神は思った。人類の7割をアホにして、楽しく見守ろうと

4.1 1.2 4.2

俺は思った。俺ほどできた自宅警備員はいないだろうと

 
俺の朝は早い。

 7時
 起床し朝食を摂る。今日は鮭の塩焼きに味噌汁、納豆にご飯。朝ごはんのテンプレといったところ。朝食を済ませたのち家族の洗い物をする。ここで重要なのが食器に付いた汚れを先に拭くこと。それをすることによって洗剤の消費を抑え、尚且つ円滑に食器を洗うことができ時間短縮ができるとゆうわけだ。

 8時
 今日は燃えるゴミの日。近所のおばさんと挨拶を交わしながら、ゴミステーションへ向かった。そこでいつもすることがある。それは猫と戯れること。この辺りに住み着いてるらしく、行くと大体いる。とても人懐っこか可愛い。癒される。

 8時15分
 これで母から頼まれてた任務、午前の部は終了。ここで12時まで自由時間だ。とは言っても特にすることがない。いつも通り、楽器を演奏して、本を読んで、勉強して、PCでゲームをして。大体こんな感じで時間が過ぎて、いつのまにかお昼になっている。

 12時
 今日のお昼は何にしような。冷蔵庫の中は……うん、これがあるからオムライスにしよう。

 12時30分
 ふぅ〜〜
 お昼ご飯を食べたからだろうか。とても眠い。暇だし昼寝でもしよう。洗い物は夜ご飯の時に一緒にしよう

 14時
 んーー、よく寝た。よし午後の任務を開始するか。まずはお風呂掃除から始めよう。手際よくやって行こう。浴槽を洗って、床を洗ってそれからそれから…………

 14時30分
 よし、風呂掃除完了。次は……牛乳の調達か。今日はどこのスーパーが特売か、俺の情報収集力があればどのスーパー1番安いかあっという間に……カタカタカタカ……パンッ!!丸わかりだ。ガス栓よし、戸締まりよし。警備は良好、いざスーパーへ!!

 15時15分
 家の中は……特に異常なし!早速牛乳を冷蔵庫へしまおう。これで牛乳調達ミッション完了。しかし、また暇になってしまった。どうしたものか……白い花火でも打ち上げるか!

 15時20分
 はぁーはぁー。流石俺の右手ゴットハンド。あっという間に打ち上がった。コイツと俺は以心伝心、俺の息子のツボをよく理解してやがる。最高の右手パートナーだぜ!………あぁ………虚しい……いや、落ち込むな俺!まだチャンスはある。そうなれば彼女を作るため、女子受けするネタでも集めるか

 17時45分
 なるほどー、女子はこうゆう話題に食いつきやすいのか。いい勉強になる。って、もうこんな時間!!夜ご飯の準備を始めないと。PCのシャットダウンを確認。部屋の消灯を確認。台所へ、レッツゴー。

 18時15分
 よし、生姜焼き完成。中々の出来栄えだ。今日も2人とも遅いらしいから先に食べてよう。

「いただきまーす」

 流石俺、普通にうまい。これなら主夫になれるな。むしろなれる自信しかない。

 18時30分

「ごちそうさまでした」

 うまかったー………はぁー洗い物しないと……あー動きたくない、でも動かないといけない。なんだこの悪循環は

 18時45分
 よし……やるか

 18時50分
 ふぅー終わったー。ここで座ったらもう動けなくなる。よひ、この勢いでお風呂に入っちゃおう。

 19時30分
 ふぅーいい湯だったー。やっぱりお風呂は最高だ。疲れを癒してくれるし、体があったまる。だがしかーし!そんな火照った体に冷たーいアイスを投入!からだ全体に広がるこのヒンヤリ感がたまらない。テレビでも見ながら食べよう。

 21時00分
 いやー最高に面白かった。この番組はいつも面白い。21時か……もうやることないな……明日学校だしもう寝るか

 
 
 

 俺は、一級自宅警備員を務めている久喜ひさき 二貴太にきた だ。みんなは俺のことをH・Nと呼ぶ。ほんとカッケー・二貴田の略語だそうだ。俺は自分の顔をカッコいいと思ったことないが、周りが勝手に呼ぶのだからしょうがない。

そんな俺が、なぜ一級自宅警備員を名乗っているのか。それ勿論俺1人で全て出来るからだ。学んだ事を活かし、円滑に物事を進めるための司令部。PCで色々な情報を集める情報部隊。情報を元に行動する実働部隊。それが俺が一級たる由縁だ。

