Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
流石にへばるの早すぎませんか?
「じゃあ俺たちはもう行くので。ここで待機して敵の前線を抑えていてください」
昼食を食べ終えて身支度も終えた俺たちは、氷王の城へと向かうことにした。
敵の前線などと言うほどにこの氷の世界に魔族がいるのかは疑問だが、士気を高めるのと用心を怠らせないようにするために一応言葉がけをしておく。
こちらはこちらで早く倒すに越したことはないし、イースベルを倒した今、道中は居たとしても低級の魔物達ばかりだというので時間をかけずに魔王の城まで行けるという考えだ。
安直すぎるかもしれないが、実際問題情報が少なすぎるためにこうせざるを得ない。
ここで止まっていてはいつか疲弊してやられるだけだし、何より俺は早く元の世界に帰って、2次元という癒しに思い切り飛び込みたい。当初の目的をわすれかけてるんじゃねぇかと思ったそこのアナタ、ダイジョウブワスレテナイヨ。
色々なことを考えすぎて頭がパンクしそうだけれど、信念だけはちゃんと通さなければ。タダでさえ情緒不安定で考えることが多いからね。
家に帰って嫁たちとイチャコラ(一方的に)するために、とっとと魔王共をぶちのめさなきゃあ行けない。これが目標だ、忘れるなよ俺。
自分でもなんとなく大筋の思考はあるのだけれど、そこに別の糸が絡んで思考がズレてしまうことがある。
これを世間一般では俺が常々自分のことを指すように情緒不安定というらしいが、かなり的を射た言葉だと思う。特に後半の不安定。
テンションなんて安定したことはないし、この性格上寄り付く人間は限られてくる。
むしろ高校で友人ができたのがほぼ奇跡というレベルだ。あれ、俺友達いたっけ? 比留間……はクソ野郎だし、健太郎……はホモだし……うん、いなかったことにしよう。
しかし今こうして考えていることも、辛辣に言ってしまうと本筋の思考から脱線しているわけで。
「ご主人、何してるの? 早く行くわよ」
「ああ」
雑な思考を切り捨ててシルティスに急かされるかたちでベースキャンプを出ようとすると、
「勇者様! 我々から1人だけ同行者をつけさせていただきます。若輩者ながら剣の腕はたつ者です。こい、ミツアキ」
と、ベースキャンプの隊長がこちらに向かって声をかけ、ミツアキを呼んだ。明らかに虚ろな目で、誰かに酒でも飲まされた後なのだろうということが伺える。
「この度、勇者様御一行のお付として同行させていただきます、ミツアキと申します」
「ああ、ミツアキが付いてくるのか」
もうこの世界では何があっても多分大して驚きはしないし、逆に自分が相手を驚かしていくスタイルでいこう。
ふふふ、どうだ、お前の言う通りフランクにミツアキと名前で呼んでやったぞ!
「はい、私はまだ未熟故、本来ならばこの駐屯地で訓練を積んだほうがいいと通達が来ていたのですが、代わりのものが二日酔いで同行出来なくなってしまいましたので」
……あ、はい、なんかすみません、今更威張るところでもないという事ね。コミュニケーションが苦手な俺にはやはり難しいところらしい。というかこれ絶対隊長が本来ついてくるやつだったろおい。
しかし、ついてこられても足でまといになられては困るのだけど……いや、ディスりや強いアピールじゃないからね?
