噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
70 たぶん託された者達
各人の個性的? な茶番を含んだ自己紹介が終わり、天守内には数秒の沈黙が続いたが、それに終止符を打ったのはやはりこの男だった。
「あんたがあの織田信長とはな…」
「そういう貴様が殺戮者か…」
構えていた刀を納刀し、警戒を解く信長。
両者互いに相手を見定めるかのようにして、上から下に視線を移動させる。そして一拍おいて。
「「期待外れだ…」」
「あ"ッ?」
「はぁ?」
息ぴったりの感想を述べ、双方メンチを切り合う。そんな二人に対して、欄丸と武器商人はというと。
「「まぁまぁ…落ち着いて…」」
こっちもこっちで息ぴったりだった。
だが、そんな仲裁に聞く耳を持たない、持つはずがない信長と殺戮者の二人はどんどんヒートアップしていく。
「やんのか…あ"ぁ? 戦国ちょんまげ!!」
「なんだとぉ? この厨二野郎!」
一つ訂正しておくと、信長の髪型はちょんまげではない。おそらく、殺戮者の偏見だろう。
一方、厨二野郎に関しては…まぁ事実なので…
そして彼らの罵り合いが激化していく中、苦労人二人が立ち上がる。
二人は、信長と殺戮者の両肩を掴み……
「「い・い・か・ら落ち着けッ!!」」
強引に引き離し、畳の上に座らせる。正座だ。
さらにそれぞれが、二人に説教を始めた。
「おい殺戮者!」
「はい…」
「いつもいつも自分勝手に行動しやがって、てめぇが問題起こしたときいったい誰が責任とって謝ってると思ってんだ? あ"ぁ?」
「…でも俺…殺戮者ですし…」
「でももクソも無いんだよぉ! 俺が聞いてるのはそんなことじゃねぇ。反省してんのかって、聞いてんだよッ!」
「はい…反省しております…」
~(以下略)~
普段では想像できないほど怒っている武器商人を前に、殺戮者はただ謝るしかなかった。その姿は、今までの残虐なイメージが総崩れするほどだ。
もちろんあれはあれ、これはこれはなので殺戮を辞めるわけではないが。
そしてその隣で正座し、同じくただ謝っているのはこの城の城主にして異世界覇者、織田信長だった。
「いいですか、信長様!」
「はい…なんでしょう」
「毎度毎度、言っておりますが信長様は、僕らの主なんですよ?」
「はい…」
「なら、このような揉め事は起こさず、僕らの主たる格のある御方になっていただきませんと!」
「はい…心得ています」
「まず信長様には頂点に君臨する者の自覚がないのです!」
「…はい。おっしゃる通りです」
「そこッ!そこですよ! 自身の家来に敬語って主君的にどうなんですか?」
「はい…面目次第もございません…」
~(以下略)~
こちらもこちらで説教が行われているが、こちらの方は最早日常茶飯事と化しているため、この城ではそんなに珍しくはない。
というより、この説教は異世界でも行われており、欄丸はすっかり説教癖が板に付いているのである。
以前の信長なら即切腹だっただろう。
もちろん信長も最初は怒涛の勢いで飛んでくる遠慮なしの言葉に激怒し、大喧嘩に発展したこともあったが、今では普通に説教されている。
異世界に召喚された時、心境の変化でもあったのか、特に欄丸は信長に厳しくなり、逆に信長は欄丸に甘くなったりと、いいバランスがとられている。
そのおかげか、彼らのコンビネーションは抜群で、手合わせなどで織田五大将全員が二人に挑んでも、いつも二人が勝利してしまう。
それは二人が互いを心から信頼している証であり、誇りでもある。
そんなこんなで約20分程の説教が終わり、殺戮者と信長は完全にローテンションだ。その一方で武器商人と欄丸は活き活きとしている。
挙げ句の果てに、二人は自身の苦労話をし合うほどだ。
とその時。
「殿~さっきから騒がしいですけど、何かあったんですか~?」
「ほっときなさいよ。どうせまた説教でしょ?」
階下から、二人の明るい元気な声が聞こえてきた。声の高さから察するに女性だ。その二人はどうやら、こちらにやってきているらしく、階段が軋む音が段々と近付いてきている。
「これでも私達は織田五大将ですよ~もし殿に万一の事があったら~」
「それは…そうかもしれない…けど…」
そうやって談笑しながら階段を登ってきているが、もうすでに万一の事は起きている。
果たして彼女達はこの後、どのような反応を示すのか…
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
すみません。なぜか説教メインになってしまいました。
次回、織田五大将初登場!(やっと話が進む予感)
これからもよろしくお願い致します!
