転生先は異世界学園

猫宮&宮藤みほ

2章2話魔術機関へようこそ!

表通りが賑やかな喧騒に包まれている中
どこにでもある普通のビルとビルに
挟まれ出来たごく普通の路地。
しかし誰もそこに近寄らない誰もその路地に
意識が向かない。
まるでそこに路地などないかのように
誰も気づかずに日常を過ごしていた
けれどその路地の奥にはひっそりと不気味に
ひとつの洋館が立っていた。
その洋館の門には
「特殊魔術機関アルメニア」
と言う文字が彫られた鉄プレートが
ぶら下がっていた。

アルメニア203号室にて
窓から朝日が差し込む中で一人の少女が
机の上の写真立てを眺めていた。
その写真には銀髪に赤い瞳の少年と少女が
笑顔でピースをして写っていた。
そして、写真を眺めながら宮藤みほは
笑顔を作る。
「久しぶりに会うわね、ああ、はやく
会いたいわねー」
とみほが独り言を呟くと突然ドアが
ノックされた。
「開いてるわよ」
とみほが言うと金髪に空色の瞳の
メイド姿の少女が部屋へと入ってきた。
「あら、メイビスどうかした?」
とみほが問いかける
と奇怪の少女メイビスはぺこりと頭を下げ
「お取り込み中だったら
申し訳ありませんでしたお嬢様」
と謝る。
「いえ、暇していたところだったわよ?」
とみほが言うとメイビスは頭を上げて
「そうですかならよかったです
それで、用件なのですがお嬢様に
お客が来ております。」
と言うメイビスにみほは
「すぐ行くわ」
と言いそのまま1階へと向かった。

アルメニア1階ロビーにて
凪咲が中に入るとメイド服の少女が
現れ凪咲にソファで待つように行った後に
2階へと上がっていってしまった。
それからまもなく先程の少女と共に
みほが階段を降りてきた。
「あら、凪咲さんお客とは貴方だったのね」
と言ってみほは凪咲と向かい側に座った。
メイドの少女はそのままどこかへと
行ってしまいその場を静寂が支配した。
「で、何の用なの?」
とみほが凪咲へと問いかける。
凪咲は黙って制服のポケットから先程
彩に貰った端末を取り出して机の上に置いた。
「・・・・?」
とみほが首を傾げると凪咲が
「使い方教えてください」
と小さくそう言った。
みほは黙ったまま立ち上がると
凪咲の隣へと座った。
「まず、画面をタッチすると……」
とみほは凪咲の前で起動の仕方や連絡の方法や
メールの送り方等を説明した。
そして、みほの説明を受けながら凪咲は
みほの方をチラッと一瞥する。
(みほさんって、美少女だよね
好きな人とかいるのかな?)
と凪咲が考えている内にみほの説明は終了した。
「……って感じよ。分かった?」
というみほの言葉に凪咲は頷く。
「それで、用ってそれだけなの?」
とみほが聞くと凪咲は首を横に振って
「相談に乗ってもらいたいんですが」
と言い本題を切り出した。

凪咲から本題を聞いたみほは突然凪咲を
ほんの数センチで唇が触れそうな距離まで
引き寄せる。
凪咲は突然のみほの行動に目を見開いて
離れようとみほの体を押すが
みほは凪咲の背中に手を回して
逃げられないようにする。
「……なんのつもりですか」
と凪咲が問いかけるとみほは凪咲から
離れると笑みを浮かべた。
「本当に好きになっちゃったのね」
とみほが言うと部屋のドアがノックされて
メイビスがお茶菓子や紅茶等をお盆に
乗せて入ってきた。
「あら、メイビスありがとうね」
とみほがそう言うとメイビスは無表情で
会釈すると
「いえ、従者として当然ですから」
と言いそのまま部屋を後にした。
みほが凪咲へと視線を戻すと凪咲は
部屋のドアの方を見つめていた。
「どうかした?」
「あの、今の人は……」
という凪咲の質問にみほはああと納得した。
「あの子の名前はメイビス・イルム
私のパートナーである奇怪の少女よ」
とみほが言うと凪咲は驚いた。
「え、イルムって……そうだみほさん
ナビは……ナビはどうなったんですか?」
という凪咲の質問にみほは
少しだけ考えた後に
「多分、修復していると思うけど
もう終わったのかしらね?
凪咲さん明日一緒に確認しに行く?」
とみほが問いかけると凪咲は
こくりと頷いた。
その時ドアがガチャりと開けられ
みほがそちらを向くとそこには寝間着姿の
まほが眠そうに立っていた。
「まほ、おはよう」
とみほが言うとまほはフラフラとした足取りで
みほの膝に乗るとみほへと寄りかかった。
そんなまほにみほは苦笑いを浮かべる。

みほの膝の上で眠そうにしている少女を
見て凪咲はみほに
「みほさんの妹ですか?」
とそう聞くとみほは頷いた。
「ええ、この子まほは自慢の妹よ。」
と言いみほはまほの体に腕を回して
抱きしめる。
するとまほは寒いのかブルっと震えた。
「寒いの?」
とみほが問いかけるとまほはこくりと
小さく頷いた。
「少し待ってね」
と言いみほはテーブルに置いてあった紅茶を
息を吹きかけ少しだけ冷ますと
まほの前へと持っていく。
「ところで、凪咲さんは学生機関は
まだ入っていないの?」
とみほはまほに紅茶を渡して
凪咲に尋ねる凪咲は首を傾げながらも
「いえ、入ってません」
と答えた。
そんな凪咲にみほは少しだけ目を輝かせると
「なら、うちに入らない?」
とそう告げる。
「え、いいんですか?」
と凪咲が言うとみほは頷いた。
「ええ、うちはまだメンバーが
あまりいないのよ私とメイビスそれとまほ
後は、サーニャンも入れて
まだ4人程度なのよね、」
とそう言った。
「そうなんですかのらひとつ聞きたいんですが
どんな活動をするんです?」
と凪咲が聞くと少しだけ視線を天井へと
向けた後に
「依頼された事を達成したり
後は、事務作業とかかしらね」
と言うみほの顔色はよく見ればあまり良くなく
相当に疲れが溜まっているのが見て取れた。
「あの、みほさん私なんかでよければ
なんですが入れてもらえないでしょうか」
と凪咲が言うとみほは少しだけ固まる。
そして、そのまま嬉しそうな顔をすると
凪咲へと左手を出す。
「今日からよろしくね黒野凪咲さん」
というみほの手を凪咲は握り返し
「はい!」
とそう言った。

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