「その点に関しては問題ございません。自身のみを守れる程度の加護は神から授かっております」
『神様と言ってもイラリア様のほうだけどねー』
「ん?」
「いえ、独り言です、気にしないでください」
ふとなにかの声が聞こえたような気がしたのだが、彼は彼は軽く刀を小突いて何でもないと一蹴した。
「では、日が落ちる前にまいりましょう」
軽く焦っているようで何故か俺たちを先導しだしたミツアキについていく形で、俺たちは南のベースキャンプを離れた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
流石に過酷な山の環境なだけあり、レベルMAXという一般人を超えたステータスを持つヤン兄ですら、中腹の時点で既に疲れの色が滲み出ていた。
一方のミツアキはと言うと、一切の汗をかかずに、時折少し隊列を離脱しては刀の手入れでもしているのか、腰に下げた刀を外して何かをしていた。
転生者とか言われたけれどもミツアキという名前だけで元日本人と信じるのは難しいし、何よりこの世界の人間は勇者を進行している節がある。
今までの会話から考えるに王国に召喚されているのは日本人の勇者のみ。
知識として日本人に多い名前を教えられているものも多いはず。40年前からと考えれば彼の親がそのように名付けたという可能性もある。
危うく最初は信じかけたが、少しくらいは思い切り人を疑うことを知らないとな。
「なんだかんだで私の時はものすごく疑ってたと思うのだけど、気のせいかしら?」
「知らないなぁ、そんなこと。俺は人を疑うことを知らない純真無垢でまるで生まれたてのような可愛らし男の子d」
「あぁ、もうどうでもいいわ……」
唐突に話しかけてきたシルティスが、これ以上の会話は無駄だと言わんばかりに俺との会話を停止させる。
ちょっと酷くね? ご主人、いくら2次元にしか興味がなくても傷つきます……
「今日はもう遅いし、テント建てるか」
「おう……」
俺のその一言に声を振り絞るようにヤン兄が返事をし、這うようにしてゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ちょっと待て、なんでそんなに疲れてんのさ……」
「それはお前らが荷物全部俺に押し付けてるからだろうが」
「俺ら多分それ持っててもへばることないよ?」
「……化け物共め……」
恨めしそうにこちらを睨むヤン兄。本当はベースキャンプに置いてきてもよかったんだけど、ミツアキが来るなら体裁上連れていくしかなかったんだよね……勇者の行軍! とか言ってるのに主要扱いされてるヤン兄を連れていかないなんてなったら俺が社会的に消されそう。
「……ヤン兄さん、勇者なのにへばるの早いんですね」
「……地元民強すぎかよ」
「僕の地元はここじゃなくて東北地方なんですけどね……」
「はっ、それは余計に山になれてそうだな……」
「日本海寄りなんでなんとも」
ヤン兄とミツアキのくだらない会話を聞きながら俺とシルティスは無言でヤン兄のリュックをかっさらい、中に入っていた簡易テントの設営を始める。
あー、nontbellの「月明かり2型」の快適さが懐かしいよ。アニソンライブの時にガチテントで通う勢だったからね、俺。
昼食を食べ終えて身支度も終えた俺たちは、氷王の城へと向かうことにした。
敵の前線などと言うほどにこの氷の世界に魔族がいるのかは疑問だが、士気を高めるのと用心を怠らせないようにするために一応言葉がけをしておく。
こちらはこちらで早く倒すに越したことはないし、イースベルを倒した今、道中は居たとしても低級の魔物達ばかりだというので時間をかけずに魔王の城まで行けるという考えだ。
安直すぎるかもしれないが、実際問題情報が少なすぎるためにこうせざるを得ない。
ここで止まっていてはいつか疲弊してやられるだけだし、何より俺は早く元の世界に帰って、2次元という癒しに思い切り飛び込みたい。当初の目的をわすれかけてるんじゃねぇかと思ったそこのアナタ、ダイジョウブワスレテナイヨ。
色々なことを考えすぎて頭がパンクしそうだけれど、信念だけはちゃんと通さなければ。タダでさえ情緒不安定で考えることが多いからね。
家に帰って嫁たちとイチャコラ(一方的に)するために、とっとと魔王共をぶちのめさなきゃあ行けない。これが目標だ、忘れるなよ俺。
自分でもなんとなく大筋の思考はあるのだけれど、そこに別の糸が絡んで思考がズレてしまうことがある。
これを世間一般では俺が常々自分のことを指すように情緒不安定というらしいが、かなり的を射た言葉だと思う。特に後半の不安定。
テンションなんて安定したことはないし、この性格上寄り付く人間は限られてくる。
むしろ高校で友人ができたのがほぼ奇跡というレベルだ。あれ、俺友達いたっけ? 比留間……はクソ野郎だし、健太郎……はホモだし……うん、いなかったことにしよう。
しかし今こうして考えていることも、辛辣に言ってしまうと本筋の思考から脱線しているわけで。
「ご主人、何してるの? 早く行くわよ」
「ああ」
雑な思考を切り捨ててシルティスに急かされるかたちでベースキャンプを出ようとすると、
「勇者様! 我々から1人だけ同行者をつけさせていただきます。若輩者ながら剣の腕はたつ者です。こい、ミツアキ」
と、ベースキャンプの隊長がこちらに向かって声をかけ、ミツアキを呼んだ。明らかに虚ろな目で、誰かに酒でも飲まされた後なのだろうということが伺える。
「この度、勇者様御一行のお付として同行させていただきます、ミツアキと申します」
「ああ、ミツアキが付いてくるのか」
もうこの世界では何があっても多分大して驚きはしないし、逆に自分が相手を驚かしていくスタイルでいこう。
ふふふ、どうだ、お前の言う通りフランクにミツアキと名前で呼んでやったぞ!
