虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

機械皇 その01



 やがて、空の一部が歪んでいく。
 いや、実際には少し違う──空に突然、ある物が現れたのだ。

「何が来るかと思いきや、飛行船を持っていたのかよ……」

《迎撃装置を稼働していないところを見ますと、こちらのドローンを破壊しようとする意思はないように思えます》

「まあ、こっちのグッズを破壊して嫌な思いなんてさせたら、普通交渉のテーブルに……うん、そういえば『超越者』だな」

 超越している方々が、矮小な普人(虚弱)程度を丁重にもてなす必要は無かったな。
 だが、実際にドローンはアレを解析しているが破壊されていない……面倒だから、とかシンプルな理由だと嬉しいんだけど。

「ん? おい、空から……」

《少女型の機械人形ですね》

「生身じゃあの高度から降ってくることもないし、そうなんだが……『機械皇』の所に居るってことは機械仕掛けか?」

《そのようで。魔力反応があることから、特殊な素材が用いられております……旦那様、ご注意を》

 機械に魔力は宿らない、ならばどうして少女は実在する──答えはシンプル、常識に当て嵌まらないのが『超越者』だからだ。

 空から落ちた──いや、墜ちた少女はやがて地面に着陸──違った、激突する。
 それが見事なほどにギャグ漫画のような展開で、スッポリと頭から嵌ってしまった。

「…………、…………?」

「な、なんとシュールな」

《どうされますか?》

「とりあえず、様子見ですね。助けが居るなら協力しますが、セクハラで訴えられるかもしれませんし……人だって機械だって、そういうのは敏感ですよね?」

 何より、力だけの話で言えば俺はいっさい協力しても意味がない。
 もがくわけでもなく、ただジッと天にそそり立つ少女の足に感動しながら、ボーっと待機していると──

「脱出不可。『生者』に応援を要求」

「つまり、助ければいいと?」

「肯定。『生者』は速やかに機体を地面よりパージすること」

「とりあえず、引っこ抜いてみますね」

 くぐもった声であちらからの要求が来たので、意味は無いが地面から引き抜いてみる。
 当然ながら、このタイミングで例の手袋で能力の解析を試みる……そもそも『超越者』や特殊な職業持ちの可能性は低いが、機械仕掛けの人形に興味があるからな。

「よいしょ、よいしょ……うん、無理です」

「憤慨。圧力がほとんどかかっていなかったことを開示、第二案の実行を要求」

「第二案? もしかして、それって私が考えてやることなのですか?」

「単純明快。『超越者』らしく、地面を割ることができると推定。再度実行を要求」

 まあ、このあとはシャベルとスコップを使い分けて掘りだすことになった。 
 自分の周りが削られていく音に何かを感じたのだろうか、止めろ止めろとかなりうるさかったとだけ記しておこう。


コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品