Re:現代知識チートの領地運営~辺境騎士爵の子供に転生しました~
婚約者。
フレベルト王国アルセス辺境伯のさらに辺境に位置するハルス村。
そこは、周囲を山に囲まれている。
現在は夏を終え、冬に向かおうとしている時期であり、山から下りてくる寒冷の風もあり、朝方は冷える。
つまり、何が言いたいのかと言うと朝になっても中々、お布団から出たくないのだ。
いつも、母親と寝ているときは何度も起こされてようやく目を覚ますのが慣例となっている。
「アルス。起きて、アルス」
鈴の音を彷彿とさせる澄んだ声が、耳元から聞こえてくる。
その声は、母親とは違う。
寝ぼけた思考のまま、薄っすらと目を明ける。
すると目の前には、横になっているアリサ先生の姿があった。
――と、言うか近いから……
俺とアリサ先生との距離が10センチもない。
むしろ、顔以外は密着していると言っていい。
「あ、あの……」
生まれて47年。
異性とのゼロ距離密着は母親を除くとない。
アリサ先生は、美少女金髪ハーフエルフで胸も大きい。
密着していることで彼女の体の肉感が伝わってくるよ……う……だ?
「アリサ先生、どうして……」
「どうしたの?」
「……いえ。なんでもないです……」
どうして、裸で寝ているのですか? という突っ込みは出来なかった。
もしかしたらハーフエルフは、裸で寝る習慣があるかも知れないから。
ハーフエルフの風習であったのなら、そのことを俺が指摘するのは、とても失礼な行為に当たるだろう。
俺が何も言わなかったことに、思うところがあったのか俺の瞳をジッと見てくると額に接吻をした後、俺を強く抱きしめてきた。
女性特有の柔らかさと、においがアリサ先生に抱かれているということを否応なしにも実感させてくる。
これ以上は、やばい……。
俺の人生経験47年が言っている。
異世界、師弟関係マジすごいと。
――ただ……俺には耐えられない。
「少しお手洗いに!」
「ダメ!」
すぐに布団から出ようとするが、アリサ先生に抱き枕扱いされていて身動きが取れない。
もうだめだ。
心臓の鼓動が煩いくらいに、ドクンドクンと律動を刻んでいる。
「アルス? アルス? アル――」
アリサ先生の声が遠のいていく。
ああ、そうか俺は……死ぬのか……。
ふっ――。
異世界に転生してきて何もせずに……いや、男としては誰もが羨むシュチェーションで死ねるのだ。
――我が人生に一辺の悔いもなし!
「知っている天井だ……」
一体、何がどうなったのだろうか?
気がつけば……と、言うか意識を取り戻したら、居間ではなく寝室の布団上で、俺は寝ていた。
全て、夢だったのか?
もしかして……俺は時間をループしているのでは?
……そんなわけがないか。
布団から出て居間に向かう。
そして扉に手を掛けようとしたところで声が聞こえてきた。
俺は、気になり耳を扉につけて盗み聞きを決行する。
「アリサ先生! いくら、息子と婚約が決まったからと言って裸で誘惑するなんてやりすぎです! 私だって、してないのに!」
母親の怒鳴り声が聞こえてきた。
こんにゃく? 一体、何を言っているのだろうか?
「ライラ、落ち着きなさい」
「――で、でも! 私のアルスが異性に免疫が無くて意識を失ったのですよ? ここは段階を踏んで、まずは私が手取り足取り――痛っ!」
どうやら、父親が母親を嗜めたようだ。
問題は、異性に免疫がなくて意識を失ったという点だが……。
アリサ先生くらいの胸の大きい超絶美少女金髪ハーフエルフに裸で抱きつかれたら、誰だって、俺と同じ状態になるのは当たり前だ。
きっと、エルナーだったら俺以上に大変なことになっていたはずだ。
ちなみにエルナーというのは、獣娘が大好きなケモナーの別称だ。
俺が、いま付けた。
エルフが好きだから、エルナー。
なかなかいい感じのネーミングセンスではないか?
