不器用プラトニックラブ

風吹雪華

7話 気付かれた感情

あの歓迎会が終わって翌日-

「はよーっす。
  …ってあれ、琉煌は?
  いねーの?」

「あぁ、最近見かけねーよな。」

琉煌は今、どこにふらついてるのか…。

学校には来てるみたいだけど…

「あれ〜?
  二人共、おはよ〜。」

「おはよ〜じゃねーよ。
  どこ行ってたんだ?」

「どこって…図書室に行ってたよ〜?」

「「あ…」」

完全に忘れてた。

琉煌が図書委員だったことを。



昼休み-

珍しく、梓舞先輩が混ざってきた。

「よっ!」

「よっ!じゃないっすよー。
  なんすか。」

「いや、一緒に食べようと」

「じゃあ、事前に言ってくださいね。」

「そうですよ〜、先輩。」 

「あはは!
  悪い!」

(相変わらず反省してないな。)

「そういえば…」 

梓舞先輩は俺の顔を覗き込んでくる。

「な、何ですか…?」

「この前の王様ゲームだけど…」

「あぁ〜、結生の好きな人のことっすか?」

「王様ゲームやったんだ〜。」

「そうなんだよ!
  色々やっててさ…」

(良かったー、琉煌のおかげで話が逸れた…。)

「…で、話を戻すけど」

「えっ」

「結生の好きな人って…」

(ヤバい、平常心平常心…)

「姉貴ってホントか!?」

「えっ、あ、はい…。」

「そうなんすよー。
  もうホントシスコンっすよねー。」

「ずっと芽吹ちゃんのこと、好きだったもんね〜。」

「…ん?
 梓先輩、時計見てどうしたんすか?」

「そろそろあいつらも来ると思うんだけど…」

「「「あいつら?」」」

「…あっ、おーい!」 

「「「えっ!?」」」

(こいつらのこといってたのかよ!)

「どうも…」

「お邪魔しま〜す。」



2人が加わって、地獄の昼休み-

(まだ好きな人の話してるし…)

「さて!
  結生、正直に話すんだ!」

「な、何をです…?」

「決まってるじゃん!
  す・き・な・ひ・と!」

「はぁ!?
  言ったじゃないですか!?」

「…しょうがない。
 じゃあ、言わなくてもいいから、この3人の中で誰がタイプ!?」

(無茶振り炸裂すぎる!
 何でこの人って存在するわけ…!?)

「誰なんだよ?」

「誰〜?」

「うるさい2人共!」



「…ほらほらー、もう昼休み終わっちゃうぞー?」

「…えっとー」

「あと10秒前!」

かさないで下さいよ!」

言おうとした瞬間、チャイムが鳴り響いた。

「あーあ、鳴っちゃったじゃないか。
  残念、聞けると思ったのになー。」

「一生言いませんから…!」



放課後-

「ねぇ」

「何だよ?」

「結生の好きな人って誰?」

「ぶっ!?
  お前もかよ…。
 (永も気になってるんだ…)」

「あんたに好きな人がいるの珍しかったから…。」

「だからって普通に聞くなよな…。」

(はぁ、困ったなー。)

「まぁ、昼休みのは、永かな。」

「えっ?」

「…だから!
 タイプは永って言ってんの!
 分かれよ!」

「そう、なんだ…。」

(何言ってんだ俺!?
 永も何か言えよ!)

「…っ」

永は俯いていた。
恥ずかしがってる時の癖だ。

「…別に、お前のこと好きって言ってないからな!
 じゃあな!」



教室に出て行った後、トイレの手洗い場で顔を洗った。

「何やってんだよ…バカ」

俺は憂い顔をしながら、鏡を見つめた…。

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