うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。

古森きり【Twitter@2kag5fb1】

妹にデートもダンスもまだ早い



「ほあああー…」

さすがはお城の大ホール。
絢爛豪華で眩い。
天井はビル二階建て相当だし、その天井には大きなシャンデリアが間隔を開けて六つも吊るされている。
あれ落ちてきたら死ぬな。
大理石の柱と、磨き抜かれて鏡のような床。
上品な笑い声がそちらこちらから聞こえ、一流の音楽家たちによる演奏が場の空気を楽しげなものへと誘う。
壁の柱には巨大な花瓶に生花が飾られ、二階のバルコニーにも石のプランターに植えられた花々が咲き誇っている。
最奥には王の椅子。
その横に、レオがにこやかに佇んでいる。
……え、あいつ今日も椅子ないの?
酷くない?
次期国王に決まったのに……。
招待された貴族たちは座ったままの王と、新たなる王妃になったルティナ妃へと挨拶をして脇に逸れていく。
旦那様、奥様のお2人と合流した俺たちも、挨拶の列へと並ぶ。
……さて……。

「き、緊張するべさ〜…」
「「「訛り」」」
「ふぁいっ」

俺とケリーとお嬢様のトリプルの注意に、旦那様が苦笑する。
鈍らずとも、こういう場面でよく噛むやつなのでそちらも心配だ。

「こほん。さあ、我々の番だよ。まずは私たちが手本を見せよう」
「そうですわね。よく見ているのですよ、マーシャ」
「は、はひ! 旦那様! 奥様!」

にこやかな笑顔のお2人。
堅っ苦しいパーティー嫌いの奥様も『王誕祭』は欠かさずいらっしゃる。
しかし『王誕祭』はアミューリアの生徒が強制参加という訳ではないから、俺は奥様が屋敷のパーティー以外に出席なさるところを初めて見るんだよな。
さすがお嬢様のお母上…。
完璧な所作で、陛下たちの前へ膝をついてお辞儀をする。

「陛下、お誕生日おめでとうございます」
「おお、リーナか。久しいな、元気か」
「はい。ルティナ様もお久しぶりですわ」
「お久しぶりね、リーナ様。……」
「…………」
「ん、んん……ええと、ルティナ様もお元気そうで……」
「そ、う、で、す、わ、ね」
「……………」

…………。
旦那様、何かしたな…。

「義父様、ルティナ妃となにかあったんですか?」
「……うちのお父様とルティナ妃は婚約者だったそうよ。けれど、お父様がお母様を見初めて一方的に婚約解消してしまったんですって。陛下が気の毒に思って、ユリフィエ様と一緒に娶られたと聞いたわ」
「伯母上とルティナ妃は幼馴染で友人だったんだ。どちらかというと伯母上のゴリ押しだと聞いたぞ」
「…………うわぁ……」
「ひえぇ……」
「……かなり知りたくなかったですね……」

そりゃルティナ妃もあからさまに不機嫌そうになるよ。
なにしてんの旦那様〜……!

「……まぁいいわ。……陛下、わたくし少々リーナとお話がありますので席を離れます」
「ん? うむ……」
「? わたくしに話…? 一体……」
「野郎どもは抜きで、サシで話しましょう、リーナ」
「……ほほほ、良いわ受けて立ちます」

「……………………」

席を立つルティナ妃。
笑顔で旦那様から離れ、ルティナ妃と共に玉座の裏の扉から会場を後にしてしまう奥様。
え? いや、え? ダメじゃね?
『王誕祭』の主役は、そりゃ確かに陛下だけれども……。
今日はルティナ妃のお披露目も兼ねてるんだし、王妃がいなくなったらダメじゃね?
……お、奥様も自由だけどルティナ妃も自由人なの……?
でも若干不穏な感じだったんだけど……えええええ……?

「よ、宜しかったのですか? 陛下…?」
「構わん。言って聞くような女でもない」
「……は、はあ……」

レオが困惑してるんですけど。
旦那様も「あははは」とか笑ってる場合じゃないのでは?

