噂の殺戮者に出会ったので死刑執行しますby死神
20 任務開始?
しばらくすると、木戸さんが支部長室に荷物を持って戻ってきた。どうやらちゃんと用意してくれたらしい。
「どうだ、これからお嬢ちゃんとうまくやって行けそうか?」
「…はい、なんとか」
「はは、まあ時間はたくさんあるんだ、気づけばそのうち自然と親しくなってるよ」
「そういうものですかね」
「ああ、そんなもんだ」
木戸さんはこう言うが、本当にそうなのだろうか?なにせ握手を交わしてから、木戸さんが戻ってくるまで喋れていないのだから。あれは本当に気まずかった…
「で、お前さんに頼まれてた物だが、これでいいかい?」
木戸さんはそう言って、支部長の机に荷物を並べる。ちゃんと俺が頼んだものを用意してくれたようだ。
「ありがとうございます。これで揃ってます」
「おう、そりゃよかった。任務には今から行くのか?」
「いえ、ひとまず家に帰って、身支度してから始めるつもりです」
「そうか。確かお前さんの家は人間界だったな、ということはもう死神界に戻らないわけだな?」
「はい、どうかしましたか?」
「なら殺戮者の向かった先を教えておかなきゃな」
「あ!そうでした。それを聞かないと…追跡できない…」
壱月は素で忘れていた、まあ色々あったから仕方ないとは思うが…ここは斎藤一の言葉を借りてこう言おう、「阿呆」と…
「いや、こっちも【死雨】を渡した時に伝えておくべきだったんだがな…儂としたことが…」
「俺が…勝手に飛び出していきましたから…」
「そ、そうじゃったな…」
何故だろう、デジャヴを感じる。そして木戸さん、フォロー失敗…
「ああ…話を戻すぞ」
「はい…」
「これはお前さんの『ドレッドノート』の知覚拡大兵装時に記録され残っとった、音声データなんじゃが」
木戸さんは壱月の『ドレッドノート』を操作しはじめ、音声データを再生する。すると、しばらくノイズが鳴り、その後男の声が聞こえてくる。
『…ザザッ-死神…俺はこれから北海道に向かう。もしお前にまだ戦意があるなら、追いかけてこい。ちょっとは遊んでやる。…-」
「北海道…に向かったんですね?」
「おそらくな、この頃殺戮者が犯人だと思われる殺害事件が北に向かってかなり起きているから可能性は大きいだろう」
そこで今まで話を聞いていただけだった巴音が突然質問してきた。
「北海道に何かあるんでしょうか?」
「それも壱月君がダンジョン潜っとる間に調べたんだがな、結局わからんかった」
「そうですか…」
「ま、どっちみち行けばわかるよ、そうだろう巴音さん?」
(ヤベェ今初めて名前呼んだかも)
「そ…そうですね!それと「さん」はいりません、呼び捨てで結構ですよ?」(初めて名前呼んでもらえた!)
「か、考えておきます」
(呼び捨てとか無理に決まってんだろ!)
(この二人、結構良いコンビになるかもな)
そんなこんなで、壱月と巴音の二人は木戸と支部長室で別れて人間界に戻り壱月の家に来ていた。
「ここが俺の実家です」
「きれいなお家ですね」
「とりあえず、入りましょうか」
「はい!」
(何故嬉しそうなのだろう?)
玄関を開け、家に入る。すると、母と父が目の前にいた…
「おかえり、壱月。怪我はもう大丈夫?」
「ただいま、母さん。怪我の方は問題ないよ」
「ほほう…壱月、そのかわいい子が同行者さんか?」
「ああ、彼女はあk――」
「暁崎巴音と申します!お父様、お母様何卒よろしくお願いします」
「行儀よくて、可愛らしい、いい子でよかったねぇ。お父さんもそう思うでしょ?」
「ああ、こんな可愛い子と旅できる、壱月は幸せもんだな!」
「父さん、母さん、これから身支度してすぐに任務を始めなきゃいけないかr――」
「支度なら、もうできてるから心配せんでいい!」
「えっ?もうできてる?」
「そうよ。さっき死神本部から通達が来たからね、急いで準備したのよ」
「ならすぐにでも、出発しn――」
「させん!」
突然父さんに後ろをとられた…そしてどうでもいいけどさっきから俺の言うこと遮られすぎじゃね?
