勃起バトルロイヤル
勃起バトルロイヤル
――その時、勇者は剣を持ち、魔王の前に現れた。
勇者はただ独りであった。
魔王は玉座に在ったまま、勇者を迎える。
その後ろには姫の姿があった。
姫を返せと、勇者は言う。
取り返してみろと、魔王は嗤う。
姫は言葉もなく、ただ祈るように目を伏せていた。
長きにわたる旅の果て。
――決戦のとき。
その戦いは、なぜかなかなか始まらないのだった。
_____
俺は勇者。
突然だがいま、勃起している。
「ついに追い詰めたぞ、魔王!」
俺は叫んだ。ずっと前から用意していた、ラスボス戦用の口上だ。
でも勃起しているのでちょっとだけ声に張りがない。
「四天王はすべて屠った。もうこの城にはおまえひとりだ……覚悟しろ!」
そう、言いながらも、内股気味の前かがみ状態から脱することはできない。
なぜなら勃起しているからだ。
完全無欠のフル勃起だからだ。
……いや、あれだ。誤解はしないでほしい。
別に俺はその、常に勃起しているような特異体質だとか、戦闘に悦楽を覚える特殊性癖だとかではない。
俺が勃起してるのは姫のせいだ。
兵士である俺は、ひそかに姫をお慕いしていた。彼女が魔王にさらわれ、救出に名乗りを上げたのは自然なこと。
そして、もしも魔王討伐を果たしたら、そのときは――
もしかしたら。って、ちょっとくらい期待したっていいだろ?
そんなわけで、勃起している。
「姫を返せ!」
俺は言った。
魔王は笑った。
「……これは、異なることを。突然わたしの城に押しかけてきて、わたしの妻を渡せというのか」
「きさまの妻……だと!?」
「ああ、そうだ。すでに婚約の契りは交わした」
俺は目を見開いた。そしてさらに勃起した。
……婚約の契り? 契りってなんだ? あれか? やっぱりあれか?
あんなことやこんなことをやったのか? どこまでだ? どこまでやったんだ? 何回くらいやったんだ?
魔王との契り……それってやっぱりすごいのか? すごいんだろうなきっと。
すごいでかくて赤黒くて、でもって麻薬でも仕込んだみたいにものすごい快楽で、純潔だった姫もものすごいことになって、いやもちろん最初の内は頑なに拒んだだろうけど、最後には自分からもっと奥までくらしゃいとか言っちゃうくらいトロットロになって?
「はうっ……!」
俺は両膝をついた。魔王が笑う。
「――なんだ、さっきからちっともかかってこないのは、すでに深い傷をおっていたせいか! もはや立ち上がることも出来ないとはな! はっはっははははは!」
ちがう。
しかし立ち上がれないのは事実である。
俺は歯噛みした。
「そっちから……かかってきやがれ……! 俺は、どんな攻撃だって受けて、反撃をしてみせる……!!」
魔王は笑うばかりだった。
ちくしょう。勃起が、この勃起がおさまりさえすれば……!
俺は股間を抑えながら、魔王をにらみ、対峙し続けていた。
______
わたしは魔王である。
それはそうとして、勃起している。
大体、小一時間ほど前から勃起し続けている。
いいかげんおさまってもいい頃なのだが、ちょっとした衣擦れが敏感なところをこすってしまうものだから、動くこともままならずひたすらずっと勃起している。
それもこれも、この闖入者のせいだ。
勇者だか風車だか、兵士だか精子だか知らないが、タイミングの悪い小僧である。
わたしはこれから、いままさに、姫といちゃこらむふふなことをしようとしていたところであった。
もうパンツまで脱いでいた。ローブの下はノーパンなもんで、なおのこと刺激がなやましい。
「来い、魔王!」
勇者が叫ぶ。
いや、お前が来てくれ。空気を読めよ。
こっちはノーパンで勃起しているのだぞ。立てるわけないだろう。勃ってるけど。
やだうまいこといっちゃった。
そしてうまいことやるといっちゃいそう。
ゆえに動けない。
「……声だけは威勢のいい小僧め! 膝が震えているのか? おまえのほうからかかってこい!」
わたしの声に、勇者が震える。
……なんだこやつ、本当にビビってるのか? ならばもう帰ってくれよ。わたしはとにかく姫とえっちなことがしたいんだ。国とか人類の滅亡とか全然興味がないんだ。とりあえず姫とえっちがしたいだけなんだ。めちゃくちゃかわいがってあんあんよがらせて、わたしに夢中にさせたいだけなのだ。
いや、わかっておるぞ。そんな簡単に、エロマンガみたいに女の子が落ちたりしないことくらい。だからこそちゃんと順を追って、それなりにロマンチックな演出もして、邪魔の入らないところで始めたいのだ。
姫をこの城に迎えて2年半。はじめてのちゅーから一年ちょうど。やっと、今日と言う日を迎えたのに……!
