少年はそれでも戦い続ける

虹ウサギ

4.青年と魔女


「ねぇ、ジン見てこのキノコ美味しそうよ」
「…それは、多分毒キノコだ」
「えーそっか、ジン何でも知ってるね」
「俺じゃない、俺の中のシステムのおかげだ」
「ふーん」

 あれから、数週間がたった俺たちは近くの山小屋で生活をするようになった

 毎朝山に二人で入り山菜やら、小動物を狩ったりなどをしてその日の食料を探す
 昼は木の実などをつまみ、すぐそこを流れる川に入り水遊びなどをしたり、キスミの話を聞いたりした

 キスミの話はどれも魅力的だった、ずっとかごの中の鳥だった俺にはどれも素晴らしかった
 キスミの住んでいた村の話から、隣に住んでるばぁさんの笑い話、母親から聞いた外の世界の話など多岐にわたる、
 そしてキスミにはどうやら妹がいるらしい、妹は村から逃げるときに、信頼できるある町の孤児院の院長に預けたらしい
 場所は帝国の帝都から離れているらしく、キスミといるよりは安全だそうだ
 でもいつかきっと向かいに行くと約束をしたそうだ、そんな話をしているとあっという間に日は沈んでしまう
 
 夕方には小屋に戻り夕食の準備をともにする
山菜とウサギ肉で作ったスープなどを腹に流し込むと、少し時間があく
 その時間に毎日少しずつ言葉をキスミ教わり今ではだいぶ話せるようになった

 今日もいつもと変わらない時間に小屋に戻ってきた今日は小鳥がとれたからそれを丸焼きにでもしようということになった

「ねぇ焼けた?」
「まだダメだ」
「……そろそろいいんじゃない?」
「まだだ、鳥はよく焼かなくては、少し我慢しろ」
「ブー!イイじゃんちょっとくらい!ジンのケチー」
「どこがケチなんだよ!バカじゃねぇーか!」
「もう!口が悪いよー、何であんなに丁寧に教えたのに、こんな下品な口調になっちゃったの、お母さん悲しいわ~えーんえん」
「お前は俺の母親じゃねぇだろ」
「そう?私はあなたのこと息子のように大切よジンは?」
「なっ、俺は」
「好きじゃないの?」
「……す、す、…好きなわけねぇーだろ!」
「え、…あらそう残念だわー」

 そう言うとキスミは少し悲しそうな表情を浮かべ壁の方を向いて横になった

 はぁー、違うだろ俺のばか!ちがうんだよ、ホントはあの日かずっと好きなんだよ!
 でもほんとのことが口から言えない、この口調もそのせいだ
 何で俺は人造人間のはずなのに恥ずかしがってだよ

 でもその日は何も言えないまま寝床についた
明日こそは本心を言おう、そう思いまぶたを閉じた

 
 その日は何やら騒がしい鳥の声で目が覚めた、様々な鳥が鳴き声をあげて外を飛び回ってるようだ、目をこすり辺りを見るとまだ薄暗かった
 どうやらキスミは起きているようで、窓からそっと外を見ていた

「キスミどうした?」
「どうやら奴等にバレたみたい」
「奴等というと帝国か!?」
「えぇ、ジンどうやらここでお別れ見たいね」「なにっ!どうゆうことだ!」
「奴等の狙いは私よ、私が引き付けるから裏口から逃げて」
「何言ってやがんだ、お前をおいて一人で逃げられるか」
「…わかったわ、一緒に奴等をボコボコにしましょう」
「あぁ!」

 少し軽い打ち合わせをしていると、帝国の奴等が来たらしい
 俺は林に紛れ数を確認した、奴等はどうやって知ったかは知らんが、間違いなくこの小屋を目指してるようだ
 数は30前後、四方からこの小屋を目指してくる
 ほとんどが一般装備の兵だが、所々に俺と同じ人造人間ホムンクルスの姿が確認された
 
 人造人間は基本的に筋力が常人の数倍から数十倍はある、そして遥か昔に滅んだとされる”科学“と呼ばれる技術を復活させ作られた銃を使う、銃は鉛の弾を高速で連続発射することが出来る
 人造人間には魔力が一切ないがこの銃は魔力を必要としない、そのため人造人間は純粋な身体能力とこの銃を使って戦闘を行う

 かくゆう俺も銃を使い戦闘を行うつもりだ、腰にある二丁の小型の拳銃を触り感触を確かめる
 
 俺は奴等の背後を狙うため木から木に飛び移り最後尾を目指した




はい!今日は今まで休んだお詫びということで
一挙二話掲載をします!

 
 

 

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