死ねば死ぬほど最強に?〜それは死ねってことですか?〜

ライオットン

第7話〜成長〜

  光が差し込み、司に朝が来たことをつげる。目覚めた司は、憂鬱ではなかった。司にとって日がたつことは、喜ばしいことになっていた。自分がすべきことに気づいたからだ。強くなるためにできるかぎりのことをする。そのために時間は必要だ。

 訓練にも今まで以上に真剣に取り組む。花音を守れるぐらい強くなるために。誰にも負けないように。

「どうしたんだ? すごいやる気だね」

 騎士団の人が司に話しかける。やはり、騎士団の人から見ても司の変わりようは目に付くようだ。

「やるべきことが分かったんです」

「そうか。頑張れよ! 努力は人を裏切らないから」

「はい。ありがとうございます」

 司は訓練が終わると、森山達に呼び出された。司は指示どおりの場所に移動する。普段なら、司にとって地獄の時間が始まる。だが、今の司は違った。地獄なんて微塵も思っていない。逆に成長できるチャンスだと思っていた。まだまだいろんなことを学べる。殴り方や蹴り方も知って損することはない。

「なんだ? 今日はやけにおとなしいな」
「昨日は俺達を救ってくれてありがとな。変わりにこれをやるよ!」

 森山からお礼として、拳が振るわれた。痛い。だが、こんなことでめげてられない。俺は強くなるんだ。痛みに負けないぐらいもっと強く。力が……もっと強い力が欲しい! 薄れゆく意識のなかで、司が考えているのはそれだけだった。恨みも何もない。ただただ、力を欲っしていた。そして、意識を手放した。

『能力の発動条件を満たしました。能力を自動発動します。発動者の強い意志により、ステータスを強化して蘇生します』

 目覚めた司にまた暴力が振るわれる。その日は何かが違った。あれ? 司は違和感を感じていた。さっきよりも痛みが少ない。そして、意識が遠のくまでの時間が伸びている。そんな気がしていた。その後、何度も何度も死亡と蘇生を繰り返したが、違和感は増えるばかりだった。

 司は夕食の後に、国の書庫に向かった。魔王や魔物のさまざま情報を得るためだ。情報を持っていて損はない。何かの場面で、もしかしたら役に立つかもしれない。司は時間の許す限り本を読み続けた。
 今日の最後にしようと、いかにも子供向けの本を手にする。司が本を開くと、紙のようなものが地面に落ちた。その紙に書いてある内容を見て、司の動きが止まる。

 そこには
 
「次にこの国に召喚される者達よ。自分達の頭でしっかり考えて行動してくれ。一方的にならず、柔軟に考えてくれ。何が正しくて、何が悪なのか。自分の目で見て、聞いて、判断をしてくれ。私は後悔した。一方的な考えで、過ちを犯した。そうはならないでくれ」

 と書かれていた。司は黙って紙をポケットに入れ、書庫を後にした。

 部屋に戻り、毎日しているステータスの確認を行う。

 その結果は

 体力:D
 攻撃:D-
 耐性:D+
 魔力:D+
 魔法攻撃:D-
 魔法耐性:D-
 俊敏性:D+
 能力:不死(強化)

 となっていた。

 どういうことか司にはまったく理解できなった。今まで三週間の間、ステータスはひとつも上がっていなかった。初めてステータスを確認した時と全く同じままだったのだ。なのに、急にステータスが上がった。一日で、ありえないぐらい大幅に。不死の後に書いてある(強化)という文字の意味も。
 だが、確かに分かることがある。それは、自分が成長したということ。司にはそれだけで十分だった。

 司はベットに入り、頭を悩ませる。ステータスのことについて。書庫で手にしたあの紙について。

コメント

  • ふにゃんふなゃん15

    設定に意外性があって面白いですね!強化されてくのが見れたらいいな

    0
  • ほんしんとう25

    どんどん強くなるのを見てるとワクワクします!ダークな設定が良い!

    0
  • メイプル

    もっと詳しくメモをかけるはず…
    なら、走り書きで書かれているなどの設定を増やした方がいいと思います

    1
  • ぐらふぁいと

    文の最初の方のfromの意味がわかりません。
    おそらく間違っていると思うのですが…

    2
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品