自分の才能が怖くなってくる。
「ライラ、何度も言うがアルスが、アリサ殿と結婚したい! とアレほど強い意志を示したからこそ、私は許可を出したのだ。母親であるお前が息子を祝福してやらなくてどうする? 今回の、アリサ殿の対応は、些か問題はあったが……将来的には、夫婦になるのだから、我々がとやかく言うことではない」
「ううっ……、私の息子が……」
「申し訳ありません。ずっと……誰かに優しくされたことが無かったので……つい、舞い上がってしまって……」
ようやくアリサ先生の声が聞こえてきた。
それよりも問題が――。
「気になさらず。昨日も伝えましたが、アリサ殿と息子が結婚すれば、私達は家族なのです。早いうちに、アリサ殿と息子の新居を作らせましょう」
「そ、それは!?」
父親の言葉にアリサ先生の驚いた声が聞こえてきた。
――ただ、俺の方が、もっと驚いている。
俺は、ふらつく体で寝室に戻って布団の中に入る。
ふとんの中は、いい感じで暖かい。
「まず……」
ただ、寝られるような状態ではなかった。
今、俺が置かれている状況――。
それが、まったく理解できない。まさしく「俺、何かしちゃいましたか?」状態だ。
「どうして……結婚って話になっているんだ?」
俺は頭を抱える。
ただ、一つだけ分かることがあった。
俺とアリサ先生の婚約というか結婚が本当なら……、アリサ先生が成人になってから! と語っていた言葉にも納得が出来る。
つまり……。
「――そういうことか……」
全ての謎が解けたような気がする。
きっと……。
いや、間違いない。
俺の不用意に発言した言葉が地球でいうところの、プロポーズという意味合いを含んでいたに違いない……。
「俺は、どこで不用意な発言をした?」
昨日、自分がアリサ先生に言った言葉を思い出せ!
俺は昨日、どんな不用意な言葉を使った?
彼女は、どんな言葉で心を動かした?
考えろ、アルス!
「思い……出した!」
ようやく理解できた。そして自分の語った言葉を思い出す。「アリサ先生は、とても魅力的な! 可愛らしい女性です! そう! とっても可愛らしいです! 僕が成人していたら即、お嫁にもらいたいくらい可愛いです!」と言う言葉。
どう考えてもプロポーズだろう……。
俺は頭を抱える。
まだ、その言葉だけだったら何とかセーフだったかもしれない。
だが、その後の言葉が良くない。「……ほ、本当に……? 私、平民だし……ハーフエルフだよ? 亜人の血を半分引いているのよ? それでも本当に?」という会話の後、「本当に、私なんかでいいの?」という確認。そして、そのあとに俺が彼女に「もちろんです! アリサ先生でないとダメです! 僕には、アリサ先生しかいない!」と言った言葉。
「マジかよ……、どう考えてもプロポーズだ。どうりで浮気はダメだとか、父親がシューバッハ騎士爵家の問題とか、アルセス辺境伯に報告しないといけないと言っていたわけだ……」
ようやく母親が荒れている原因が分かった。
そりゃ5歳の子供が自分で婚約を決めてきたら荒れるわけだわ。
「ど、どど、どうしよう!?」
いまさら、無かったことになんて出来ないよな?