「あんたがあの織田信長とはな…」
「そういう貴様が殺戮者か…」
構えていた刀を納刀し、警戒を解く信長。
両者互いに相手を見定めるかのようにして、上から下に視線を移動させる。そして一拍おいて。
「「期待外れだ…」」
「あ"ッ?」
「はぁ?」
息ぴったりの感想を述べ、双方メンチを切り合う。そんな二人に対して、欄丸と武器商人はというと。
「「まぁまぁ…落ち着いて…」」
こっちもこっちで息ぴったりだった。
だが、そんな仲裁に聞く耳を持たない、持つはずがない信長と殺戮者の二人はどんどんヒートアップしていく。
「やんのか…あ"ぁ? 戦国ちょんまげ!!」
「なんだとぉ? この厨二野郎!」
一つ訂正しておくと、信長の髪型はちょんまげではない。おそらく、殺戮者の偏見だろう。
一方、厨二野郎に関しては…まぁ事実なので…
そして彼らの罵り合いが激化していく中、苦労人二人が立ち上がる。
二人は、信長と殺戮者の両肩を掴み……
「「い・い・か・ら落ち着けッ!!」」
強引に引き離し、畳の上に座らせる。正座だ。
さらにそれぞれが、二人に説教を始めた。
「おい殺戮者!」
「はい…」
「いつもいつも自分勝手に行動しやがって、てめぇが問題起こしたときいったい誰が責任とって謝ってると思ってんだ? あ"ぁ?」
「…でも俺…殺戮者ですし…」
「でももクソも無いんだよぉ! 俺が聞いてるのはそんなことじゃねぇ。反省してんのかって、聞いてんだよッ!」
「はい…反省しております…」
~(以下略)~
普段では想像できないほど怒っている武器商人を前に、殺戮者はただ謝るしかなかった。その姿は、今までの残虐なイメージが総崩れするほどだ。
もちろんあれはあれ、これはこれはなので殺戮を辞めるわけではないが。
そしてその隣で正座し、同じくただ謝っているのはこの城の城主にして異世界覇者、織田信長だった。
「いいですか、信長様!」
「はい…なんでしょう」
「毎度毎度、言っておりますが信長様は、僕らの主なんですよ?」
「はい…」
「なら、このような揉め事は起こさず、僕らの主たる格のある御方になっていただきませんと!」
「はい…心得ています」
「まず信長様には頂点に君臨する者の自覚がないのです!」
「…はい。おっしゃる通りです」
「そこッ!そこですよ! 自身の家来に敬語って主君的にどうなんですか?」
「はい…面目次第もございません…」
~(以下略)~
こちらもこちらで説教が行われているが、こちらの方は最早日常茶飯事と化しているため、この城ではそんなに珍しくはない。
というより、この説教は異世界でも行われており、欄丸はすっかり説教癖が板に付いているのである。
以前の信長なら即切腹だっただろう。
もちろん信長も最初は怒涛の勢いで飛んでくる遠慮なしの言葉に激怒し、大喧嘩に発展したこともあったが、今では普通に説教されている。
異世界に召喚された時、心境の変化でもあったのか、特に欄丸は信長に厳しくなり、逆に信長は欄丸に甘くなったりと、いいバランスがとられている。
そのおかげか、彼らのコンビネーションは抜群で、手合わせなどで織田五大将全員が二人に挑んでも、いつも二人が勝利してしまう。
それは二人が互いを心から信頼している証であり、誇りでもある。
そんなこんなで約20分程の説教が終わり、殺戮者と信長は完全にローテンションだ。その一方で武器商人と欄丸は活き活きとしている。
挙げ句の果てに、二人は自身の苦労話をし合うほどだ。
とその時。
「殿~さっきから騒がしいですけど、何かあったんですか~?」
「ほっときなさいよ。どうせまた説教でしょ?」
階下から、二人の明るい元気な声が聞こえてきた。声の高さから察するに女性だ。その二人はどうやら、こちらにやってきているらしく、階段が軋む音が段々と近付いてきている。
「これでも私達は織田五大将ですよ~もし殿に万一の事があったら~」
「それは…そうかもしれない…けど…」
そうやって談笑しながら階段を登ってきているが、もうすでに万一の事は起きている。
果たして彼女達はこの後、どのような反応を示すのか…
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