異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

再び、そして回し者

 
 俺が倒した男たちはガーズに使っていた縄を外してからそれを使って縛り放置、という訳にはいかないのでブルスさんに付いていてもらうことした。
 そして俺たちはニコルを先頭に全員馬で移動となった。
 この馬たちはもちろんニコルの部下たちが乗って来ていた馬だ。
 ワオルさんやアルも乗馬が出来るらしく各自馬で、この場にいるのはニコル、俺、アル、ワオルさん、そしてなぜかニコルと一緒に来た女性。の計五人。
 もう時期日が暮れるのでゲートで省きたいけどゲートのことを知られるのは面倒になるので残念ながら走って行くしかないな。
 時期的に夜は結構冷える。
 みんな曰く、もう時期春になるそうだがそれでもまだ夜風は寒い。
 そんなことを考えながら馬で走っていると王都の門に着いた。そのまま馬で門を通過し、昨日の酒場まで走った。

「来い」

 馬を酒場の前に放置してニコルと女が先に行き、その次に俺らが入った。
 ん ︎
 例のカウンター裏の扉を開けてニコルたちが入ろうとしたその時、すぐに地面を蹴ってニコルよりも先に前へ行く。

「おい、貴様!何を勝手な真似...」

 ニコルが怒鳴る途中でそれを止めた。俺が止めたため自分の額スレスレの所で矢が止まったからだ。

「な、何で....」
「お前らのボスは俺らを歓迎しているみたいだな」

 目に魔力を流し魔眼を発動させる。

「ふん、毒矢か」
「なっ ︎」

 魔眼を解除してから矢をへし折る。
 誰かを狙ったのではなく誰でも良かった、といった感じの罠だな。
 少しだけ空を切る音が聞こえたため間に合ったがこれが聞こえなければ確実に刺さって殺されていたかもな。

「ここからは注意して行くしかねえな、まだ罠があるだろうしな」
「そうだな....なら俺が先頭で何とかしよう」
「それはありがてぇんだが、小僧を先に行かせるのは大人としちゃ許せねえんでな。儂が先に行こう」
「....分かった、頼む」
「お願い....します...」
「おう!」

 胸を叩いて誇らしげな表情になる。
 最悪の場合は俺が何とかするか。
 そう決めてからワオルさんが先頭になりそのやや横に俺、そしてアル、ニコル、女といった感じで並んでいる。
 ニコルは沈んだ表情で歩いているが無理もない。
 しばらく降りて行くと再び罠が張られていた。今度のは落石次に落とし穴。
 こういった系の罠は残念ながらダンジョンで嫌と言うほど経験させられているためそれほど難しくはなかった。
 むしろダンジョンの方が危険だ。魔獣プラス罠を初見で出されると慌てる。
 そんな感じで罠を無事に回避しながら進んで行き、下の通路を通り抜けると大きな部屋に出た。
 以前のこともあって心の準備をしていたのだが、今回はあの強面男だけ部屋にいた。
 ....なるほどな。
 椅子に座る男の表情は明らかに怒っているのが分かる。そのため強面がさらに凄みを増している。

「.....やらかしてくれたなぁ。なあ、ニコル」
「 ︎い、いや...お、俺はた、ただガーズと戦ってみろ...と言っただけなので、俺が失敗した訳じゃあ....」
「ああんっ ︎」
「ひっ ︎」

 怯えながら言い訳をしたが強面の男は野太い声で威嚇いかくした。
 お前も乗ってなかったか?結構理不尽だな、こいつ。

「....まあいい、ニコルの処分は後日伝える。まずはそいつらからだ」

 そう言って男は俺らを睨みつける。

「まずはガーズへの勝利を賞賛してやる。なかなかの腕だな。その腕を見込んで貴様らを俺の直属の護衛にしてやろう」
「っな ︎」

 男の言ったことにニコルが驚きの声を漏らし何かを言おうとしたが男が睨んだことで黙った。

「質問があるなら訊いてやるぞ」
「....俺らはドゥクルの部下ということになっているんだが、それはどうするんだ?」
「あぁー、そんな奴もいたなあ・・・・・・・・・。忘れてた」

 ?幹部の一人を忘れていた?そういえばさっきの戦いの時も来ていなかった。
 仮にも自分の部下の勝敗で自分の身が左右するというのに観に来ていなかった。
 絶対の自信が持てるほど俺らとあいつとの間に関わりがない。だから観に来ず信じて待っていますというどこかの姫様をするとは思えない。

「だが、どうしたとて結果は変わらんぞ?あいつの元へ行こうとどうせ俺の部下には変わりない。だから俺は好きなように動かせる。理解出来たか、小僧」

 少し挑発するように言ってきているが、どちらかといえば違う。
 こいつは「どちらを選ぼうと自分が好きに出来る」と言った。それは俺らに選択肢を与えていないということだ。

「では、ドゥクルをどこへやった?」

 俺の質問に場が重くなった。
 少しして男が口を開いた。

「.....ふっ、殺したさ。いらないからな」
「「「なっ ︎」」」

 男はさも当然と言いたげな表情でそう言ってのけた。

「余計な客を俺らの隠れ家に連れてきた罰だ。死んで当然だ」

 そう言ってどこから取り出したのか酒瓶の栓を開け、そのまま飲み始めた。

「ぷはあー....ギルドからの回し者を連れて来たんだからなぁー」
「「「 ︎」」」

 ワオルさんたちが驚きの表情になる。どうやらニコルは気づいていなかったらしいな。
 そしてそれを言い終わると同時に初めから・・・・隠れていた武装状態の男たちが四方から出てきた。
 鎧や軽めの防具を着けた武装の男たちは俺たちを囲むように近づいてきた。

れ」
「うあぁぁっっあああああっ ︎」

 男の命令でそいつらは一斉に攻撃を仕掛けてきた。

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