虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
貢献イベント その12
「……いやいや、なんだよこれ」
耳を劈くような声が聞こえたと思いきや、体に角……というかk鏃が刺さっているというこの展開。
確かにな、主人公が油断した瞬間に体に凶器が刺さってるってのは王道な気もするけどさ、アレってそれでも助かるはずだろう。
――なのに俺、あっさり死にました。
まあ、レーダーの警鐘に気付かずに景色を見ていた俺も悪いんだけどさ。
『キィアアアアアアアアア!!』
未だにその声はどこからか轟き、俺の鼓膜に定期的なダメージを与えて俺を殺す。
そのことに少しだけ顔を顰めつつも、少しずつ発生源へと進んでいく。
『キィアアアアアアアアア!!』
煩い音に慣れていき、今ではまるでそんな音なんて存在しないかのように振る舞える。
歩いていった先では、一体の魔物と人が揉めている光景を観ることができた。
とある狩りゲーに出てくる丸い鳥みたいな魔物で、今も上を向いて叫び続けている。
「こら! フリュ! 大人しく、しろ!」
『キィアアアアアアアアア!!』
「ああ、もう! アイツはもう死んだ! だからもう静かにしてくれよ!」
『キィアアアアアアアアア!!』
……うん、大体の事情は分かった。
要するに、魔物が俺に対して警戒しているのだろう。
普通の魔物は俺を警戒しないだろうが、目の前にいる魔物は多分、俺のイメージする鳥と同じような奴だと思われる。
相当に警戒心が強いんじゃないか?
そんな鳥は俺の気配に気付いていて、自分の主を守るべく行動するように促している。
おお、実に勤勉な鳥だ。
主のためにその身を犠牲にしてでも、と叫び、俺からの注意を惹きつけ、主が俺を再発見しても気付けるようにしている。
おお、なんと怠惰な鳥だ。
主を守りたいというのならば、ただ叫ぶだけでなく足でも羽でも動かして、異常な事態であると伝えればよいだろうに。
別に鳥を殺す気はないし、その主に危害を
加えるつもりもない。
だが、いつまでも騒がしいのも景観に合わないからな。
「――とりあえず、お二人には静かにしてもらいましょうか」
『キィエア!?』
「んな、馬鹿な! ……なんで!?」
「では、貴方にはこれを」
口を開けて仰天している一頭と一人。
その隙に、鳥の口の中へ丸薬のような物をポイッと投げる。
『キ、キィェ……ZZz』
「フリュ!? おい、お前! フリュに一体何したんだ!」
「睡眠薬ですよ。この専用の薬で無いと目が覚めることは……って、おっと!」
「それを寄越せ!」
ちなみにだが、ソイツは男だ。
――ただ、少し耳が尖がっているのだが。
確か……EHOでは妖精族の一種になっていたな。
そんなエルフの男は弓を構え、何度も何度も矢を射っていく。
うーん、話し合いはできるのかな?
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