 ところで……君たちは自宅警備員をどこまで理解している?どうせあれだろ、引きこもりの言い方をカッコよくしただけとか思ってるのだろ?そんなことはない。

 この職業は、自分の得意なことを最大限いかすことができ、尚且つ、その得意分野で家族を手助けする。これらが出来て始めて自宅警備員を名乗っていいのだ。

 稀にいるだろう。食費、光熱費、通信料とゆう親からの恩恵を受けながら、さも当たり前のように何もせずに暮らす人たちを。それは自宅警備員とは呼ばず、ニートと呼ぶのだ。俺はこの恩恵を忘れず親に別の形で返す。故に俺は職業に誇りを持っている。

 しかし、一級自宅警備員の俺でも、この職業を続けるのは辛く険しい道のりだ。特に親からの視線、これが1番辛い。過去、親にこんなことを言われた事がある。

「あんたさ、家の事してくれるのはありがたいんだけど、友達とかいないの?」

 流石にこの言葉は心に刺さった。決して友達がいないわけではない。ただ遊ばないだけ。俺自身、外出があんまり好きでないのも理由の一つだ。

 そんな誰とも会うことのない俺の休日はこんな感じで過ぎていき、また憂鬱な月曜日がやってくる。

 
 
 

 月曜日・朝

 俺は高1の時から早めに登校している。家にいても特にやる事もないし、かと言って登校してもやる事はない。だが、家にいるよりましだと考え早めに学校に登校していた。

 そんな退屈な朝は高2から変わる。同じクラスになった人が俺とほぼ同じ時間に登校するからだ。退屈だった時間は一変、楽しい時間へと変わり、今では話すのが日課のようになっている。そして今日もいつものように、たわいもない会話をしている


「なんで土日ってこんなに早く終わっちゃうんだろなー」
「楽しいかったからじゃねーの。授業とかもそうだろ?面白い先生の授業は早く終わるけど、つまらない先生の授業はやたら長く感じる。それと同じだろ」

「あー、確かに。可愛い子が出てるA◯だとすぐにイクけど、可愛いくない子の◯Vだと全然イカないないもんな。なるほど、そうゆう事だったのかり、これで俺の中の10の謎の内の1つが解けた」

「いや、それは右手の速さによるだろ。はぁーお前は良いよな。そんなアホみたい事を考える暇があって。俺の悩みはそんな簡単に解決できないってゆうのに」

「そんな多忙な君に短時間で抜けるオススメのA◯を教えてあげよう」
「そんなん結構だ。俺は欲求不満じゃない。ただ単に隣の奴にストレス溜まってんだよ」

「なーにいってんたよ。毎日隣同士でイチャコラしてー。お前は知らないと思うけど、小早川さんが男子とまともに会話してるの工藤だけだからな。羨ましい」
「またその話かよ。何回も言うが俺はあいつと会話なんてしてない。俺はただ単に弄られてるだけだ。されてるこっちの身になれ」

「弄ってもらってるだと!?それは親密な関係じゃないとしないだろ。羨ましいなー、俺も弄られたい」
「えっ……弄られたい?お前ってマゾだったの?悪い、マゾがうつるから近寄らないで」

「えっ、いや、ちょっと待って。なぜ俺はマゾ認定されているの?俺はノーマルだ!」
「だって、弄られたいって言ったじゃんか。いや、いいんだ。自分を誤魔化すな、ありのままの自分をさらけ出していけ。俺はそうゆうのいいと思うぞ」

「そうゆうなら、なぜ離れる。言ってる事とやってる事が逆じゃないか」
「いや、だってキモいじゃん」

「おーーい!!じゃあ最初から言うな!」
「あー悪い悪い」

「絶対に悪いと思ってないだろう」
「そんなの当たり前じゃん」

「んも!工藤くんなんて嫌い!ぷんぷん」
「普通にキモいな、まだマゾの方がいいわ。話し変わるけどさぁ、土日はどっか行ったのか?」

「家でイッた」
「A○の話しから離れろ。そもそもお前の性事情なんて聞いてないし、逆に外でイッたって言われたら焦るわ。俺が聞いたのはどっか出かけたのかってことだ。どうせ外出してないと思うけど」

「おいおい、俺を馬鹿にしてるのか?今回の休日は一味違う。そう、俺はスーパーへ牛乳を買いに行ったのだ!!」
「おーヒキニートとにしてはよく頑張った。褒めてやる」

「あのな工藤。何回も言うが俺はヒキニートではなく自宅警備員だ!ちゃんと家事もしてるし、学校にも行ってる。そもそもヒキニートの定義とはーー」
「あーわかったよ。お前は自宅警備員だ」

「わかればよろしい」
「自宅警備員を名乗るのは勝手だが、家に居すぎるのどうかと思うぞ」

「まあな、俺もたまに思うし、親にも言われる。そのたびに心が痛む」
「だろうな。俺が親でもそうなるわ。………じゃあさ、土曜日にでも何人か誘ってどっか遊びに行くか?」

