噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
90 激突! 尖兵団班長vs織田五大将 その2
勝算といってもこの剣と補正を上手く活かして凌ぐくらいが限界なのだが、今の桜夜にとってはそれだけで十分だ。重要なのはどれだけ時間を稼げるか、なのだから。
(あいつら、ちゃんと逃げ切っただろうな……)
一抹の不安を残し、まだ死ぬわけにはいかない桜夜は、もう一度四肢に力を込め気合いを入れ、走り出した。
「やってやるぜっ!!」
「ふん、さっさと来なさいよ……殺してあげるから…」
待ち構えるは織田五大将・未智咲雪姫。先程から振るわれる彼女の得体の知れない槍術は、さぞかし桜夜を苦しめることだろう。
「はぁぁぁぁぁ……ヤァ!……セイ!」
槍を軽く捌き、短い気迫とともに振るわれる一閃、二閃。それらは彼女の間合いで収まることを知らず、それぞれ一陣の風となり大気を震わせ桜夜に襲いかかる。
「見えねぇもんは……勘任せだっ!」
桜夜は神秘によって補正された勘により風と風の合間を見いだし、同じく向上している回避能力でそこに滑り込む。
無論、無傷とはいかず左頬と右腕を浅く傷つけられるが、怯んでいる暇はない。
「まだよ!…ハァ!…セイ!…ヤァ!」
「…クッ!」
再び迫り来る閃風が三つ。これを先程のように身を滑り込ませ回避すのは、いくら補正が掛かっているとしても至難の業だろう。
ならば…
「風をかき乱してやれば…いいよなぁ!」
上段に構えた剣を型を無視しタイミングを見計らい一気に振り下ろす。型が定まっていないため洗練こそされてないもののその分力強い。
「フッ!!」
一閃目の風刃を捉え霧散させる。しかしそう甘くはない。
「ヤベッ!……ノワァァ!」
振り抜いてしまったため、続く二閃、三閃に対応出来ず、攻撃をまともに喰らい吹き飛ばされてしまう。
腹と脚から飛び散る鮮血が痛々しく、また彼の悲鳴がさらにそれを際立たせる。
「グッァァァァアアアアアアアアッ!」
弓兵の死体が切り刻まれた時ほど、切れ味は良くないので傷は浅い方だが、それでも痛いものは痛い。
「もうお終いね…」
「まだだ……まだ動く…手も足もまだ動く!!」
頬を伝う血を拭いながらも、満身創痍で立ち上がる桜夜と髪を掻き上げ冷めた眼でそれを見る未智咲。
「無駄よ、あなたに私の技は破れないのだから……それに…」
スッと未智咲が右手を掲げると…
ーズドドドドドドドッ
「…ッァアアアアアアアアアアァアアア!」
途端に飛来する無数の矢。上がる絶叫。舞い散る紅。
「忘れちゃ駄目よ、私の仲間が常にあなたを狙っていることも」
「…仲間…仲間だと?」
何かもの言いたげに眼を鋭くする桜夜。
「なによ、なんか文句あるの?」
「…仲間ならなんで……なんでさっき死体を切り刻んだんだ?」
「………」
「…なんで助けられたはずの仲間を見殺しにしたんだ?」
「………」
何を問い掛けても、何度問い返しても返ってくるのは沈黙のみ。
「答えろよ!……なんでだ!」
「……」
ボロボロの身体を無理に動かしてまで、桜夜は答えを求める。そんな彼の態度に何か言う気になったのか、口を開く未智咲。
「うるさいわね、死に体のくせに……さっさとあの世に送ってあげるわ」
またもや彼女の右手がスッと挙げられる。
ーズドドドドドドドッ
すぐさま迫り来る矢、矢、矢。四方八方はもちろんのこと、直上に至るまで桜夜の視界が矢で埋め尽くされる。
身体は思うように動かず、到来する死と絶望をただ見ていることしか今の彼にはできなかった。
(クソッたれ、俺も……ここまでか…)
もう何度目かもわからない諦め、それが桜夜の中で確実になろうとしたその時…
ーパァァンン!!