当主である父親が確認を取ってきて、それでも俺は彼女がいいと言ってしまっているのだ。
逃げるわけにはいかないし、そんなことをしたら母親は喜ぶかも知れないが父親は怒るだろうしアリサ先生は傷つくはずだ。
彼女が傷つく姿は見たくない。
あんなに嬉しそうに俺を膝の上に乗せて歌を歌っていたくらいだ。
ここは……。
男として責任を取るべきだろう。
「それにしても5歳にして、婚約者ができるなんて……。俺の47年の人生経験も大したことなったというか……さすが異世界というべきか……」
まずは、そうだな……。
「アリサ先生に、きちんとプロポーズをすることから始めないといけないか。自分の自覚してないところで結婚が決まっていたなんて、それはいやだからな……」
そこは、周囲を山に囲まれている。
現在は夏を終え、冬に向かおうとしている時期であり、山から下りてくる寒冷の風もあり、朝方は冷える。
つまり、何が言いたいのかと言うと朝になっても中々、お布団から出たくないのだ。
いつも、母親と寝ているときは何度も起こされてようやく目を覚ますのが慣例となっている。
「アルス。起きて、アルス」
鈴の音を彷彿とさせる澄んだ声が、耳元から聞こえてくる。
その声は、母親とは違う。
寝ぼけた思考のまま、薄っすらと目を明ける。
すると目の前には、横になっているアリサ先生の姿があった。
――と、言うか近いから……
俺とアリサ先生との距離が10センチもない。
むしろ、顔以外は密着していると言っていい。
「あ、あの……」
生まれて47年。
異性とのゼロ距離密着は母親を除くとない。
アリサ先生は、美少女金髪ハーフエルフで胸も大きい。
密着していることで彼女の体の肉感が伝わってくるよ……う……だ?
「アリサ先生、どうして……」
「どうしたの?」
「……いえ。なんでもないです……」
どうして、裸で寝ているのですか? という突っ込みは出来なかった。
もしかしたらハーフエルフは、裸で寝る習慣があるかも知れないから。
ハーフエルフの風習であったのなら、そのことを俺が指摘するのは、とても失礼な行為に当たるだろう。
俺が何も言わなかったことに、思うところがあったのか俺の瞳をジッと見てくると額に接吻をした後、俺を強く抱きしめてきた。
女性特有の柔らかさと、においがアリサ先生に抱かれているということを否応なしにも実感させてくる。
これ以上は、やばい……。
俺の人生経験47年が言っている。
異世界、師弟関係マジすごいと。
――ただ……俺には耐えられない。
「少しお手洗いに!」
「ダメ!」
すぐに布団から出ようとするが、アリサ先生に抱き枕扱いされていて身動きが取れない。
もうだめだ。
心臓の鼓動が煩いくらいに、ドクンドクンと律動を刻んでいる。
「アルス? アルス? アル――」
アリサ先生の声が遠のいていく。
ああ、そうか俺は……死ぬのか……。
ふっ――。
異世界に転生してきて何もせずに……いや、男としては誰もが羨むシュチェーションで死ねるのだ。
――我が人生に一辺の悔いもなし!
「知っている天井だ……」
一体、何がどうなったのだろうか?
気がつけば……と、言うか意識を取り戻したら、居間ではなく寝室の布団上で、俺は寝ていた。
全て、夢だったのか?
もしかして……俺は時間をループしているのでは?
……そんなわけがないか。
布団から出て居間に向かう。
そして扉に手を掛けようとしたところで声が聞こえてきた。
俺は、気になり耳を扉につけて盗み聞きを決行する。
「アリサ先生! いくら、息子と婚約が決まったからと言って裸で誘惑するなんてやりすぎです! 私だって、してないのに!」
母親の怒鳴り声が聞こえてきた。
こんにゃく? 一体、何を言っているのだろうか?
「ライラ、落ち着きなさい」
「――で、でも! 私のアルスが異性に免疫が無くて意識を失ったのですよ? ここは段階を踏んで、まずは私が手取り足取り――痛っ!」
どうやら、父親が母親を嗜めたようだ。
問題は、異性に免疫がなくて意識を失ったという点だが……。
アリサ先生くらいの胸の大きい超絶美少女金髪ハーフエルフに裸で抱きつかれたら、誰だって、俺と同じ状態になるのは当たり前だ。
きっと、エルナーだったら俺以上に大変なことになっていたはずだ。
ちなみにエルナーというのは、獣娘が大好きなケモナーの別称だ。
俺が、いま付けた。
エルフが好きだから、エルナー。
なかなかいい感じのネーミングセンスではないか?