わたしは後ろを振り向いた。玉座の傍、貝殻を模したふかふかのソファベッドには、姫が座り込み、目を閉じている。
その真意はわたしにも知れない。
もしかしたら、あの勇者のほうにこころがあったのかもしれない。
奴との再会を機に、この魔王から離れていってしまうかもしれない……!
わたしは咆哮した。
「さあ、くるがいい勇者よ。あと一歩――そこ、そこの黄色い線より内側まで入って来いって。そこが魔法の射程距離だからな! かかってこい!」
「そ……それを聞いて不用意に踏み込むやつがいるか! お前こそ、俺の剣の届くところまで近づいてこい!」
「なんでだ! たわけが!」
「なんだよ! ばかやろー!」
_______
どうも、姫です。
ちなみに勃起してます。
ああ、はい、男の娘です。正確には王子なんです。
なのでちんこあります。それが勃起してます。
なんでかって、まあ一言で言うとビッチだからです。
国の貴族をあらかた食い散らかしたところで、下町に男娼を買いに行ったら魔王にナンパされました。けっこうイケメンだし贅沢させてくれるっていうし、なにより悪魔のちんぽってスゴそうって思って付いて行ったんですけどコイツ全然でマジ欲求不満なんです。
一緒に暮らし始めてからずっと、貢いだり褒め倒したり手料理振る舞ったり共通の趣味を持とうとしたり、一年がかりで手を握って、半年あとにやっとキス。舌入れたら隣の部屋まで逃げやがりました。
ここまできたらボクも意地になって、なんとしてもイッパツやってから帰ろうと思ってたんですけどね。
さすがに待たせすぎでしょうよ。
とうとうこっちからパンツ脱がしたら、ようやく覚悟きめたみたいでした。
期待よりはるかにちんぽ小さくてすげぇガッカリしましたよ。
……まあ、これはこれで。ここで、ボクに自分よりデカいちんぽついてるってわかったらどんな顔すんのかなって、ワクテカしてたんですけど。
勇者と名乗る客がきたら、あわてて玉座でカッコつけ始めましたよこのヘタレ。
ありえないでしょ。
魔王なら、勇者の目の前で姫をレイプするくらいの気概を持ちなさいよ。
ていうか3Pでいいじゃん。勇者といっしょに楽しめばいいじゃん。
ていうかなんなら魔王配下のザコモン召喚して、みんなでボクのこと輪姦すればいいじゃん。
インキュバスにサキュバス、オークやゴブリンはもちろん、スキュラとかワームとかどんどんかかってくればいいんですよ。
こっちは完全にそのつもりでココに来ているんだし。
「――かかってこい! この騎士の剣にかけて、俺はお前を倒すっ!」
「ふははは、いい度胸だ勇者よ。さあ、来るがいい!」
「お前が来い!」
「お前が来い!」
お前らふたりともさっさと来いや。
こっちは完全にスタンバイオッケー。フル勃起でケツ穴うずいかせてるんですからね。
まったく、しまいにはボクが全員、掘りまくってやろうかしら。
勇者はただ独りであった。
魔王は玉座に在ったまま、勇者を迎える。
その後ろには姫の姿があった。
姫を返せと、勇者は言う。
取り返してみろと、魔王は嗤う。
姫は言葉もなく、ただ祈るように目を伏せていた。
長きにわたる旅の果て。
――決戦のとき。
その戦いは、なぜかなかなか始まらないのだった。
_____
俺は勇者。
突然だがいま、勃起している。
「ついに追い詰めたぞ、魔王!」
俺は叫んだ。ずっと前から用意していた、ラスボス戦用の口上だ。
でも勃起しているのでちょっとだけ声に張りがない。
「四天王はすべて屠った。もうこの城にはおまえひとりだ……覚悟しろ!」
そう、言いながらも、内股気味の前かがみ状態から脱することはできない。
なぜなら勃起しているからだ。
完全無欠のフル勃起だからだ。
