虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

情報提供



「…………わけが分からん」

『(お(父さん))(アナタ)が一番わけが分からない!』

「いいや、絶対に違う!」

 話し合いは円満に終わり、最後に纏めた結果がこれなんだが……どうして俺がそういった感想を受けなければならないんだ。

「父さんだったんだ、いろんなシステム解放してたの……まさかとは思ってたけど、やっぱり父さんは父さんだったんだ」

「翔、『父さん』という言葉は万能じゃないからな。それにさっきの話を聞く限り、翔も覚醒? とやらを解放したんじゃないか」

「お、俺は……その、パーティーでやってて解放してるんだからいいんだよ! けど、父さんは独りでやってるんじゃないか!」

 グハッ! ここまで息子からストレートにボッチゲーマーだと言われるとは。
 他の誰に言われようと傷つかないが、この場に居る者に言われると大ダメージだ!

「こればかりは弁護できないわ。お父さん、その式神について詳しく教えて」

「なら俺も聖獣と魔獣、神獣について聴きたいことがある。守護獣の定義、なんだか舞の話で分からなくなってきた」

「私もお父さんの話で、いろいろと混乱してきたんだけど……えっ? 妖怪たちが住む世界があるの?」

「妖怪じゃない、物ノ怪だ」

 なんだか違いがあるらしく、絶対に間違わないようにと注意を受けているので念のため言っておく。
 コミとセンク曰く、似て非なる存在だとか言っていた気がするが……フラグじゃね?

「アナター、そのカジノについて」

「──駄目だ!」

「……まだ何も言ってないんですけど」

「カジノに行きたい? 聖女なんだろう、今の瑠璃の立場は。なら金銭欲とかそう言うのに当て嵌まる行為は、やってはいけません」

 何より、『賭博』がズタボロに負けるようなイメージしかできないからな。
 俺は『SEBAS』とペテンの限りを尽くして辛勝したが、瑠璃なら目を瞑っていても勝ってしまいそうで……うん、そうしたら間違いなく座が動いてしまう。

 翔と舞も、同様に頷いている。
 ゲームセンターのコインゲームで、瑠璃だけが大量にコインを手に入れている姿を覚えているので、肯定などしないのだ。

「ゴホン! 情報提供感謝する、約束通り報酬として──獣人国の座標を提供しよう」

『おー!』

「しかしまあ、本当に場所を合わせないと合流できないよな、俺たち。獣人国でいっそのこと集まってみるか?」

 この何気ない一言が、のちのイベントに多大な影響を及ぼすのだが……今はまだ、知る由もない。

「それじゃあ解散! 各自、マナーを守ってモフモフするように」

『ラジャー!』

 そう、今のみんなの瞳にはモフモフに対する情熱しかないのだから。


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