不器用プラトニックラブ

風吹雪華

6話 視線の先に

私が吹奏楽部に入部したお祝いに、先輩後輩達が歓迎会をしてくれるらしい。

そこであるハプニングが…



「はるちゃ〜ん!
  あのね、部室に来てくれる?」

「えっ、今日って部活、急に無くなったんだよね?」

「う〜ん…、でも来てきて!」

「えっ、ちょっ、えっ!?」



連れてこられたのは、大きな教室。

嫌な予感しかしない中、穂架が扉を開けた。

クラッカーのぜる音が教室中に響くと共に、部員達の歓迎の言葉も贈られた。

「月並みな言葉だけど、入部してくれて有難う!
  これからも、皆で楽しく活動していこうね!」

部長の絳紫溯玻あかねさくは先輩が、代表して祝辞を述べた。



一通り終えたところで、ゲームをすることに-

部活恒例の王様ゲームをするらしい。

「じゃあ!
  王様ゲームやるぞー!」

副部長の凰鞠梓舞おうぎわあずま先輩を中心に、ゲームが開催した。

1人目の王様は、逢恋ちゃん。

「では、3番の方と5番の方はじゃんけんして下さい。
  負けた方は勝った方に悪い点を正直に言って下さい。」

(これはまずい…)

皆が正直にそう思った。

3番は穂架、5番は溯玻先輩。

(穂架って、悪口言わないからどうなんだろ?)

穂架は逆に、溯玻先輩の良い点を喋った。

「あの、穂架先輩…。
悪い点と言いましたが…」

「うん、言ったね〜。
  でも、無かったから逆を言ったんだけど…ダメだった〜?」

「…いえ。
 (これが萌えというやつですか。)」



2人目の王様は、輝陽君。

「よっしゃー!」

(どんなことを言い出すだろ?
  嫌な予感が…)

「じゃあ…、1番は王様に膝枕!
 (賭けるしかねぇな!)」

「えぇ!?
  私だ!?」

「えっ、梓先輩!?
 (ラッキー!男じゃなくて良かっ)」

「あ、1番は結生だったわ。」

「え…」

「え!?
  ちょっと先輩!?
  俺違うんですけど!?」

「まぁ、頑張れ。
  さぁ莉世、男の膝枕だぞ〜。
  気持ちいいぞ〜。」

「い、いーやー!」

「ぶっ、ぶははははっ!
  写メ撮っとこ。」

(梓舞先輩…連写してる)

「「ピース…」」

((男の膝枕…硬ぇ。))



3人目の王様は、梓舞先輩。

「おっ!
  私だ!
  じゃあ、7番は好きな人を隠さずに打ち明ける!
  誰!?」

(何を言い出すのこの先輩!?)

皆突っ込みたくなったはずだ。

「…はい、俺です。」

(よりによって結生…)

「まず、好きな人はいるのか?」

「まぁ、気になる人、くらいなら…いるかも」

「じゃあ、言ってみようぜ!」

「結生にそんな度胸なんてあるんすかー?」

「うるせぇ莉世!
  …えっと、は…」

「は!?」

「は…、羽瀬北はせきた芽吹!」

「…誰だ?」

「こいつの姉貴っすよ。
  姉貴のこと好きだろうと思ってたけど、まさかシスコンの域を超えてたとは…マジキモッ」

「お前、どんな目で見てんだよ…!」



歓迎会が無事幕を閉じた。

楽しかったような、不味かったような…。

でも、皆容赦ないな。
私も気を付けないと。

「永!
  歓迎会どうだった?」

「はい、とても楽しかったです…!
 (これ以外に何を言えば…)」

「そっか!
  それは良かった!
  じゃあまた明日な!」



「梓舞ちゃん、なんてことを…」

「だって、結生を揶揄からかうの面白いじゃん!
  溯玻だってそうだろ?」

「僕は嫌だった。」

「っていうか結生ってさぁ…いや、何でもなーい!」

「…?」



家に帰宅してから、私は、結生のあの顔を思い出した。

私に視線を送る、結生の顔を-

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