「はい、私はまだ未熟故、本来ならばこの駐屯地で訓練を積んだほうがいいと通達が来ていたのですが、代わりのものが二日酔いで同行出来なくなってしまいましたので」
……あ、はい、なんかすみません、今更威張るところでもないという事ね。コミュニケーションが苦手な俺にはやはり難しいところらしい。というかこれ絶対隊長が本来ついてくるやつだったろおい。
しかし、ついてこられても足でまといになられては困るのだけど……いや、ディスりや強いアピールじゃないからね?
「その点に関しては問題ございません。自身のみを守れる程度の加護は神から授かっております」
『神様と言ってもイラリア様のほうだけどねー』
「ん?」
「いえ、独り言です、気にしないでください」
ふとなにかの声が聞こえたような気がしたのだが、彼は彼は軽く刀を小突いて何でもないと一蹴した。
「では、日が落ちる前にまいりましょう」
軽く焦っているようで何故か俺たちを先導しだしたミツアキについていく形で、俺たちは南のベースキャンプを離れた。
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流石に過酷な山の環境なだけあり、レベルMAXという一般人を超えたステータスを持つヤン兄ですら、中腹の時点で既に疲れの色が滲み出ていた。
一方のミツアキはと言うと、一切の汗をかかずに、時折少し隊列を離脱しては刀の手入れでもしているのか、腰に下げた刀を外して何かをしていた。
転生者とか言われたけれどもミツアキという名前だけで元日本人と信じるのは難しいし、何よりこの世界の人間は勇者を進行している節がある。
今までの会話から考えるに王国に召喚されているのは日本人の勇者のみ。
知識として日本人に多い名前を教えられているものも多いはず。40年前からと考えれば彼の親がそのように名付けたという可能性もある。
危うく最初は信じかけたが、少しくらいは思い切り人を疑うことを知らないとな。
「なんだかんだで私の時はものすごく疑ってたと思うのだけど、気のせいかしら?」
「知らないなぁ、そんなこと。俺は人を疑うことを知らない純真無垢でまるで生まれたてのような可愛らし男の子d」
「あぁ、もうどうでもいいわ……」
唐突に話しかけてきたシルティスが、これ以上の会話は無駄だと言わんばかりに俺との会話を停止させる。
ちょっと酷くね? ご主人、いくら2次元にしか興味がなくても傷つきます……
「今日はもう遅いし、テント建てるか」
「おう……」
俺のその一言に声を振り絞るようにヤン兄が返事をし、這うようにしてゆっくりとこちらに近づいてくる。
「ちょっと待て、なんでそんなに疲れてんのさ……」
「それはお前らが荷物全部俺に押し付けてるからだろうが」
「俺ら多分それ持っててもへばることないよ?」
「……化け物共め……」
恨めしそうにこちらを睨むヤン兄。本当はベースキャンプに置いてきてもよかったんだけど、ミツアキが来るなら体裁上連れていくしかなかったんだよね……勇者の行軍! とか言ってるのに主要扱いされてるヤン兄を連れていかないなんてなったら俺が社会的に消されそう。
「……ヤン兄さん、勇者なのにへばるの早いんですね」
「……地元民強すぎかよ」
「僕の地元はここじゃなくて東北地方なんですけどね……」
「はっ、それは余計に山になれてそうだな……」
「日本海寄りなんでなんとも」
ヤン兄とミツアキのくだらない会話を聞きながら俺とシルティスは無言でヤン兄のリュックをかっさらい、中に入っていた簡易テントの設営を始める。
あー、nontbellの「月明かり2型」の快適さが懐かしいよ。アニソンライブの時にガチテントで通う勢だったからね、俺。
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