……いや、あれだ。誤解はしないでほしい。
別に俺はその、常に勃起しているような特異体質だとか、戦闘に悦楽を覚える特殊性癖だとかではない。
俺が勃起してるのは姫のせいだ。
兵士である俺は、ひそかに姫をお慕いしていた。彼女が魔王にさらわれ、救出に名乗りを上げたのは自然なこと。
そして、もしも魔王討伐を果たしたら、そのときは――
もしかしたら。って、ちょっとくらい期待したっていいだろ?
そんなわけで、勃起している。
「姫を返せ!」
俺は言った。
魔王は笑った。
「……これは、異なることを。突然わたしの城に押しかけてきて、わたしの妻を渡せというのか」
「きさまの妻……だと!?」
「ああ、そうだ。すでに婚約の契りは交わした」
俺は目を見開いた。そしてさらに勃起した。
……婚約の契り? 契りってなんだ? あれか? やっぱりあれか?
あんなことやこんなことをやったのか? どこまでだ? どこまでやったんだ? 何回くらいやったんだ?
魔王との契り……それってやっぱりすごいのか? すごいんだろうなきっと。
すごいでかくて赤黒くて、でもって麻薬でも仕込んだみたいにものすごい快楽で、純潔だった姫もものすごいことになって、いやもちろん最初の内は頑なに拒んだだろうけど、最後には自分からもっと奥までくらしゃいとか言っちゃうくらいトロットロになって?
「はうっ……!」
俺は両膝をついた。魔王が笑う。
「――なんだ、さっきからちっともかかってこないのは、すでに深い傷をおっていたせいか! もはや立ち上がることも出来ないとはな! はっはっははははは!」
ちがう。
しかし立ち上がれないのは事実である。
俺は歯噛みした。
「そっちから……かかってきやがれ……! 俺は、どんな攻撃だって受けて、反撃をしてみせる……!!」
魔王は笑うばかりだった。
ちくしょう。勃起が、この勃起がおさまりさえすれば……!
俺は股間を抑えながら、魔王をにらみ、対峙し続けていた。
______
わたしは魔王である。
それはそうとして、勃起している。
大体、小一時間ほど前から勃起し続けている。
いいかげんおさまってもいい頃なのだが、ちょっとした衣擦れが敏感なところをこすってしまうものだから、動くこともままならずひたすらずっと勃起している。
それもこれも、この闖入者のせいだ。
勇者だか風車だか、兵士だか精子だか知らないが、タイミングの悪い小僧である。
わたしはこれから、いままさに、姫といちゃこらむふふなことをしようとしていたところであった。
もうパンツまで脱いでいた。ローブの下はノーパンなもんで、なおのこと刺激がなやましい。
「来い、魔王!」
勇者が叫ぶ。
いや、お前が来てくれ。空気を読めよ。
こっちはノーパンで勃起しているのだぞ。立てるわけないだろう。勃ってるけど。
やだうまいこといっちゃった。
そしてうまいことやるといっちゃいそう。
ゆえに動けない。
「……声だけは威勢のいい小僧め! 膝が震えているのか? おまえのほうからかかってこい!」
わたしの声に、勇者が震える。
……なんだこやつ、本当にビビってるのか? ならばもう帰ってくれよ。わたしはとにかく姫とえっちなことがしたいんだ。国とか人類の滅亡とか全然興味がないんだ。とりあえず姫とえっちがしたいだけなんだ。めちゃくちゃかわいがってあんあんよがらせて、わたしに夢中にさせたいだけなのだ。
いや、わかっておるぞ。そんな簡単に、エロマンガみたいに女の子が落ちたりしないことくらい。だからこそちゃんと順を追って、それなりにロマンチックな演出もして、邪魔の入らないところで始めたいのだ。
姫をこの城に迎えて2年半。はじめてのちゅーから一年ちょうど。やっと、今日と言う日を迎えたのに……!
