異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します

りゅうや

ダンジョン 4階一角狼 〜 7階ヤマアラシネズミ

 
「さて、ソウチュウバナも倒したし多分石段が...あった!」

 思っていた通り、どうやら階ごとにいるボスのようなやつらを倒せば次の階への入り口が開くシステムらしい。
 そう言えばソウチュウバナを灰にしちゃったけど、何かの素材だったかもな。
 ちぇっ!ちょっと惜しいことしたな。
 まぁ、そんなことはさて置き、とっとと行きますか。
 石段を慎重に降りいつも通り周りの様子を伺いながら作戦を考えることにする。
 洞窟は前の階よりもさらに広くなっていた。

「ガルルルル...」

 その真ん中で鋭くこちらを睨(にら)む青い目を持った、全長1メートルくらいで高さ70センチくらいで頭から口、さらには尻尾まで薄い青色の毛が逆立っている。
 いや、正確にはお腹くらいで白色の毛になっている。
 手脚全部も白い毛だ。
 そいつの額には直径4センチ長さ20センチくらいの円錐の形をしたつの
 魔眼を閉じずに少しだけ目に力を入れる感じで魔眼を発動させる。

 _________________________________
 一角狼(いっかくおおかみ):威嚇(いかく)
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 なるほど、あの魔獣は一角狼って言うのか、て言うかまんまだな!
 さてどうするか?
 あいつは俺に気付いているんだろうな?
 魔眼には威嚇って書いてある。
 .....おっ!良いこと思いついた!
 多分この方法は剣の道に命をかけている人たちには悪いけど仕方ないとしてくれ。
 俺は魔眼の力を加減する感じにして周りを明るくすることだけ残す。
 これはもう慣れだろうな。
 さ。作戦開始だ。
 まず小石をいくつか拾って奥の壁の松明を狙う。

「(あんまりコントロール良くないけどね!っと)」

 ドォッン!

「ガァァァ ︎」

 あ...れ?
 小石が壁を少し砕いてヒビが入り壁がかなり崩れ落ちた。
 そう言えばキングゴブリンの時も様子見で壁に槍を投げた時も壁を砕いたな。
 あの時は偶然、ヒビの入った壁に当たっただけだと思っていたけど、これも偶然か?
 まあ、偶然と思うことにしよう。
 一角狼が壊れた壁に気を取られている隙に石段を降りながら剣を構えて一気に近付く。

「ガァ ︎」

 石段を降りた段階で一角狼は俺に視線を向けてきた。
 石段から一角狼までの距離は2メートルくらいなのだが流石は狼だ。
 反応の速さがゴブリンより早い。

「ガァァッ!」
「くっ ︎このっ!」
「ガァァァァッ ︎」


 噛み付いて来た狼の口にわざと剣を咥(くわ)えさせて予(あらかじ)めボクサーバッグの中から取り出していた剥ぎ取り用の小刀を使って一角狼の右目に刺した。
 うん、剣を大切に使えだの、騎士道精神に反するとか言われそうだけど勘弁してください。

「ガルルルルッ!」

 さて、これで右目が見えないはずだから死角が増えたな。
 よし、次だ。
 でも、狙い通りに来てくれるかな?

「ガァァッ!」
「え...?」

 一角狼が俺に飛びかかって来た。
 まさか狙い通りに来てくれるとは思わなかった。
 ま、ありがたいし良いか。

「...よっと。んっ!」
「ガァァハッ ︎」

 俺は一角狼の攻撃をなるべく引きつけて攻撃の当たるギリギリを後ろへ飛んで背中を反り、互いが並列になるようにして避ける。
 ギリギリ避けたことによりこいつの腹はガラ空きだから後ろに落ちる勢いを使って蹴りを食らわした。
 ちなみに俺はバク転なんてものは出来ない。はずだった....
 ...ドッ!
 空中から一角狼が地面に落ちた。
 俺は自然と身体が動き、バク転で体勢を立て直すことが出来た。
 自分でもなぜ出来たのかが分からない。しかしそんなことをいつまでも考えていては時間が勿体ないので倒れている間に倒すことにした。
 剣を振り下ろして首を斬る。
 よし!奇跡的に作戦が成功?した。
 本当は死角をついて倒す気だったんだがな。
 まあいいや。
 角を額ギリギリで切り取る。
 案外簡単に切り落とせた。
 さて、多分後ろの方に...あ、やっぱり石段がある。
 石段の方にはさっき俺が崩し落とした壁の瓦礫(がれき)も落ちていた。
 よし!とっとと次行きますか。
 そう思い石段の方を目指して歩き出す。

「あ!ボクサーバッグ!」

 また忘れてた。
 さっき小刀取り出した後すぐに作戦を開始したから石段のところにある。
 それを取りに行き、石段を目指して歩き出す。
 石段につきまた様子見をするために石段を降りる。
 カチャ、カチャ、カチャ
 石段を降りた途端に耳に何かがぶつかり合う音が聞こえてきた。
 様子を見てみると、そこには1メートルの剣、刀身80センチくらいの剣を片手に持った身長一メートル半くらいの骸骨(がいこつ)が3体洞窟内を歩き回っていた。
 分からないことがあったら魔眼の練習も兼ねて、目に力を入れる感じで例の文字を浮かび上がらせる。
 _______________________
 スケルトン(セイバー):散歩
 スケルトン(セイバー):散歩
 スケルトン(セイバー):散歩
 _______________________

 なるほどスケルトンか。
 て言うか、散歩って。

「(うぅぅぅん、スケルトンって倒せるのか?だってスケルトンってアンデットだろ?よく漫画とかだと倒れて骨がバラバラになっても戻ったりしてたから)」

 バラバラと言っても骨の関節が外れてって感じだったから粉々にしたら元に戻らないんじゃないか?