「そうそう、陛下にうちの娘と……そのメイドを紹介しようと思っていたんだよ」
「!」

旦那様が無理やり話を変えてきた。
しかし、陛下の目の色と顔付きが変わる。
俺から見てもパアァ! って感じ。
普通ならありえないが、旦那様は少し横に逸れてお嬢様とマーシャをエスコートする。
…カッチンコッチンのマーシャ。
……だ、大丈夫かなぁ……。

「お誕生日おめでとうございます、陛下。リース家のローナでございます」
「う、うむ」

そわそわし過ぎだろあのおっさん。
奥様のように上品にお辞儀をしたお嬢様ではなく、眼差しはすでにカチコチのマーシャに注がれている。
事情を知らないとヤバイおっさんにしか見えねーよ、あれ!
俺の元いた世界なら通報されてても不思議じゃないよあの顔!

「あ、あの、えっと!」
「お誕生日おめでとうございます、と……マーシャ」
「おたたんじょーびおめじょてーございます!」

…………。
………………。
……………………やると思ったけれども……。

「ぷっ、どんな噛み方だよ…」
「ケリー…」
「ん、んん」

笑い事ではないので本気で睨む。
顔面蒼白なお嬢様とマーシャ。
笑いを全身全霊で堪えている旦那様。
顔がすでにアウト。
その横でレオも笑顔を固まらせている。

「…うむ、ありがとうマーシャ…。パーティーは初めてなのだろう? たっぷりと楽しんでいくが良いぞ」

……え?
へ、陛下が笑っ……?
え? げ、幻覚?

「! は、はい! ありがとうごぶっ!」

派手に噛んだ!

「し、失礼致します!」
「うぶふっ…」

お嬢様が素早くマーシャを回れ右させて、華麗にお辞儀をしてから壁の方へと連れて行く。
ふるふると震える旦那様。
口を必死こいて押さえているが、お陰で微妙に変な音が漏れ出ている。
ツーアウトだ。
しかし陛下の周りにはお花が飛んで見える…。
ほ、ほほう?

「…怖…」

非常にこっそり。
俺たちにしか聞こえない小声でエディンが呟いたその言葉に、全てが集約されている気がする…。
レオのあの硬直した姿と笑顔!
冷や汗がダラダラと流れている。
その姿にさっきまでマーシャを笑っていたケリーも顔を青くしていた。
事のヤバさに気が付いたのだろう。
事情を知っているとはいえ! …知っているとはいえだ。
国王の前で盛大に噛み倒したメイドという存在に…お花を飛ばしながら喜ぶ国王…という、この絵面!
多分これは俺たちの人生の中でも語り継がれるネタ不動の一位となるだろう……。






「あー、もう初っ端から変な感じになった」
「全くだな……、…と…おい、リース、大事な姉君が壁の花になっているぞ。迎えに行かなくていいのか?」
「ああ、そうですね。……行きますけど……」

とりあえず陛下にご挨拶をして、人波に紛れた俺とケリーとエディン。
…うーん、人目……というか女性たちの眼差しが熱いのが分かる。
そしてお嬢様たちのところへ行こうとしたら、瞬く間にどつき合うご令嬢たちの壁が形成されていく。
私が先よ、いいえ、わたくしが…!
……とかいう声がちらほら…。
いや、え? あのどつき合い、まさかバレてないと思ってる?

「……。やれやれ……、……こんばんは、レディたち。暇なら俺と話でもどうだい?」

え? 誰?
面倒くさそうな表情を一変。
エディンがにこやかにどつき合っていた令嬢たちの壁に近付いていく。

「きゃ、きゃー、エディン様!」
「是非!」
「わ、私が先よ」
「何言ってるのよ、エディン様はわたくしに声をかけてくださったのよ!」
「なんですって!」
「シー」
「「「…………」」」

人差し指を唇にあてがう。
ただそれだけで言い争いが治る。
そして、4、5人のご令嬢たちは全員エディンの取り巻きと化し、目をハートにさせながら連れ去られた。

「…………。……ほんと、いけ好かねー…」
「……まぁな」

しかしお陰でお嬢様たちの方へ道が拓けた。
ケリーもエディンが気を遣ってくれた事には気付いている。
それでもあえて悪態を吐くのは、若さというやつか……。
まあ、長年の宿敵だったのは俺も同じだ。
気持ちは分かるぜ……。