わたしは後ろを振り向いた。玉座の傍、貝殻を模したふかふかのソファベッドには、姫が座り込み、目を閉じている。
その真意はわたしにも知れない。
もしかしたら、あの勇者のほうにこころがあったのかもしれない。
奴との再会を機に、この魔王から離れていってしまうかもしれない……!
わたしは咆哮した。
「さあ、くるがいい勇者よ。あと一歩――そこ、そこの黄色い線より内側まで入って来いって。そこが魔法の射程距離だからな! かかってこい!」
「そ……それを聞いて不用意に踏み込むやつがいるか! お前こそ、俺の剣の届くところまで近づいてこい!」
「なんでだ! たわけが!」
「なんだよ! ばかやろー!」
_______
どうも、姫です。
ちなみに勃起してます。
ああ、はい、男の娘です。正確には王子なんです。
なのでちんこあります。それが勃起してます。
なんでかって、まあ一言で言うとビッチだからです。
国の貴族をあらかた食い散らかしたところで、下町に男娼を買いに行ったら魔王にナンパされました。けっこうイケメンだし贅沢させてくれるっていうし、なにより悪魔のちんぽってスゴそうって思って付いて行ったんですけどコイツ全然でマジ欲求不満なんです。
一緒に暮らし始めてからずっと、貢いだり褒め倒したり手料理振る舞ったり共通の趣味を持とうとしたり、一年がかりで手を握って、半年あとにやっとキス。舌入れたら隣の部屋まで逃げやがりました。
ここまできたらボクも意地になって、なんとしてもイッパツやってから帰ろうと思ってたんですけどね。
さすがに待たせすぎでしょうよ。
とうとうこっちからパンツ脱がしたら、ようやく覚悟きめたみたいでした。
期待よりはるかにちんぽ小さくてすげぇガッカリしましたよ。
……まあ、これはこれで。ここで、ボクに自分よりデカいちんぽついてるってわかったらどんな顔すんのかなって、ワクテカしてたんですけど。
勇者と名乗る客がきたら、あわてて玉座でカッコつけ始めましたよこのヘタレ。
ありえないでしょ。
魔王なら、勇者の目の前で姫をレイプするくらいの気概を持ちなさいよ。
ていうか3Pでいいじゃん。勇者といっしょに楽しめばいいじゃん。
ていうかなんなら魔王配下のザコモン召喚して、みんなでボクのこと輪姦すればいいじゃん。
インキュバスにサキュバス、オークやゴブリンはもちろん、スキュラとかワームとかどんどんかかってくればいいんですよ。
こっちは完全にそのつもりでココに来ているんだし。
「――かかってこい! この騎士の剣にかけて、俺はお前を倒すっ!」
「ふははは、いい度胸だ勇者よ。さあ、来るがいい!」
「お前が来い!」
「お前が来い!」
お前らふたりともさっさと来いや。
こっちは完全にスタンバイオッケー。フル勃起でケツ穴うずいかせてるんですからね。
まったく、しまいにはボクが全員、掘りまくってやろうかしら。
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コメント
ノベルバユーザー601400
くだらないw
形の無い悪魔
面白いですね
ノベルバユーザー258345
凄い面白かったです!(爆笑)
アッキー
なんだろ…凄いし面白いけどお気に入りにする気にはなれないw