全てに飽きた俺は異世界を廻る

如月 颯

プロローグ


つまらない

1日に何度も出てくるこの言葉

言葉にして、心の中でも呟いて

横になって家の天井を見上げながらそんな事を考える

家に籠ってからもう数年が経とうとしていた。最初の方は勉強を続けていて退屈では無かった。

しかし1年しか持たなかった。出来るところはやりきってしまった、出来る所は。

次は俗に言うネットサーフィンにハマった。しかしそれは1年も持たなかった。理由はわからない。

そして今は飽きる事に飽きようとしている。飽きる気配はないが。

ネットに飽きてからはこうやってずっと天井を見上げているだけ。

ベットの上に居るとたまに泣きたくなる。虚無感から、孤独感から、もうそれも慣れかけて来ているが。

今日はもう寝よう。今が何時かすらわからないが。





寝ている時にふと目が覚めた、ベットの端にいた。

バランスを崩してベットから落ちる。

出来れば痛くなければいい。そんな事を考えながら目をつぶる。


しかしいつまで経っても衝撃は来ない。

おかしい、と思いながら目を開けると、そこは見たこともない原っぱだった。

「はぁ?」

我ながら素っ頓狂な声をだす。

その声は大きかったらしく、声が聞こえたのか狼のような動物達が集まってくる。

絶対絶命。

俺の人生終わった。そんな事を考えていると、

「ファイア!!」
 
どこからか火の玉が飛んでくる。それは狼のような動物にあたり倒してしまう。

「大丈夫?」

火の玉を飛ばしたであろう女に声をかけられる。

「え?あ、はい、一応大丈夫です」

内心びびりまくりだが、隠すようにそう答える。

「そう、なら良かった。けどさすがにこの数は相手できないから」

そう言い女は俺の手を引っ張っていく。


何もかも理解できない状況だが、不安と共に謎の楽しみが出てくる。





俺の飽きられない異世界冒険が始まるのは、もうちょっと後の話。



 

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