「出発するなら、このおれを倒していけ!」
「と、父さん!?」
そんなことを言い出す父さん。そして助けを求めて母さんを見る。
「わたしも壱月が出発するというなら、壱月の漫画全部捨てるわ!」
「か…母さんまで!?」
急にどうしたんだ?
「とにかく早く出発しないと、殺戮者の被害者がどんどん増えていくんだよ!」
「そんな事は知っている」
「ならそこをd――」
「だが、お前は殺戮者の現在地はわかるのか?」
「そ、それは…」(また遮られた…)
「それなら別にすぐ出発しなくてもいいじゃないか!」
「でも一刻も早く北海道に行かないといけないし、そのためには飛行機のチケットをとらなきゃいけいない!」
「あれ?壱月、お前…もしかして、こっちから行くつもりなのか?」
「へっ?そのつもりだけど?」(???何かおかしいのか?)
「お父さん、壱月に話してないんですか?」
「あ!話してない…」
「壱月、よく聞いてね。冥府を経由して行けば、世界各地どこでも一瞬で行けるのよ」
「は?」
壱月の思考回路が止まった…
実は冥府を経由して行く方法はかなり有名な話なんだが、今まで両親に説明されてなかったらしい。木戸や巴音は壱月の家が北海道の近くだと思っていたようだ。まあ仕方ない。
しばらくして壱月が復活する。
「冥府から行けるのか?」
「そうよ。ごめんね、説明してなくて」
「あ、いや、いいよ…気にしないでくれ…」
壱月は未だに衝撃を受けているようだ。そんな壱月に巴音は提案した。
「壱月様。ご両親はきっと朝まで、家族同士一緒に居たいだけなのでしょう。ですからどうか一緒にいてあげて下さい」
「そうなの?」
「ナイス提案よ巴音ちゃん!」「さすがは壱月のパートナー!」
「いえ、それほどでも」
巴音はなんだかとても嬉しそうだ。そして両親に完全にスルーされている壱月。はたしてそれは照れ隠しなのか、はたまた事実なのか…本当のところはわからない。だが一つわかったことがある。それは任務開始はまだまだ先だということだ。
これから朝まで斎藤家では暖かい団欒の時間が始まるのだろう。
「どうだ、これからお嬢ちゃんとうまくやって行けそうか?」
「…はい、なんとか」
「はは、まあ時間はたくさんあるんだ、気づけばそのうち自然と親しくなってるよ」
「そういうものですかね」
「ああ、そんなもんだ」
木戸さんはこう言うが、本当にそうなのだろうか?なにせ握手を交わしてから、木戸さんが戻ってくるまで喋れていないのだから。あれは本当に気まずかった…
「で、お前さんに頼まれてた物だが、これでいいかい?」
木戸さんはそう言って、支部長の机に荷物を並べる。ちゃんと俺が頼んだものを用意してくれたようだ。
「ありがとうございます。これで揃ってます」
「おう、そりゃよかった。任務には今から行くのか?」
「いえ、ひとまず家に帰って、身支度してから始めるつもりです」
「そうか。確かお前さんの家は人間界だったな、ということはもう死神界に戻らないわけだな?」
「はい、どうかしましたか?」
「なら殺戮者の向かった先を教えておかなきゃな」
「あ!そうでした。それを聞かないと…追跡できない…」
壱月は素で忘れていた、まあ色々あったから仕方ないとは思うが…ここは斎藤一の言葉を借りてこう言おう、「阿呆」と…
「いや、こっちも【死雨】を渡した時に伝えておくべきだったんだがな…儂としたことが…」
「俺が…勝手に飛び出していきましたから…」
「そ、そうじゃったな…」
何故だろう、デジャヴを感じる。そして木戸さん、フォロー失敗…
「ああ…話を戻すぞ」
「はい…」
「これはお前さんの『ドレッドノート』の知覚拡大兵装時に記録され残っとった、音声データなんじゃが」
木戸さんは壱月の『ドレッドノート』を操作しはじめ、音声データを再生する。すると、しばらくノイズが鳴り、その後男の声が聞こえてくる。
『…ザザッ-死神…俺はこれから北海道に向かう。もしお前にまだ戦意があるなら、追いかけてこい。ちょっとは遊んでやる。…-」
「北海道…に向かったんですね?」
「おそらくな、この頃殺戮者が犯人だと思われる殺害事件が北に向かってかなり起きているから可能性は大きいだろう」
そこで今まで話を聞いていただけだった巴音が突然質問してきた。
「北海道に何かあるんでしょうか?」
「それも壱月君がダンジョン潜っとる間に調べたんだがな、結局わからんかった」
「そうですか…」
「ま、どっちみち行けばわかるよ、そうだろう巴音さん?」
(ヤベェ今初めて名前呼んだかも)
「そ…そうですね!それと「さん」はいりません、呼び捨てで結構ですよ?」(初めて名前呼んでもらえた!)
