人違いで異世界に召喚されたが、その後美少女ハーレム状態になった件

あまたつ

第12話 出会った美少女は魔法使いな件

 俺は今、ルイに腕を引っ張られながら小屋へ向かっている。

「なあルイ、俺まだそのルールとやらがいまいち分からないんだけど?」

「その話はセーフティールームに着いてからです!」

「そんな怒らなくても……」

 ルイはムスッとした顔で、俺に目も合わせずに歩いている。

 なんだかなあ……。
 俺は上を向きながらため息をついた。

「……ん?」

 ふと、視線の先に人影が見えた。

 この森はたくさんの木が茂っている。木の高さは大体20メートル程ある。そんな木がまっすぐに伸びているのだが、その木の上の方の枝に人が座っているように見えた。

「あんなところに人が……どうやって登ったんだ?」

 俺は人影が見えた方を指差しながらルイに聞いた。

「え?人って………!」

「ぐおっ!?」

 突如、ルイは驚きの表情を浮かべ、俺を突き飛ばした。

『ドシュッ!』

 俺が突き飛ばされた直後、俺が立っていたところを緑色のレーザーのようなものが横切った。

「ぐっ!」

 尻餅をついた俺は、慌ててレーザーが伸びてきた方向に目をやった。
 レーザーを放った主は、俺が見た、木の上に座っていた人影だった。

『シュウ~』

 ふと、レーザーが当たった木を見た。

「……!?」

 その木はシュウ~と音をたて、溶けていた。

「翔太さん!早く逃げて!」

 ルイが険しい表情で、木の上の人影を見ながら叫んだ。

「どどど、どういうことだ!?」

 俺は同様を隠しきれなかった。

 立ち上がろうとするが、溶けていく木を見た瞬間、恐怖で腰が抜け、立ち上がることができない。

「反応だけは相変わらず良いな、ルイ」

 木の上に立つ人影がそう言いながら、その場をジャンプし、そのまま地面へ落ちていった。

『トッ』

 あの高さから落ちたにも関わらず、無傷で、ほとんど音をたてずに着地した。

「……!」

 その人影は、着地したと同時に俺たちに歩み寄ってくる。
 だんだんとその人影が鮮明になっていく。

 そして、俺達から5メートル程離れたところで立ち止まった。

「……女?」

 目の前に立っているのは、俺と同い年位の女の子だった。

 金髪のくせっ毛を肩まで垂らし、魔女のような服装をしていて、顔がとても可愛い美少女だった。

「久しぶりだな、ルイ」

 金髪の美少女が、不敵な笑みを浮かべながら言った。
 そんな彼女を、ルイは険しい表情で睨み付けていた。

「何でここにいるんですか?アリサ」

 強張った口調で、ルイは金髪の美少女に言った。

「え~と……お前ら知り合いなのか?」

 いまだに腰が抜けている俺が、ルイに聞いた。
 やべえ、俺めっちゃだせえ。

 すると、ルイが金髪の美少女を睨み付けたまま言った。

「彼女の名前はアリサ。私の元仲間です」

「……元?」

 元っていうことは、つまり……。

「はい、今は私の敵です」

 それから、ルイはアリサについて色々と説明してくれた。

 要約すると、アリサはルイの元仲間で、5人組のうちの一人だったそうだ。魔法を使うのに長けていて、この世界でも5本の指に入る程だそうだ。
 そんなアリサは、今、異世界からの侵入者を抹殺する軍隊にはいっているそうで、さっきの俺達の会話を聞いて、俺を殺しに来たというわけだ。

 この世界で5本の指に入るような魔法使いが俺を抹殺しに来た、か。

 ……詰みましたね。

 無理無理無理!!人生最大の無理ゲーポイントだろ!

 何!?俺なんか悪いことした!?してないよね!ねえ!してないよね!?

「大丈夫です翔太さん、落ち着いてください」

 無理ですね!どうあがいても無理ですね!

 ルイは、右手で緑色に光る球体を作っていた。おそらく魔法だろう。

 それを見たアリサは前屈みなった。

「分かってんのかルイ?私を止めるってことはあんたも犯罪者だぜ?」

 アリサの言葉に、ルイは少し間をあけてから言った。

 って何!?犯罪者!?なんで!??

「……ええ、承知のうえですよ」

 そう言って、ルイは右手に作っていた球体の魔法をアリサめがけて放った。

「リーフカット!!」

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