自分の才能が怖くなってくる。
「ライラ、何度も言うがアルスが、アリサ殿と結婚したい! とアレほど強い意志を示したからこそ、私は許可を出したのだ。母親であるお前が息子を祝福してやらなくてどうする? 今回の、アリサ殿の対応は、些か問題はあったが……将来的には、夫婦になるのだから、我々がとやかく言うことではない」
「ううっ……、私の息子が……」
「申し訳ありません。ずっと……誰かに優しくされたことが無かったので……つい、舞い上がってしまって……」
ようやくアリサ先生の声が聞こえてきた。
それよりも問題が――。
「気になさらず。昨日も伝えましたが、アリサ殿と息子が結婚すれば、私達は家族なのです。早いうちに、アリサ殿と息子の新居を作らせましょう」
「そ、それは!?」
父親の言葉にアリサ先生の驚いた声が聞こえてきた。
――ただ、俺の方が、もっと驚いている。
俺は、ふらつく体で寝室に戻って布団の中に入る。
ふとんの中は、いい感じで暖かい。
「まず……」
ただ、寝られるような状態ではなかった。
今、俺が置かれている状況――。
それが、まったく理解できない。まさしく「俺、何かしちゃいましたか?」状態だ。
「どうして……結婚って話になっているんだ?」
俺は頭を抱える。
ただ、一つだけ分かることがあった。
俺とアリサ先生の婚約というか結婚が本当なら……、アリサ先生が成人になってから! と語っていた言葉にも納得が出来る。
つまり……。
「――そういうことか……」
全ての謎が解けたような気がする。
きっと……。
いや、間違いない。
俺の不用意に発言した言葉が地球でいうところの、プロポーズという意味合いを含んでいたに違いない……。
「俺は、どこで不用意な発言をした?」
昨日、自分がアリサ先生に言った言葉を思い出せ!
俺は昨日、どんな不用意な言葉を使った?
彼女は、どんな言葉で心を動かした?
考えろ、アルス!
「思い……出した!」
ようやく理解できた。そして自分の語った言葉を思い出す。「アリサ先生は、とても魅力的な! 可愛らしい女性です! そう! とっても可愛らしいです! 僕が成人していたら即、お嫁にもらいたいくらい可愛いです!」と言う言葉。
どう考えてもプロポーズだろう……。
俺は頭を抱える。
まだ、その言葉だけだったら何とかセーフだったかもしれない。
だが、その後の言葉が良くない。「……ほ、本当に……? 私、平民だし……ハーフエルフだよ? 亜人の血を半分引いているのよ? それでも本当に?」という会話の後、「本当に、私なんかでいいの?」という確認。そして、そのあとに俺が彼女に「もちろんです! アリサ先生でないとダメです! 僕には、アリサ先生しかいない!」と言った言葉。
「マジかよ……、どう考えてもプロポーズだ。どうりで浮気はダメだとか、父親がシューバッハ騎士爵家の問題とか、アルセス辺境伯に報告しないといけないと言っていたわけだ……」
ようやく母親が荒れている原因が分かった。
そりゃ5歳の子供が自分で婚約を決めてきたら荒れるわけだわ。
「ど、どど、どうしよう!?」
いまさら、無かったことになんて出来ないよな?
当主である父親が確認を取ってきて、それでも俺は彼女がいいと言ってしまっているのだ。
逃げるわけにはいかないし、そんなことをしたら母親は喜ぶかも知れないが父親は怒るだろうしアリサ先生は傷つくはずだ。
彼女が傷つく姿は見たくない。
あんなに嬉しそうに俺を膝の上に乗せて歌を歌っていたくらいだ。
ここは……。
男として責任を取るべきだろう。
「それにしても5歳にして、婚約者ができるなんて……。俺の47年の人生経験も大したことなったというか……さすが異世界というべきか……」
まずは、そうだな……。
「アリサ先生に、きちんとプロポーズをすることから始めないといけないか。自分の自覚してないところで結婚が決まっていたなんて、それはいやだからな……」
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