「(でもどうやって?....石...でもぶつけてみるか?もしあの破壊力が本物ならイケるかな?最悪失敗したら...地面で叩き割ってみるか)」

 小石じゃダメだろうから手のひらサイズの石が必要だな。
 でもどこからそんなサイズの石を...って、さっき俺が壊した壁の瓦礫を使えば良いじゃん。
 よし拾いに行こう。
 石段を慎重に登って行き上に出るとすぐ目の前に石が固まっている。
 手のひらサイズの石を3つを取って下へ戻る。
 よし、とりあえず狙ってみるか。

「せぇぇぇの、ふっ!」

 バキッ!ドォンッ!
 スケルトンの頭蓋骨を狙ったつもりが少し下へズレて溝くらいに当たって粉々になった。
 石はスケルトンを貫通して地面に当たった。
 また破壊してしまった。
 ....まぁ、いっか。
 続けて2投、3投と残ったスケルトンを狙って石を投げる。
 バキッ!ドォン!...バキッ!ドォンッ!
 またもスケルトンが粉々になった。
 ....俺っていつからこんな化け物になったんだ?てかコントロールもこんなによかったっけ?
 ステータスを開いてみたがレベルは上がっていなかった。多分スケルトンを石だけで粉々にしてしまったので、レベル上げが出来なかったのだろう。

「....よし。次からは普通に戦おう」

 そう決意して次の階へ行くために石段を目指す。
 もちろんスケルトンの剣は無視する。
 だってなんか倒した気になれないし。

「さてと次の階へ行くための石段は...っと」

 そう思い、周りを見回すと奥の方の石壁に穴が空いていた。
 石段を目指して歩いて行き石段に着いた。
 いつも通り石段を慎重に降りて周りの様子見をするために石段を降りた途端だった。
 カチャ、カチャ、カチャ、カチャ
 またしても何かが、って言うかさっきのスケルトンと同じ音だから多分スケルトンだろう。
 とりあえず様子を見てみるか。
 そっと様子を伺うとそこには全部で4体のスケルトンが洞窟内を歩き回っている。
 たださっきのスケルトンと違い今回のスケルトンは剣ではなく、手には1メートルくらいはある弓、背中にはだいたい60センチくらいの筒(つつ)を担(かつ)いでいて、筒の中に数本の矢が入っていた。
 それ以外は特に何も身につけていない。
 身長はさっきのスケルトンよりも高い気がする。
 魔眼は...使わなくて良いかな。
 どうせ「スケルトン(アーチャー):散歩」って表示されるだけだろうし。
 うぅぅぅん、でも弓はちょっと厄介(やっかい)だな。
 物陰に隠れながら近付いて攻撃するか?
 幸いなことにこの階の洞窟には最初と同じくらいの壊れた柱が4つある。
 て言うかこのダンジョン、何で壊れた柱とかがあるの?
 ...まっ!良いか。
 さっさと倒さないと進展もないし。
 そう決意して気付かれないように気をつけながら石段を降りて行く。

「カカッ?」

 あらら、早速バレてしまったようだ。
 なら矢を射(い)るまでの時間を見てから攻撃に移るか。
 顔を少し出してわざと打ってもらおう。
 すぐに避けられるくらいに顔を出す。

「カカッ!...カッ!」
「カカカッ!...カッ!」
「っと ︎」

 ドゥス!ドゥス!
 2体のスケルトンが俺に気付いて弓を打って来たので慌てたがギリギリ避けることができた。
 矢はそのまま壁に刺さった。
 うん。だいたい気付いてから構えて打つまでに約6秒くらいかな?
 それでも4体相手はかなりきつい...が、やるしかないのだから。

「(多分片手剣だけだと長引くだろうし、一角狼の時と同じで二刀流で行ってみるか)」

 そう思いボクサーバッグから小刀を取り出して左手で刃が下向きにくるように持って、一番近いスケルトンのところへ走る。

「カカッ ︎」
「っふ ︎」

 まずスケルトンの首ら辺の骨を狙って剣を上から斜めに振り下ろす。
 バキッバキッ!カタカタ
 スケルトンの鎖骨(さこつ)と肋骨(ろっこつ)数本を叩き斬ったのでスケルトンが崩れ落ちた。

