不器用プラトニックラブ

風吹雪華

18話 Center Of The World

ん…ここは…?

俺は、何故か学校に居る。

部活をやってるのか…。

大会直前だし、皆頑張ってるなぁ。

あれ、俺のサックスは?

ない、ない、ない、ない!

何処探してもない!

向こうから声が聞こえる、屋上へと走った。

あっ、莉世と琉煌だ!

「これって、結生のでしょ〜。
  どうするの?」

「当たり前のことを聞くなよ。
   …壊すんだよ。」

えっ…壊す?

何言ってんだよ、莉世!

「じゃあ、5秒前な。
   4…」 

止めろよ…

「3…」

冗談だよな…

「2…」

莉世…

「1…」

「止めろー!
    …っ」 

「ん?
  なーんだ。
  結生、来てたんだ。
  本人が居たなら、目の前でやってたのになー。」

「そうだね〜。」

「何で…何でこんな事を…!」

「はぁ?
  何でって…お前、気付いてなかったんだ。
  裏でさ、皆、お前のこと嫌ってたの知ってた?」

「え…」

「あー、気付いてなかった感じ?
  皆、お前に気を使ってたんだよ、バーカ。」

「…っ」

「泣きじゃくっても同情しないよ?
  結生は、こんな事されて当たり前なんだから。」

「当たり、前…」

「そう、当たり前なの。
  だから…僕達の前から、消えて?」

「待って、待てよ!
  莉世!
  琉煌!
  俺を、置いて行かないで…!」

ひざまついて、ただただ、泣くことしか出来なかった。

追いかけたかった。

でも、また見捨てられるかもしれないから、この場から1歩も動けなかった。

サックスも、莉世も、琉煌も、失ってしまった。
もしかしたら、永も…

もう何もかも、この手から消えてしまうんだろうな…。

俺を見捨てて、何処かに行ってしまうんだろうな…。

もう目の前は、闇の世界。

俺だけの世界になってしまった。

どうやったら、希望の世界になれるんだよ…!

誰か、俺を見つけ出して…

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