邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第三百三十六話 遺産

8章 復活儀式


「なんですかこの夥しい数の紙片は……」
「旧魔導文明、その遺産の書物の成れの果てと言われている。まあ、それが真実まことであるかはわからんが、古代の遺産であることは確実じゃ、それ自体が強力な魔導具アーティファクトであるこれは、保存の魔法を受けつけず、時を経て劣化し、ついにはただの紙片にまで風化してしまった」
「そもそも、このアーティファクトは……

せフィロの講義が始まったところで、シグレは意識を脳内の神々との会話に移した。

『なるほど、だから時を巻き戻せると言ったら飛び上がって喜んだのか』
『旧魔導文明……「栄華の落日」と呼ばれる破滅の事件が有名だな』
『なに?それ』
『簡単に言えば、星の核からエネルギーを取り出そうとしたのさ。神でもないのにな。結果はもちろん失敗。地脈を無理やり捻じ曲げたせいで自然環境や魔力濃度がおかしくなって、その影響で発生した嵐などの天災や豊富な魔力に惹かれてきた魔物や龍種に滅ぼされた。これが、「栄華の落日」だ』
『なるほど、ヒトの身でそこまで到達するのは……ある意味凄いね』
『愚者ではあるが、馬鹿ではないのだな。文明の者達は』
『そうだな、彼らの技術は革新的で、この世界の魔法技術はかなり発展したと言えるだろう。古に存在した神器を模して物体に魔力を注入し、魔導具アーティファクト魔道具マジックアイテムを開発したのもかの文明の者達だ』
「天罰喰らってそうですね。最もわかり易い神の威光たる神器を再現するとか、普通に禁忌でしょうに」
『ああ、だから「栄華の落日」の時にも神々は誰一人として彼らを救おうとしなかったらしい』
「なるほど」

「と、まぁ、このような経緯でこの本はこの大賢者の図書館に所蔵されることとなったのじゃ」
「なるほど、よく分かりました」
「それでは早速頼む」

せフィロは興奮を隠せないようで、数十年前から成長しない幼子の顔をまるで年相応の子供のように歪め、諸手を中空に突き上げて歓喜の様相を示している。

「それじゃあ、いきましょうか」
『心得た』

そういってシグレは気の遠くなるほどの年月をかけて風化し粉々に砕かれた紙片の最も大きいものに手をかざし、時を巻き戻し始めた。


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