「カカッ!...カッ!」
「っと、このっ!」
「カカッ ︎」

 バキッ!カタン
 次に近くにいたスケルトンが矢を打ってきたのをギリギリで避けて小刀でスケルトンの手を斬り落とす。

「ふっ!」

 バキッ!バキッ!カランカラン
 さらにスケルトンの手を斬り落とした後は体の重心が下へ向いていたので剣を下から上へ上げてスケルトンの左脚の骨と腹くらいにある背骨を斬り落としたのでスケルトンはその場に崩れ落ちた。

「カカッ...」
「させるか!」

 スパンッ!ガッ!
 俺から80センチくらい離れたスケルトンが弓の弦(つる)を引いて矢を放ちそうになるのを小刀を投げて弦を切った。
 その際放たれた矢は俺ではなくあらぬ方向へと飛んで行った。
 スケルトンが何も出来なくなった隙をついてそのスケルトンの元へと走る。

「...ふっ!」

 バキッ!ガラガラカラン
 剣の範囲に入ったので横に真っ直ぐ斬ってスケルトンの上半身と下半身をさよならさせる。

「カカッ...カッ!」
「くぅ ︎しまっ!」

 このスケルトンに集中していたせいで後ろのスケルトンの矢を避けられず背中の肩に刺さってしまった。

「カカッ...」
「させるか!」

 刺された矢を抜いてスケルトンに軽めに投げ返す。
 ガッ!ヒュン、ガッ!
 投げた矢がスケルトンの頭蓋骨に当たったおかげで態勢が少しズレて放った矢は俺の20センチくらい先へと突き刺さった。
 軽く投げた理由はスケルトンを倒さないようにするためだ。
 俺はスケルトンへ走って近付き剣を振り上げたが、避けられてしまった。
 なら!

「オラッ!」
「ガッ ︎」

 バキッバキッ!...ドォンッ!
 剣を避けられてしまったので空振りの勢いを使って蹴りを入れてやった。
 スケルトンは吹っ飛んで行き、壁に激突して地面に落ちた。
 ちょっと足が痛い。
 そこら辺で転がっているスケルトンへ近付き、剣を振り下ろし頭蓋骨を真っ二つに斬って行く。

「...さて、次行きますか」

 っと、その前に傷を手当てしとかないとな。
 ボクサーバッグからソシャルで買っておいた包帯と薬草で作られた傷などに効く塗(ぬ)り薬を取り出す。
 服を脱いで塗り薬を塗って包帯を巻く。
 傷版とかが欲しかったけど、この世界にはないようなので包帯と薬を大量に買っておいた。
 グゥゥゥゥゥゥ!
 洞窟内に腹の虫がシャドウで鳴り響いた。
 傷の手当てを終え、次の階へと続く石段へと向かう。
 石段を降り少しだけ顔を出して様子を伺うが何もいない。
 あれ?
 あっちこっち見てみるが何もいない。
 どうしてだ?
 とりあえず周りを警戒(けいかい)しながら石段を降りて中央へ行ってみる。

「... ︎」

 さっ!...カキンッ!
 何か来るぞ!っと直感が言ったのでその場を転がって移動した瞬間、さっきのスケルトンの骨と骨が当たる音に近い音が聞こえた。

「(何だ ︎)」
「チュゥゥゥウ...」

 そこにはネズミがいた。
 ただ普通のネズミではなく、体長2メートルくらい高さ90センチくらいの長さ7センチくらいの出っ歯が上に2本あるどデカイネズミがこちらを唸(うな)りながら睨み付けて来ている。
 いやこいつ何処から現れた⁈
 くそ!とりあえず作戦は一角狼と同じにしてみるか。

「チュウッ!」
「ッッ ︎」

 は、速い!

「(どうする⁈この速さは予想外過ぎる!いやでも避けられたってことは見えるってことだから、何とかなるかも知れないな)」

 剣術だけだと難しいかもな。
 なら、剣術じゃなくて...
 剣を鞘に収めて足を少し広げて右足を前にして立って手を右腕を前に軽く曲げた状態で左脚は胸ら辺にどちらも拳(こぶし)を閉じて腰を軽く落として構えを取る。

「チュウッ!」
「...はぁっ ︎」
「ぐぎゅっ ︎」

 デカネズミの攻撃を少し体を横にズラして避ける。
 空中でがら空きになっているデカネズミの下腹に拳で渾身(こんしん)の一撃を食らわした。
 グチャッ!
 っと生々しい音を出してデカネズミがまた空中へ舞い上がる。
 ドンッ!グチャッ!

「ぐぎゃっ ︎」

 地面に落ちたデカネズミから再び生々しい音が聞こえた。
 デカネズミは口から紫色の血を流している。
 多分内臓が切れたのだろう。
 苦しまないようにトドメを刺してやることにした。
 剣を振り下ろして首と胴体をさよならさせる。

「あ!魔眼まだ使ってないな」

 そう思い、目に力を入れる感じで魔眼を使う。

 ___________________
 ヤマアラシネズミ:死
 ___________________

 っと表示された。
 このデカネズミはヤマアラシネズミって言うのか。
 ヤマアラシ?
 まあいいか。
 ヤマアラシネズミの特徴的な歯が素材かも知れないので小刀でギリギリで取ろうと思ったが口から流れていた血で既にベトベトなので止めた。


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