邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百五十六話 降

9章 Grim happy end


「………ここは」

シグレは、森の中にいた。
ひらけた広場に燦々と降り注ぐ日光の中、白銀の長髪が風に乗りたなびいている。
黒髪から白髪に変わった髪、柔らかな手のひら、縮まった身長。
そして、森の中に不自然に群生した荊と、それに囲まれて傷ひとつない自分。

「いやいやいや、どういうことですか……何で森の中に不自然に荊が生えていて、そこに少女が囲まれていて、しかも本来ならば荊のない場所に、この体を守る籠のように群生していて、それで何で眠ってるんですかねこの体の持ち主は……」

そんなことを考えながら、シグレはゆっくりと立ち上がる。
両手を下腹部で合わせて眠っていたから体勢から体を動かすと、すぐさま目の前の荊が退き、シグレは地へと降り立った。

「……なるほど、精神交換は確かに成功したようですね」

目の前を通った蝶々の情報を見ることができない。
シグレが鑑定するために使用しているのはスキルであるし、そもそも異界の神眼は肉体に根ざしたスキルであるため宿る肉体が変わった時点で使えないことは確定しているのだが、それでも、シグレは目の前の事実より自分の精神の入れ物たる肉体が変わったということを理解した。

「鑑定」

フルーク・バタフライ

金色に輝く美しい羽を持つ蝶の一種、幸運の象徴と呼ばれる。
飛んだ後には黄金の軌跡が残り、「星屑の川」と呼ばれ、見たものに大いなる富をもたらすと言われている。
人間の乱獲により未来においては超希少種となっている。
この時代でも希少種であったが、探そうと思えば見つけられる程度であり、好事家相手のオークションでの価格は未来では百倍以上につり上がっていたりする。

鑑定のレベルが低いようで、まだステータスやスキルなどは見られないようだが、最後の一文により過去へと無事転移したことをシグレは理解した。
しかし、時間遡行などをした場合、鑑定により表示される説明文は存在する時間を軸として構成されるようである。
「どこまで作り込みが細かいんですかこのゲーム。やっぱり流石ですね」

運営の熱意に感嘆していると、シグレは唐突にかぶりを振った。




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