「か、考えておきます」
(呼び捨てとか無理に決まってんだろ!)
(この二人、結構良いコンビになるかもな)
そんなこんなで、壱月と巴音の二人は木戸と支部長室で別れて人間界に戻り壱月の家に来ていた。
「ここが俺の実家です」
「きれいなお家ですね」
「とりあえず、入りましょうか」
「はい!」
(何故嬉しそうなのだろう?)
玄関を開け、家に入る。すると、母と父が目の前にいた…
「おかえり、壱月。怪我はもう大丈夫?」
「ただいま、母さん。怪我の方は問題ないよ」
「ほほう…壱月、そのかわいい子が同行者さんか?」
「ああ、彼女はあk――」
「暁崎巴音と申します!お父様、お母様何卒よろしくお願いします」
「行儀よくて、可愛らしい、いい子でよかったねぇ。お父さんもそう思うでしょ?」
「ああ、こんな可愛い子と旅できる、壱月は幸せもんだな!」
「父さん、母さん、これから身支度してすぐに任務を始めなきゃいけないかr――」
「支度なら、もうできてるから心配せんでいい!」
「えっ?もうできてる?」
「そうよ。さっき死神本部から通達が来たからね、急いで準備したのよ」
「ならすぐにでも、出発しn――」
「させん!」
突然父さんに後ろをとられた…そしてどうでもいいけどさっきから俺の言うこと遮られすぎじゃね?
「出発するなら、このおれを倒していけ!」
「と、父さん!?」
そんなことを言い出す父さん。そして助けを求めて母さんを見る。
「わたしも壱月が出発するというなら、壱月の漫画全部捨てるわ!」
「か…母さんまで!?」
急にどうしたんだ?
「とにかく早く出発しないと、殺戮者の被害者がどんどん増えていくんだよ!」
「そんな事は知っている」
「ならそこをd――」
「だが、お前は殺戮者の現在地はわかるのか?」
「そ、それは…」(また遮られた…)
「それなら別にすぐ出発しなくてもいいじゃないか!」
「でも一刻も早く北海道に行かないといけないし、そのためには飛行機のチケットをとらなきゃいけいない!」
「あれ?壱月、お前…もしかして、こっちから行くつもりなのか?」
「へっ?そのつもりだけど?」(???何かおかしいのか?)
「お父さん、壱月に話してないんですか?」
「あ!話してない…」
「壱月、よく聞いてね。冥府を経由して行けば、世界各地どこでも一瞬で行けるのよ」
「は?」
壱月の思考回路が止まった…
実は冥府を経由して行く方法はかなり有名な話なんだが、今まで両親に説明されてなかったらしい。木戸や巴音は壱月の家が北海道の近くだと思っていたようだ。まあ仕方ない。
しばらくして壱月が復活する。
「冥府から行けるのか?」
「そうよ。ごめんね、説明してなくて」
「あ、いや、いいよ…気にしないでくれ…」
壱月は未だに衝撃を受けているようだ。そんな壱月に巴音は提案した。
「壱月様。ご両親はきっと朝まで、家族同士一緒に居たいだけなのでしょう。ですからどうか一緒にいてあげて下さい」
「そうなの?」
「ナイス提案よ巴音ちゃん!」「さすがは壱月のパートナー!」
「いえ、それほどでも」
巴音はなんだかとても嬉しそうだ。そして両親に完全にスルーされている壱月。はたしてそれは照れ隠しなのか、はたまた事実なのか…本当のところはわからない。だが一つわかったことがある。それは任務開始はまだまだ先だということだ。
これから朝まで斎藤家では暖かい団欒の時間が始まるのだろう。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
2265
-
-
22803
-
-
59
-
-
140
-
-
1978
-
-
0
-
-
59
-
-
93
-
-
4
コメント