「義姉様」
「ああ、ケリー…陛下は大丈夫だった?」
「全く問題なーし。むしろお花飛ばしてごっ機嫌」
「まあ…」
「ほ、ほんとけ? よ、良かった〜…」

肩を竦めるケリー。
お嬢様は安堵の溜息。
本当に…生きた心地がしなかった。
レオに聞いてはいたけれど…予想以上に馬鹿親だったんだなぁ…。

「お父様とお母様は?」
「旦那様は宰相様と挨拶周りのようです。奥様はまだ戻られませんね…」
「そう。…スティーブン様とライナス様もいらっしゃっているはずだけど、見当たらないわね。…あら? そういえばエディン様は一緒ではないの?」
「ああ、途中ではぐれてしまいました」
「……また帰ってしまわれたのかしら…困ったお方ね…」

頰に手を添えて溜め息を吐かれるお嬢様。
ケリーが不機嫌そうに肩を落とす。
…まあ、あの場合はあれが一番スマートなかわし方というやつだろう。
エディンに助けられたのが余程嫌だったのかもしれないけど、俺たちじゃああの人数と勢いはどうにも出来なさそうだしな。

「…王様、思ってたより優しい感じの人だったさ」
「…………」
「…………」
「…………」
「あれ ︎」

笑顔で嬉しそうにするマーシャに、何も言えない。
それでもケリーが「良かったね」と生暖かい返事をしてあげた。
まぁなぁ……親の愛情ってのは、平等じゃあないからなぁ…。

「…………」

前世の親父も妹(みすず)には甘かった。
俺や兄貴にはゲームの一つも買ってくれないのに、妹には欲しいゲームは買い与えていたもん。
まあ、別に?
俺は欲しいゲームがあればバイトして金貯めて自分で買ってたから良いですけどね?
そのくせ期待だけはやたらとするんだから……はーあ!
なんなんだろうなぁ? 父親という生き物は!

「さてと、どうしますか?」
「そうね……」
「わ、わたし、お料理が食べてみたいですっ」
「……うん、お前はそういうやつだよな……」
「ど、どういう意味さ ︎ ケリー様!」

おっと、俺が前世に想いを馳せていたら料理を食べる流れになっている。
……マーシャめ…色気より食い気か……やれやれ。

「そうね。マーシャのパーティーでの食事の作法がきちんと出来ているか……しっかり見せてもらうわ」
「え、えええええぇぇ ︎」
「…………」
「…………」

うちのお嬢様もお嬢様だった。

「じゃあ俺は情報収集でも行ってこようかな……。義姉様たちは頼んだぜヴィニー」
「え? ああ……。……妙な事するなよ?」
「さあな」

……否定しないんかーい……。

「あ、オニーサマ発見!」
「げっ」
「こんばんは、ヴィンセント、ローナ様、マーシャ…え? マーシャ?」
「まあ、こんばんはスティーブン様、ハミュエラ様……? ……ライナス様はご一緒ではありませんの?」
「ライナスにいにはディリエアス公爵さまとお話盛り上がりーのパーリーピーポーでーす」
「…パ……? ……そ、そうでしたか…?」

ハ、ハミュエラあいつ……ほ、ほんとどこで覚えてくるのああいう言葉…。
ゲーム補正? いくらなんでも謎すぎるだろ…。

「マーシャ、とてもドレスお似合いです! …けど、どうしてマーシャが会場にドレスで……?」
「ああ、最近陛下の体調が優れないとお聞きしたので、旦那様が元気付けるために参加させたそうです。それに、来年からマーシャもアミューリアの生徒ですからね。パーティーを体験させておく必要があるとお嬢様が判断されたのですよ」
「そうでしたか…。マーシャ、パーティーはどうですか?」
「あ、えっと、すんげー緊張してるしコルセット苦しいさ」
「どんな感想だよ。あと訛り」
「うっ」

そういうスティーブン様も上品なパステル系ブルーのドレス。
白い生地と、ラインの入った全円フレアスカートがよくお似合いだ。
水仙の花があしらわれたカチューシャもドレスとスティーブン様のイメージに、よく合っている。
さすがのコーディネートだなぁ。

