不器用プラトニックラブ
16話 心痛
もう8月に入って、炎暑が続く日々。
大会まで、時間は残っていない。
まだ結生は、1度も来ていない。
「琴嶺さん、そろそろ行こ〜?」
「じゃあ、行ってくるね…。」
「結生、何してるんだろうね…。
  飢えてなかったらいいけど…」
「富和君、このまま、結生は来なくなるかな…」
「琴嶺さん…結生は、何だかんだ言って、必ず帰ってくるよ〜。」
「(富和君、私のこと励ましてくれてる…皆辛い筈なのに)
   うん、そうだね。
   あ、汐璃さん、こんにちは。」
「こんにちは〜。」
「まぁ、最近お客さんが来るわねぇ。
  さぁ、上がってちょうだい。」
「結生は、今何してるんですか?」
「…まだ、閉じ籠ってるの。
 何も食べてないと思って、朝御飯や昼御飯、晩御飯を持っていってるんだけど、1口も食べてなくて…ドアを開けたくても鍵は掛かったままだから、倒れてないか心配で…
 パパも芽吹も、声を掛けてはいるんだけど、まともに返事が返ってこないって聞いたの。
 もういっそのこと、ドアを壊そうかとも考えてるの…。」
「僕なら、もうこじ開けてるかもしれないですね。」
「やっぱり、早めに壊した方が」
「汐璃さん、今日、もう1度来てもいいですか?」
「…えぇ。」
「琴嶺さん、何か思い付いたの?」
「まぁね。
  一か八かだけど、絶対に結生を助け出してみせる。」
夜-
「汐璃さん、スクリュードライバーで壊していいですか?」
「永ちゃん…それ、どこから持ってきたの?」
「話は後でしますから。
  じゃあ、やりますね。」
結生、待ってて…!
あ、開いた!
「結生!
   …えっ」
そこには、痩せ細った結生が倒れていた。
「結生…結生!
  汐璃さん!
  真澄さん!
  芽吹ちゃん!
   …結生が、結生が…!」 
「結生!
  パパ、早く救急車を!」
「結生、聞こえるか!?
  もう救急車来るからな!」
「結生…!
  生きてて…!」
私は、結生の手を、強く、強く握りしめた。
もう周りのことは見えず、ただ、名前を呼び続けることしか出来なかった。
芽吹ちゃんから連絡があった。
栄養失調と過労とのことだった。
入院するのに、長くても1ヶ月だと言っていた。
大会に出場することも、一緒に演奏することも出来なくなった。
早く、早く気付いていれば、こんな事にならなかったのに…!
全部、私のせいだ…!
私のせいで、結生が倒れることもなかったし、悩むこともなかった…!
自分を責め続けた。
こんな私なんて、居なくなればいいんだ…
大会まで、時間は残っていない。
まだ結生は、1度も来ていない。
「琴嶺さん、そろそろ行こ〜?」
「じゃあ、行ってくるね…。」
「結生、何してるんだろうね…。
  飢えてなかったらいいけど…」
「富和君、このまま、結生は来なくなるかな…」
「琴嶺さん…結生は、何だかんだ言って、必ず帰ってくるよ〜。」
「(富和君、私のこと励ましてくれてる…皆辛い筈なのに)
   うん、そうだね。
   あ、汐璃さん、こんにちは。」
「こんにちは〜。」
「まぁ、最近お客さんが来るわねぇ。
  さぁ、上がってちょうだい。」
「結生は、今何してるんですか?」
「…まだ、閉じ籠ってるの。
 何も食べてないと思って、朝御飯や昼御飯、晩御飯を持っていってるんだけど、1口も食べてなくて…ドアを開けたくても鍵は掛かったままだから、倒れてないか心配で…
 パパも芽吹も、声を掛けてはいるんだけど、まともに返事が返ってこないって聞いたの。
 もういっそのこと、ドアを壊そうかとも考えてるの…。」
「僕なら、もうこじ開けてるかもしれないですね。」
「やっぱり、早めに壊した方が」
「汐璃さん、今日、もう1度来てもいいですか?」
「…えぇ。」
「琴嶺さん、何か思い付いたの?」
「まぁね。
  一か八かだけど、絶対に結生を助け出してみせる。」
夜-
「汐璃さん、スクリュードライバーで壊していいですか?」
「永ちゃん…それ、どこから持ってきたの?」
「話は後でしますから。
  じゃあ、やりますね。」
結生、待ってて…!
あ、開いた!
「結生!
   …えっ」
そこには、痩せ細った結生が倒れていた。
「結生…結生!
  汐璃さん!
  真澄さん!
  芽吹ちゃん!
   …結生が、結生が…!」 
「結生!
  パパ、早く救急車を!」
「結生、聞こえるか!?
  もう救急車来るからな!」
「結生…!
  生きてて…!」
私は、結生の手を、強く、強く握りしめた。
もう周りのことは見えず、ただ、名前を呼び続けることしか出来なかった。
芽吹ちゃんから連絡があった。
栄養失調と過労とのことだった。
入院するのに、長くても1ヶ月だと言っていた。
大会に出場することも、一緒に演奏することも出来なくなった。
早く、早く気付いていれば、こんな事にならなかったのに…!
全部、私のせいだ…!
私のせいで、結生が倒れることもなかったし、悩むこともなかった…!
自分を責め続けた。
こんな私なんて、居なくなればいいんだ…
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