神は思った。人類の7割をアホにして、楽しく見守ろうと

4.1 1.2 4.2

俺は思った。俺の人生にラノベ展開なんて来ないのだと

  
  桜咲き乱れる今日この頃。
  俺に17回目の春がやって来た。

  俺、工藤  蓮は普通人間である。勉強  普通。運動神経  普通。ルックス  普通。

だが俺は他人と違うところが1つだけある、それは……最近、割とガチでデコがヤバい事。父親の影響だろうか。デコと毛根達のせめぎ合いにおいて、毛根達の勢いが弱まってきている。このままだと、「蓮、お前最近デコ広くなったなw」なんて馬鹿にされてしまう。早急に対策を考えてなければ……………まぁ、そんな事を除けば、基本普通人間な俺である。

   しかし、どうせ「普通普通言ってるけど、可愛い幼馴染でもいるんだろ?」とか「春なんだら、走ってくる美少女とぶつかり、その美少女が転校とかゆう展開なんだろ?丸わかりなんだよ」とか思うだろう。だが断じてない。大切だからもう一度言う、断じてない。そんな、ラノベ主人公みたいな展開、俺の日常には不要。少し羨ましい気もすするが……… しかし、俺は平凡に生き、楽しく生活する方がよっぽど好きである。

 だか、俺の今いる場所そんなまさかの”展開”が起こりうる可能性が高いと言える。と言うのも、俺が何時も近道として利用してるこの道は、人が2、3人程が通れる細い道。そして、何ヶ所かにT字の合流地点がある。このT字路がラノベあるある”美少女とドーン”するポイントである。

 でも安心してくれ。そんな事は起こらない。何故なら、この道自体人が通る事は滅多にない。この道を通り始めて半年ほどになるが、会った人は20人にも満たない。それに、会う人は同じ人ばかり。それほど、人通りの少ない道。故に”美少女とドーン”するイベントなど発生しない。そして発生なさない為に、俺は皆んなより少し早い時間に登校するのである。

 読者の皆さんはお気づきだろうが、工藤  蓮 は見事なフラグを建設した。

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  民家から伸びる一本の桜の木。

その木から落ちる花弁によって道路が桜の絨毯になり、とても幻想的な光景になっている。

  俺は、春を感じつつ、何時もようにの近道を歩いている。

『新しい担任どんな人なんだろ。確か…小野寺  薫だったはず。クラス自体も問題ない。1年生だった時に同じクラスだった奴もいるし、まぁ、俺として平穏に過ごせればどんなクラスでもいんだけど…』

 そんな 新しいクラスの事を考えながら、歩いていると、例のT字路が見えてきた。

   だが俺は、動じない。何も起こらないと分かっているからだ。何時もの歩幅、何時もの速度で平然通り過ぎる。

『フッ、やっぱり曲がり角で美少女とぶつかるなんてラノベ主人公だけだな』
  
  だがしかし、T字路を通り過ぎようとした時、目の端で黒い人影の様な者を捉えた。なにかと思い瞬時に左を向くと、そこには誰いなかった。そこにはいつもと変わらない、だだの一本の道だけが不気味に、そして永遠と続いていた。

「…マジかよ」

  全身に悪寒が走り、硬直する。
 それはまるで、女子の着替え中に扉を開けてしまった男子さながら。

  だが俺はなにも見なかったかの様にパッと視線を前に戻し平然と歩き出した。

  が、T字路を過ぎると、モーダッシュ

体力測定の100m走なんて比にならない程の速さで走り、走り、走りまくった。    

  そして見事、自己ベスト更新。

  この世の者ではない何かを見てしまったのだから、当然と言えば当然である。

『えーー、なになになに!?  始めて見たんだけど、つかあれが幽霊って奴なの!?  いやいや、幽霊って夜活動するもんじゃないの?今、朝なだよ? まだ寝てる時間じゃん。どんだけ早起きなんだよ。』

 動揺した俺の頭の中は、ぐっちゃぐちゃになっている。オカンに「あんた!ちゃんと片付けしなさいよ!まったくもー」と言われしょうがないレベルで。そして混乱の末、俺は意味のわからない思考にたどり着く。

  『いや、まてよ。あれは俺の屁が実体化した奴だ。うん、そうに違い。昨日食べた、賞味期限切れのプリンが腸に悪影響を及ぼしたんだろ。それで怒ってあんなに真っ黒い姿で俺の前に現れたんだな。うん、そうだな、そうに違いない。』
 パニクッタ俺は取り敢えず屁の所為にする。

  そんな事を思わなければ平常心は保てないし、何より霊の存在なんて認めたくなかった。

 そして、モーダッシュ中の俺の目の前にまたT字路が見えてきた。そしてたま同じ様にT字路から黒い影が現れる

 今までの俺なら、別の考え方や対処など色々と思いつき行動出来ただろう。だが、今の俺は”幽………オナラの精霊を見た”とゆう事によって冷静かつ正確な判断が出来ない状態だ。それによって、俺の脳が出した決断がこれだ。

