噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神

鬼崎

34 錬金術師と死神

 壱月と巴音は仲良く痴話喧嘩した後、二人の目の前には、ゴツゴツとした岩場が広がっていた。

「お前、本当に世界を創ったのか!?」
「だから、創れると言っただろう」

 峰影が世界を創り上げたことを証明し、宣戦布告する。

「さぁ、これで僕と戦えるよね?」
「た、確かにルールは守っているが…」
「じゃあ戦闘開始だ!」
(やっぱり人格変わってないか?)

 そして峰影は、先ほどまで使っていたT字杖をどこからともなく取り出して、地面を軽く数度叩く。

トントン…トントン…

 軽やかな音とともに、地面の錬成が開始され…

「これが…僕の錬金術だ!」

やがて、数種類の武装が出来上がる。

「ガトリング、ロケットランチャー、ミサイル……完成」
「…!!」

 造り出された各種近代兵器に多少動揺するが、すぐに冷静に行動する壱月。

「巴音さん、ここから離れて!」
「わかりました。こちらでも準備が出来次第、援護狙撃を始めます!」
「助かる、ありがとう!…『ドレッドノート』起動!」

 巴音は後方で援護の準備に取りかかり、壱月は『ドレッドノート』を起動、変形させ自律型のシールドと機関銃をそれぞれ2機ずつ展開し、自身は【死雨】をミサイルの迎撃のため抜刀し中段に構える。

「攻撃…開始!!」

 その一言で戦いの火蓋が切られ一斉に銃撃が始まり、錬金術師は地面に障壁を錬成し防ぐ。一方死神は『ドレッドノート』と使いこなせるようになった【死雨】で攻撃を凌ぐ。

 物量戦で両者は互角だが、ここからは質の問題だろう。
 錬金術師はどれだけこの世界を有効活用できるか、死神は自身の持てる力をどれだけ振るう事ができるか。その結果によって勝者は決まるだろう。

「聖海の錬金術…行使!」

 今度は土から触媒用の剣を錬成しはじめ、必要な本数を錬成するために攻撃手段を増やし時間を稼ぐ。

「クッ!『ドレッドノート』追加起動!」

 死神は最後の一本を起動し、自身の身体能力強化に使う。手数が増えた攻撃をさらに防ぎ、凌ぐ。
 この時点で、自律シールド型『ドレッドノート』は許容限界を超えているため使い物にならず、壱月を守りきれていない。

(拉致があかねぇ…【死神剣術式・牙突】さえ撃てる隙があれば…)

 策はあるようだが、相手に隙がないようだ。隙を作るにしても、こちらの『ドレッドノート』は全て起動しているためできない。
 その事を知ってか知らずか、どんどん錬金術師の武装は増えていき、それと同時に触媒用の剣が次々完成していく。

 そして死神にも限界はある。

「ッ!」(ヤバい!)

 ついに死神の剣速よりも速く、高密度に弾幕が形成され数秒後、決着が着くと思われた瞬間…

ドパァァァン!

低くて長い銃声の後、壱月の眼前には魔法結界が形成され、その身を弾幕から守っていた。

「間一髪だな…」

 直後、心言通信により声が届けられる。

(間に合いましたか?)

 その声はもちろん巴音だ。

(ああ、助かった。ありがとう!)
(良かったです。では援護を開始します!)
(頼んだ!)

 心言通信を終え、結界の中で深呼吸し、思考をクリアにしていく壱月。
 そしてあることに気付く。

「この弾幕は一見複雑に思えるが、案外単純だな…これなら…」

 壱月の言うとおり錬金術師の武装は動いていないので、弾幕も毎度同じように張られているのだ。

(この結界はどのくらいもつ?)
(あと一分です)
(わかった!)

 礼を言うと同時に、自律シールド型『ドレッドノート』を回収し、さらに変形させ…

「身体能力強化!」

三重に身体を強化し、反撃の準備を進めていく。



投稿が遅れてすみません。

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