東方龍人譚 ~龍神を統べる少年~

ko-suke

31話 最後ノ務メ




砂煙すなけむりがあたり一帯いったいに立ち込める。

グローグ「はっ、あっけない最後だったな・・・。」

霊夢「ゴード・・・。」

魔理沙「嘘だろ・・・?嘘だって言って欲しいんだぜ・・・。」

レミィ「嫌・・・嫌よ・・・ゴード!」

レミリアは、少し前のことを思い出し、なげいた。

グローグ「さて、そろそろおしまいにしようじゃないか・・・幻想郷げんそうきょうを。」

霊夢「くっ・・・!」

・・・だが、終わりではなかった。

「あっけない最後になるのは貴様だ、死神龍しにがみりゅうよ。」

グローグ「・・・あ?」

咲夜「え・・・この声は・・・!?」

砂煙が晴れ、そこに居たのは



ゴード(?)「終焉しゅうえんの時は近いぞ、貴様のな。」

ゴードであり、ゴードでなかった。




霊夢「ゴード・・・!生きてたのね!」

魔理沙「よかった・・・のぜ・・・!」

パチェ「全く・・・心配かけさせて・・・!」

咲夜「ゴード・・・!」

みんなは無邪気むじゃきに喜んだ。だが、ある2人は違かった。

・・・それは。

レミィ「どういうこと・・・?」

フラン「お兄ちゃんの力が・・・おかしい。」

そう、ゴードに起きた異変に気づいたのだ。

霊夢「おかしい?」

レミィ「ゴードは龍の力を封印された・・・なのに、今は・・・!」

フラン「見たことの無い龍の姿になってる・・・。」

霊夢「・・・確かに、あんなゴードは見たことないわね・・・。」

すると、ゴードが霊夢達の方をちらっと見た。そして・・・


消えた。

霊夢「え?・・・ゴード?」

すると、

ゴード(?)「先程から、主のことについて色々と述べているため、一言言うが」

魔理沙「ひゃっ!?ご、ゴード、さっきあそこに・・・。」

魔理沙の問いかけには応じず、ゴードは続けた。

ゴード(?)「もう、主は生きていない。これは、ただの借り物に過ぎん。言うなれば、着ぐるみだ。」

パチェ「は・・・?」

ゴード(?)「主の中でしばらく寝ていたが・・・主が死んだのでな。主から許可も頂いた。・・・少し、主に変わるぞ。」

ゴードは、少しの間目を瞑って、また開けた。先ほどとそう変わりないが、目に生気がハッキリと浮かんでいた。

ゴード「ごめんな、俺が弱いばかりに・・・。この姿は、俺の孤独と絶望が生んだ姿なんだ。」

レミィ「状況が上手く飲み込めないのだけど・・・。」

ゴード「うーん・・・簡単に言えば、もう1人の人格ってやつかな。ただ、全てをほろぼそうとするから、ずっと封印ふういんしてたんだけどね。」

フラン「全てを滅ぼそうとするって・・・昔の私みたい。」

ゴード「はは、まぁそれに近い感じだ。・・・この龍は、破壊龍はかいりゅう ヘルガイア。目に入るもの、人、全部を破壊する。・・・だから、紫さん。」

紫「・・・私が、どこか遠い場所に隔離かくりすればいいのね?」

ゴード「はい。」コクッ

魔理沙「ちょ、ちょっと待って欲しいんだぜ!それじゃ、ゴードはどうなるんだ!?」

ゴード「あれ、聞きませんでした?僕は死んだんです。今話せてるのは、コイツが何とかしてるから。もうすぐ、魂が壊れるんです。」

霊夢「・・・じゃあ、もう二度と会えないってわけ?」

ゴード「うーん・・・まぁ、そうなりますかね。天国にも地獄にも行けず、この世界・・・いや、全世界から消しさられます。」

霊夢「ふざけないでよっ!なんで、なんで・・・!!」

ゴード「嘆いたって仕方ありません。全てが遅い。・・・いや、最初からゲームオーバーだったんですよ。俺が死んで、みんなはいつも通りに戻る。・・・それだけです。」

霊夢「っ・・・!」

ゴード「・・・っと、もうダメみたいです。本当に、ありがとうございました。・・・楽しかったです。レミィ、あとは頼んだぞ。」

レミィ「・・・・・・えぇ。」

ゴード「ごめんな・・・さよなら。」

その瞬間、何かがくだけ散る音が、その場に響いた。



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