「…あ、今わかったよ! 君いっつもスティーブン様の隣で本読んでるめっちゃサボってるメイドっぽい女の子!」
「メ、メイドっぽい ︎」
「…………」

いつもとはかけ離れた姿のマーシャにようやく気付いたハミュエラ。
指をさして、遠慮も容赦もなく相変わらずぶっ込んできた。
しかし、その通りなので俺も「的確…」という言葉しか出てこない。
ハミュエラの中でマーシャは「サボってるメイド女の子」なのか……い、いやいや、マーシャだってメイドらしく仕事らしい仕事はやって……やっ……、……やってないな?
アンジュにマーシャの仕事ぶりを聞くと、大体目を逸らしながら「洗濯ぐらいは普通に出来るようになってるっすけどね〜」と言われる。
よその家のメイドなのでアンジュにマーシャの教育全てを任せるわけにはいかない。
むしろかなり教育してもらってる方だ。
お嬢様の朝食も運んでくれている事を考えると、十分過ぎる。
ありがとう、アンジュ……。
じゃなくて…ハミュエラにそう言われても仕方ないって事だ、マーシャよ…。

「日頃の行いだな」
「あうううううー。ひ、ひどいよハミュエラ様〜」
「いつも可愛いけど今日はキレー可愛いねー!」
「! …え、あ…ありがとうございますだ…」
「…………」
「…………」
「…………」

…このチョロさよ…。
褒められてコロリと頬を染めて照れるとは…。
あ、いや、むしろ当たり前か?
一応マーシャはヒロインの1人だもんな?
そしてハミュエラは攻略キャラの1人…。
うむむ…ゲームは始まっていないはずだが、関係性としてはアリな展開という………、……いや、でもなんかムカつくからなしだろ。

「そうです! ハミュエラ様、マーシャと一曲踊って差し上げてはいかがでしょう ︎」
「スティーブン様 ︎」

何言い出しんだアンタ ︎

「そうですんね、他の方よりはハミュエラ様の方がいいかもしれません……」
「……お、お嬢様……」

察した。
お嬢様、これでも一応公爵家のご子息です。
いや、まあ……マーシャのダンスの腕前がどんなもんなのか俺も知らないので犠牲になるのはハミュエラだけで十分だと思うけど。

「ダ、ダ、ダンス ︎ わた、わたしまだそんなに上手に踊れねーさ ︎」
「ダンスー! いいねいいね踊ろー踊ろー! 下手でも踊ればハッピーうれぴーラブアンドピース!」
「わ、わけわかんねーよハミュエラ様!」

確かに。マーシャですら訳わかんないとなるとますます訳わかんない生き物だなハミュエラ…。
そして、一度そう決めたら誰もハミュエラを止めることは出来ない。
マーシャの手を掴み、人を上手いこと避け、ホールの中央……ダンスが行われているところへと突き進む。
人垣が突如「わあ」と盛り上がる。
こちらからでも、金髪青眼の美少女とウエスト区の公爵家子息がダンスを踊り始めたのが分かった。
そして、そのあまりの華やかさも。
ハミュエラは底抜けに明るい。
髪も瞳も金色なので、マーシャと並ぶと多分、他の攻略キャラ以上に煌びやかだな。
……なによりあの無邪気な笑顔は……。

「…………」
「複雑そうね」
「はい。なんかものすごく邪魔したいです」
「ヴィ、ヴィンセント…(って意外とシスコンなのですね…)」
「ところでアルト様はどうされたんですか? 最近随分過保護でしたのに、ハミュエラ様を放置とは…」
「人に酔ったと、早々に別室に移動されました。顔色も悪かったので、もしかしたら帰ってしまったかもしれませんね……」
「まあ、大丈夫でしょうか…? 心配ですわね」
「…………」

成る程。
……でもなんだろう、違和感を感じるな?
最近ハミュエラとアルトはニコイチみたいな感じだったからだろうか?