「おーー!いいな、遊ぼう!」
「よし、決まりだな。人数は俺が適当に集めとく。それでいいか?」

「おう!頼んだ。………そんな優しい工藤に折り入って頼みがあるのだが……」
「ああ、いいぞ。ただし出来る範囲でな」

「その点は多分………大丈夫だ。あのだな、できれば小早川さんを誘ってほしいのだが……出来るか?」
「出来る出来ないに関わらず、俺はアイツを誘いたくない。あいつが居るだけで地獄へと変わる。そんな地獄に長時間いたら俺が精神的に死ぬ。お前もただでは済まないぞ?」

「そこをなんとか。小早川さんと少しでも仲良くなりたいんだよ。頼む、この通りだ」

 よっぽど仲良くなりたいのだろう。久喜の必死さが伝わってくる。が、久喜の頼みを聞いてやりたいと思うより、小早川と関わりたくないと思う方が強い。


『めんどくさい事になったな。アイツが来れば確実に俺は死ぬ。どうしたものか。いや、考え方を変えよう。小早川と久喜を仲良くさせればいいじゃないか。2人を同じ行動をさせ俺は別のやつと行動する。そしたら俺への負担が軽減させれる。そして、うまくいけば、小早川の興味は久喜へと向き俺の学校生活は平穏へと導かれる。今後の事を考えると、小早川を誘った方がメリットが高い。小早川を誘わない理由がない』

 工藤はゲスい事を思いついてしたまった。


「………わかった、良いだろう。だだし条件がある、それはだな俺と小早川を別行動させること、これが条件だ。こんくらいなら出来るだろ?」

「余裕で出来るが、工藤は本当に小早川さん嫌いだな」
「当たり前だ。もしクラスの生徒数が俺と小早川の2人だけだったら、俺は迷い無く登校拒否を選ぶ」

「私がどうかしましたか?」
「「!?」」

 2人は小早川の突然の声にビクつく。そりやー誰でも突然話しかけられたらビックリするのは当然だ。しかし、2人がビックリした理由はそれ以外にもあり、それぞれ異なる理由でビックリしていた

『うっわ小早川。タイミングが悪いし、朝から絡まれるとか最悪だ。今日は最悪の1日になりそうだ』

 その一方

『うわー小早川さんだ。工藤と話しててよかったー。朝から小早川さんに話しかけられるとか最高!!今日はいい1日になりそうだ!』

 小早川の真の姿を知らない者と知る者。これほど感情の差が出るのだ。なんせ見た目はいいから。

 そんな突然の異常事態にビクつくなか、瞬時に対応し機転を利かせたのは工藤だ。

「い、いいタイミングで来た。実は土日のどっちかで遊びに行く話になっているのだが、お前も来るか?」

 久喜は機転を利かせた工藤に拍手喝采。
『おー。工藤ナイス!よく瞬時に遊びに行く話しに持っていった。流石幾多もの修羅場を潜り抜けているだけあるな』


「それには蓮くんも参加するんですか?」
「まぁ、そりゃーな。俺が計画したしな」

「じゃあ是非行かせてもらいます!!とても楽しみです!一日中蓮くんを弄られるなんて、最高の日になりそうです」

 指を胸の前で交差させながら、笑顔で目をキラキラと輝かせている。小早川に慣れてない久喜は、その姿に隣で失神寸前。それとは対象に俺は全くときめかない。なぜならコイツの笑顔に何度痛い目にあったか知っているからだ。

「俺は、最悪の日になりそうだな。まあそうゆう事だから、土曜日は空けといてくれ。それと、まだなんも決まってないから、行きたい場所とかもついでに考えといて」

「わかりました。それでは今日も頑張りましょうね!」
「お、おう」

 小早川はさっきの笑顔を維持したまま、席の方へと歩いていった。その光景を見ていた久喜は俺に嫌味たらしく話しかけてきた。

「やっぱりお前は羨ましいよ。あの小早川さんに笑顔で''今日も頑張りましょうね''なんて言われて。俺はその一言で1日笑顔で過ごせる自信がある」
「相変わらずお前の頭はお花畑だな。いいか、あれは裏を返せば、''私を楽しませるために頑張りなさい''とう事だ。そんな事を笑顔で言うアイツって最低だと思うだろ?」

「それでもいいから小早川さんと話したい。工藤が思ってる以上に会話を成立させるのが難しいんだよ。なんか言っても''そうなんですか''とか''すごいですね''と言った返答しか返ってこないんだよ」
「そっちはそっちで苦労してるんだな。次の土曜日で少しでも話せるようになればいいな」

「おう!俺は頑張る。頑張って小早川さんと話せるようになる!」
「頑張れー」

 久喜は小早川と仲良くなるため
 工藤は小早川から自分への興味を晒すため

 今、2人の思惑が動きだす。

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