんだろ? 司は疑問が浮かぶが気にしないようにする。そんなことよりも強くなることが最優先だから。自分のことなんてどうでもいいから。

コメント

  • 天宵 魁

    もう少しストーリーの展開を遅めにして、キャラ一人一人の特徴を細かく表現したら、もっと面白くなると思います。例えば、いじめっ子達とか!

    4
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