「ヴィニー」
「あれ? お帰りなさいませ、ケリー様。もう宜しいのですか?」
「いや、少し気分が悪いようでな……ちょっとそこのテラスに飲み物を持って行ってくれないか? 俺は別な知り合いに呼ばれているんだ。頼む」
「へ? あ、はい……?」

気分が悪いって、アルトか?
テラスに来ていたのか…な?
ケリーに半ば無理やりグラスを持たされて、テラスの方に向かう。
お嬢様たちも「アルト様ですか?」とケリーに聞いている。
しかしその答えは「すみません、急ぎますので」となにをパーティーでそんなに急いでいるのかと思うような答えに誤魔化された。
淡い黄色の果汁ジュースはレモンだろう。
気分が悪い相手に酸っぱすぎやしないかと思うが、テラスに出てみると成る程…………。

「え! ヴィ、ヴィンセント ︎」
「………お加減はいかがですか? お飲物をお持ちしました」
「あ……」

謀ったなケリー ︎
なんでヘンリエッタ嬢が居るんだよ ︎
アルトは ︎
めちゃくちゃアルト対応の身構えしてたから絶対笑顔が引きつっちまった!

「え? あの、ケ、ケリー様は?」
「他の方に呼ばれたそうです。…大丈夫ですか? 別室に移動された方が良いのでは」
「…あ、え、えーと…そ、そうね。…でも、あの…」

なんともあたふたと煮え切らない態度。
ふむ、ヘンリエッタ嬢らしくないな。
…いや、でも…最近の彼女はこんな感じかも。
とりあえずグラスを手渡す。
赤らんだ顔が、月夜の光に照らされて見えた。
熱かな?

「確かにお顔が赤いですね…? 熱が出たのでしたらやはり室内の方が…」
「ちちちちち違うわ!」
「え? ですが…」
「! …あ、あの…ケ、ケリー様に!」
「? はい」
「……ケ、ケリー様が……エディン様とマーシャがデートをすると……」
「あ?」
「 ︎」

は? エディンとマーシャがデート?
は? おいなんだそれ聞いてねぇぞ?
まさかさっきメグが「エディン様がちょっかい出す」とか言ってたのはそういう?
はあ? 確かに計画上お前がマーシャを口説く事は許したが、デートまでは許してねぇぞ ︎ コロス!

「…………」
「! あ、も、申し訳ありません」

や、やばいやばい、今はヘンリエッタ嬢と一緒なんだった。
今更取り繕っても遅いか?
怯えさせてしまった……。

「…こ、こほん。い、いいかしら? …あの、それでね、夏季休みの翌週、エディン様とマーシャは演劇鑑賞をなさるそうなの。でも、2人きりは心配だからわたくしに…貴方に“誘ってもらったら”どうか、っと…」
「え? ……へ?」
「ローナ様はエディン様とマーシャの事は黙認されているらしいではない? ……でも、ケリー様は貴方ならばそのようなデート、とても黙認出来ないだろうと」
「は? 当たり前ですね? ぶっ潰しますよ」
「…………。…そ、そう言うと思ったらしいわ…。そ、それで、わたくしにそのデートの監視を手伝ってやってくれないか、と…」
「成る程…」

スティーブン様とお嬢様も『元サヤ作戦終息〜エディンなんかマーシャに振られてしまえ〜』計画をご存知だ。
というかめちゃくちゃ噛んでる。
ケリーにもそれは話たし、了承されているが…まあ面白くなさそうな表情だった。
無論、俺もデートなんざ許さん。
当然邪魔するに決まってる。
計画に関わっていないヘンリエッタ嬢に協力して頂け、という事か、成る程。

「そうですね、それならば…確かに俺の方からお誘いすべきですね…」

さっきヘンリエッタ嬢の言葉が少し変に感じたが、そういう事か。
俺に“誘ってもらえ”…うん、そりゃそうだな。
付き合わせるのはこっちなんだし。

「よろしいでしょうか、ヘンリエッタ様。協力頂いても…」
「え! ええ! もちろんよ!」
「ありがとうございます。それでは、近くなりましたら改めて詳細をお話させて頂きます」
「…! ええ…、…た、楽しみにしております、わ…」


楽しみ?
そうか、そういえばヘンリエッタ嬢は幼少期にエディンがこっぴどく振っていたな?
成る程、やっぱりあの女誑しには多少痛い目見て欲しいですよね!
ふふふ、お任せあれ、ヘンリエッタ嬢!
俺が確実に奴のデートをぶち壊して差し上げますよ!


「うちのお嬢様が破滅エンドしかない悪役令嬢のようなので俺が救済したいと思います。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • 古森きり【Twitter@2kag5fb1】

    ご指摘ありがとうございます!直してきました!

    0
  • 野良民

    壁にの柱ではなく壁の柱ではないでしょうか

    1
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