噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神

鬼崎

43 死神達のメタ○ギアごっこ

 壱月達は現在、《最強》の執務室へ向けて基地内を移動中だ。
ただ普通に移動しているわけではない、他の構成員達にバレないよう某ステルスゲームの主人公のように時には隠れ、時には気絶させ、また時には眠らせ、挙げ句の果てにダンボール箱に入るなどして移動しているのだ。
個人的に一番最後のはかなり目立つと思うのだが……あれは男のロマンだ仕方ないだろう…
もっと楽にする方法はいくらでもあるのだが、それを実行しないのは思いつかなかっただけなのか、はたまた敢えてこの方法をとっているのか、どちらなのかは皆目見当もつかないが、壱月が楽しんでいるのは事実だ。
たまに頭上からビックリマークを出したりして(原理は不明)遊びながらも隠れていたりする。

(こちら壱月。二階から三階への階段に接近中、以上。)
(こちら巴音。了解、以上。)
因みにこれも遊びの一つだ。本当ならやる必要はない。何故なら二人の距離は全然離れていないのだから。
だがこの移動を始める前、壱月は言ったのだ、どうしてもコレがやりたいと。一度巴音と《最弱》は反対したのだが、子どもように駄々をこね始めた壱月に二人は折れた。というよりは巴音が「駄々をこねてる壱月様、可愛らしい」とか言って壱月側に賛成しだしたことで《最弱》が折れるしかなかった、と表現するのが正しいだろう。

そして《最弱》はスパイとして壱月達を先導している状態だ。
だから二人とは別行動中だ。少し先を歩いているだけだが…
(こちら《最弱》。今そちらに《最高》と《最低》が接近している、以上。)
階段を上ろうとしている壱月達に今日何回目かの試練が訪れる。

コツコツコツコツ

上階から階段を下りる音が響いてくる。
対する壱月達は、
(こちら壱月。巴音さんと二人で少し後退する、以上。)
(こちら巴音。了解しました、以上。)
足音をたてないように、忍び足で階段から後退し、先ほどまでいた曲がり角に戻る。
そこで二人そろって壁に背を付け、『ドレッドノート』を起動させ、迷彩布に変形させてかぶる。
それに加え、『ドレッドノート』の隠蔽術式を各種起動し、気配、温度、心音、神秘を遮断し、最後に「ここでバレてしまうという運命」さえも隠蔽する。これでこの二人に気づける者は、世界調停機関の中ではいなくなっただろう。
この状態で《最高》と《最低》が通り過ぎるのを待つ、一階に行った可能性もあるがここは慎重に3分間待機する。

3分後、また二人は移動を開始する。さっきからこれの繰り返しだ。『ドレッドノート』を継続使用しても良いのだが、そこも壱月の遊び心が働いているのだ。曰わく、スリルがないとダメらしい。
(こちら壱月。三階へ向けて移動開始、以上。)
(こちら巴音。壱月様に続けて移動開始します、以上。)
今度こそ階段を上り始める壱月達。
(こちら《最弱》。異常なし)
《最弱》からの通信も確認し、階段の踊場へ到達。その後三階へ。
あとはここの一番奥の部屋まで行くだけだ。

ここから先は一直線の為、常時隠蔽工作をしていなければならない。
ならないのだが…何故か壱月はダンボール箱に入っていた。
不自然すぎる。
しかし、対策はある。実はこのダンボール箱、正体は『ドレッドノート』だ。よって迷彩効果と隠蔽術式が使えるのだ。
さすが『万能武装』の名を冠するだけのことはある。
そして迷彩効果、隠蔽術式発動!
一瞬でそこから気配が消え、先程までの不自然な感じが無くなる。案外ダンボール作戦は成功のようだ。
しばらくして、巴音もダンボール箱に入って壱月のあとを追い始めた。
《最弱》はそんな二人をジト目で見つつ、《最強》の執務室までの距離を目測で測り、歩を進めていくのだった。



いつもお読みいただき誠にありがとうございます。

メタ○ギアを意識したつもりですが全然メタ○ギアではありませんでした。
ファンの方々申し訳ありません。私はにわかです。

こんな事もたまには書いてしまいますが、これからもよろしくお願い致します。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品