『また、屁が出やがったな。』と。

  俺は、影の正体を勝手に屁にしたので、止まる気はゼロ。むしろ全速力で突っ走ってやろうと考えている。

  だが、そんな考えはすぐに間違えだと思わされる。その黒い影は、地面に沿って徐々に延びていき、今度は逆再生の様にか縮んでいく。俺は影が伸び縮みする光景を見て、ようやく影の正体が人間で、こっちに近づいて来ているのだとゆう事に気がついた。俺がその事に気がついたのは、T字路の少し手前。その頃には、足首位まで見えていた。

   脳が『止まれ』と指令を出すがスピードがでているせいで、中々止まってくれない。多少スピードが落ちたが、それでも止まる気配はない。俺はぶつかると悟り、反射的にギュッと目を瞑った。相手がT字路から出た直後、そこに鉢合わせする形で俺と相手の方がぶつかる。それはまるで、事前に打ち合わせでもしていたかの様な絶妙なタイミングで。

  そして裏道に鈍い音が響き渡る。

  相手の人は、ぶつかった衝撃で尻餅をつき、後ろから倒れ込む。そして俺は、相手に覆い被さる様に倒れた。

 いや、だだ倒れただけじゃなかった。

 右手は地面に手をつき、アスファルトの冷んやりとした冷たさを感じてる。それに対し左手は……ほんわかと温かく、何よりとても柔らかい。

  『ま、まさかこれがOPPAIとゆうヤツなのか?いや、まて、落ち着け俺。さっき自分で断言したじゃないか。こんな事は絶対起こらないって。平常心、平常心だ…でも、この状況は……かなりヤバイ。いろんな意味で。絵面テキにもヤバイし、通報されたら、完全にお縄もんですよ。もちろん相手の人の事も心配なのだが、今は現在進行形で、息子が……ね?  わかるだろ?  立派なテントを張るもんだから、困っちゃってるんですよ。下半身未使用の俺が初めて触るんだもん。そりゃー立派なもん立ちますよ。』

 なんて具合に、色々とヤバイ思考を繰り広げている。

 その間、俺はどうしても怖くて目を開けられなかった。怒られどうしよう、殴られたらどうしよう、事故だとはいえ、痴漢と言われたらどうしよう。

 そんな、悪い想像ばかりが浮かんでは消えてを繰り返している。

「あの…避けてもらっても…いいですか?」

  この言葉にによって一気に現実に戻される。

 そして改めて俺がラノベ主人公じゃないことを実感されられる。

 目を開けたくない、現実から逃げたい。

 だがそんな自分に「逃げるな」と言い聞かせ、覚悟を決めゆっくりと目を開ける。

「……スミマセン。ホントーーニ、スミマセン。」

 そこに倒れていた人は、美人で巨乳のお姉様が良かった。しかし現実は何時も残酷だ。ぶつかってしまった人は、某青いロボットの様な丸帯を帯びた体で30代から40代くらいの男性。スーツを着ていから、おそらくサラリーマンだろう。

  どうやら俺は、男性の大きな胸を鷲掴みしてしまったらしい。

  しかも、この男性も何故か俺と同じく様にテントを張っている。「なんでだよ!」とツッコミを入れたい。物凄く入れたい。でも、そんな権利俺にはない。俺は揉んじゃったし、中央のボタンも刺激しちゃったぽいし。そんな事されたら、テントの1つ2つ張るのもしょうがないよね。

 立ち上がり互いの顔を見合わせている。

 そんな 2人は苦笑いである。

   道の真ん中で、体を”く”の字にする男2人。 頰を赤らめる男性と、死んだ魚の目をする学生。全く、カオス過ぎる。

「オケガハ、アリマセンカ¿」
「ボ、ボクは大丈夫…です。はい」

「スミマセン、イソイデイタモノデ」
「ボクも、ちゃんと前を向いていなかったのも悪いですし…全然気にしないで下さい。それじゃあボク仕事がありまので」

「ア、ハイ……スミマセンデシタ」
  お互いに一礼し、男性は颯爽と走って行った。

 俺はぶつかった人が心の広い人で良かったと心底思った。
  
 でも、残されは俺は、とても複雑な気持ちだった。女性の胸かと思っていたら、男性の立派な胸だったとゆう。あろうことかその胸で俺は…俺は…まったく情けないぜ、俺と俺の息子は…なぁジョン。

「はぁ……」
  自分で言ったくせに無性に虚しくなる。

 俺は 空の方へスッと視線をそらす。そこには雲一つない綺麗な青空が広がっている。もし、こんな事が無ければ良い新学期を迎えられたかもしれない。でも、この一件でわかった事がある。

「普通の人とぶつかるのがモブで、女の子とぶつかるのはラノベ主人公」

  そう自分に言い聞かせる。なのに、納得したはずなのに、目から涙が出てくる。おかしいな、悲しくないの涙が出てくる。平穏を望んでいるのに、こうゆう展開を期待するなんて、これが男ってゆう生き物なのかな。

 ゾンビのように全身から力の抜けた体に力を込め一歩、また一歩と踏み出し学校へ向かって行く。そんな状態の俺の隣をシャンプーの良い香りを漂わせながら1人の可愛い女子高校生が通り過ぎた。

「あんな可愛いことぶつかってみたかったな」

 そんなゲスい事を考える俺であった。


  「えっ……まさか…ね」


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