遙か遠くで重なった二発の銃声が聞こえた気がした…
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
まさかの主人公やられ回(あれ?毎回のような…)ですが、これからどうなっていくのかお楽しみに!
(あいつら、ちゃんと逃げ切っただろうな……)
一抹の不安を残し、まだ死ぬわけにはいかない桜夜は、もう一度四肢に力を込め気合いを入れ、走り出した。
「やってやるぜっ!!」
「ふん、さっさと来なさいよ……殺してあげるから…」
待ち構えるは織田五大将・未智咲雪姫。先程から振るわれる彼女の得体の知れない槍術は、さぞかし桜夜を苦しめることだろう。
「はぁぁぁぁぁ……ヤァ!……セイ!」
槍を軽く捌き、短い気迫とともに振るわれる一閃、二閃。それらは彼女の間合いで収まることを知らず、それぞれ一陣の風となり大気を震わせ桜夜に襲いかかる。
「見えねぇもんは……勘任せだっ!」
桜夜は神秘によって補正された勘により風と風の合間を見いだし、同じく向上している回避能力でそこに滑り込む。
無論、無傷とはいかず左頬と右腕を浅く傷つけられるが、怯んでいる暇はない。
「まだよ!…ハァ!…セイ!…ヤァ!」
「…クッ!」
再び迫り来る閃風が三つ。これを先程のように身を滑り込ませ回避すのは、いくら補正が掛かっているとしても至難の業だろう。
ならば…
「風をかき乱してやれば…いいよなぁ!」
上段に構えた剣を型を無視しタイミングを見計らい一気に振り下ろす。型が定まっていないため洗練こそされてないもののその分力強い。
「フッ!!」
一閃目の風刃を捉え霧散させる。しかしそう甘くはない。
「ヤベッ!……ノワァァ!」
振り抜いてしまったため、続く二閃、三閃に対応出来ず、攻撃をまともに喰らい吹き飛ばされてしまう。
腹と脚から飛び散る鮮血が痛々しく、また彼の悲鳴がさらにそれを際立たせる。
「グッァァァァアアアアアアアアッ!」
弓兵の死体が切り刻まれた時ほど、切れ味は良くないので傷は浅い方だが、それでも痛いものは痛い。
「もうお終いね…」
「まだだ……まだ動く…手も足もまだ動く!!」
頬を伝う血を拭いながらも、満身創痍で立ち上がる桜夜と髪を掻き上げ冷めた眼でそれを見る未智咲。
「無駄よ、あなたに私の技は破れないのだから……それに…」
スッと未智咲が右手を掲げると…
ーズドドドドドドドッ
「…ッァアアアアアアアアアアァアアア!」
途端に飛来する無数の矢。上がる絶叫。舞い散る紅。
「忘れちゃ駄目よ、私の仲間が常にあなたを狙っていることも」
「…仲間…仲間だと?」
何かもの言いたげに眼を鋭くする桜夜。
「なによ、なんか文句あるの?」
「…仲間ならなんで……なんでさっき死体を切り刻んだんだ?」
「………」
「…なんで助けられたはずの仲間を見殺しにしたんだ?」
「………」
何を問い掛けても、何度問い返しても返ってくるのは沈黙のみ。
「答えろよ!……なんでだ!」
「……」
ボロボロの身体を無理に動かしてまで、桜夜は答えを求める。そんな彼の態度に何か言う気になったのか、口を開く未智咲。
「うるさいわね、死に体のくせに……さっさとあの世に送ってあげるわ」
またもや彼女の右手がスッと挙げられる。
ーズドドドドドドドッ
すぐさま迫り来る矢、矢、矢。四方八方はもちろんのこと、直上に至るまで桜夜の視界が矢で埋め尽くされる。
身体は思うように動かず、到来する死と絶望をただ見ていることしか今の彼にはできなかった。
(クソッたれ、俺も……ここまでか…)
もう何度目かもわからない諦め、それが桜夜の中で確実になろうとしたその時…
ーパァァンン!!
遙か遠くで重なった二発の銃声が聞こえた気がした…
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
まさかの主人公やられ回(あれ?毎回のような…)ですが、これからどうなっていくのかお楽しみに!
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