噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神

鬼崎

72 織田五大将その2

「で? なんなのこいつら?」

 そんな一言とともに、話がようやく進み出す。
 話を切り出したのは、ミディアムヘアがよく似合っている女の子だ。彼女は殺戮者達を指差しながら、信長に説明を求めた。

「こやつらは殺戮者と武器商人だ。あー真っ黒の方が殺戮者な」
「それで殺戮者、あんた何しにきたの?」

 信長の適当な紹介を受け、これなら本人に直接聞いた方が早いと判断した彼女は、率直に目的を聞き出そうとする。
 が、それに待ったをかける殺戮者。

「その前にだ。君達の名前を教えてくれるかな?」
「は?なんで?」
「えっ?」

 即座に質問を質問で返され、若干戸惑う殺戮者。

(こいつ。やりおる)

 そんな殺戮者の姿を見て、彼の隣で彼女達を畏敬の念を込めつつ観察している武器商人。だが、その武器商人も彼女の癇に障ったのか…

「ちょっと、隣のあんた。武器商人だっけ?さっきからジロジロ見てんじゃないわよ!キモいのよ!」
「なっ!?」

 突然睨みつけられ、しかも罵倒される武器商人。片膝をつきうなだれている。ちょっと心が傷ついたようだ。
 
「まぁ待て…このままでは一向に話が進まん、名前くらい教えてやってくれ。その方が話も円滑に進むというものよ…」
「あ、あんたがそう言うなら…仕方ないわね……感謝しなさい…」

 その三人の会話を欄丸達とともに、少し離れた場所で聞いていた信長は、自ら話し合いを放り出したにもかかわらず、話が進まないことが流石に不味いと思ったのか殺戮者側にフォローを出した。

 そしてなぜか先程まで強気だったミディアムヘアの女の子が、信長の一言で急に恭しくなる。

「わ、私の名前は…未智咲 雪姫みちさき ゆき……織田五大将の一人よ。覚えておきなさい!」

 そう言って雪姫は殺戮者達を指差し、頬を朱に染めつつドヤ顔で決める。彼女もなかなかノリノリのようだ。

「おい、お前も言っとけ」
「は~い、わかりました~」

 次に信長の隣にいたポニーテールが特徴の女の子が、信長に言われ雪姫の隣に立つ。こちらも元気いっぱいに挨拶をし始める。

「初めまして~私は、矢帝 天子やみかど あまねと言います!雪姫ちゃんと同じ織田五大将の一人です!よろしくお願いしま~す」

 左手を腰にあて、右手で敬礼のポーズをとり、とびっきりの笑顔で挨拶する天子。そのあふれる元気のせいか、先程からポニーテールがなかなか落ち着かない。

 そんな二人を前にする殺戮者達は、「あと三人似たようなのがいるのか…」と珍しく意見がそろい、同時にため息をつくのだった。


いつもお読みいただき、ありがとうございます!

久方振りの女性キャラ登場に、ちょっと手こずっていますが、頑張って書いていこうと思います!

これからも応援よろしくお願いします!



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