邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
閑話 毀骸の王子 一頁
閑章 遥か遠く、あの宙の下で。
昔々、あるところに、ひとつの大きな国がありました。
その国は代々王様によってよく納められ、全ての国民が飢えることの無い、素晴らしい国でありました。
その国の王子様は、とても聡明でした。
生後数日程で言葉を喋り、数ヶ月後には自分で歩けるようになったのです。
さて、この物語は、王子様が二歳になってすぐの頃から始まります。
「おはよう!!」
「おはようございますぼっちゃま、今日もご機嫌麗しゅう」
「うん!リタもげんき?」
「ええ、ぼっちゃまのおかげで元気そのものですよ」
未だ二歳になったばかりの王子様は、楽しそうにお付きのメイドと話しつつ廊下を散歩していました。
その顔に影で不細工と呼ばれる父親の面影はなく、俗にいう美男子、道を歩けば誰もが振り返るような美貌の持ち主でした。
「きょうはどこまでいこうかな!」
子供らしく希望に溢れた元気な声で王子様はメイドに話しかけました。
「そうですねぇ……暖かくなってまいりましたし、庭園でお昼などはどうでしょう?」
「そうだね!じゃあそれまでおべんきょうしてくる!」
「かしこまりました。お昼の準備をしておきますね」
リタ___代々王族の専属メイドを務めてきた老婆は、走り去っていく王子様を慈愛を込めた瞳で見つめながら、キッチンへと歩いていきました。
そしてお昼の時間、勉強を終えた王子様とお昼ご飯を持ったリタがうららかな春の日差しを浴びながら中庭の庭園を横切ると、「おお、ぼっちゃんじゃないですか!どんなごようで?」
「ごはん!」
「ここの丘でお昼を、と思いまして」
庭園の管理を任されている庭師の男が王子様に話しかけ、元気に反応する王子の発言をリタが補足します。
それを聞いて事情を知った庭師は、快活に笑いながら庭の奥を指差します。
「なるほど、そういうことでしたか、そんなら、今は丘近くの花畑でアネモネが満開で見頃ですぜ!ぜひ見ていってください!」
庭師の言葉を信じて王子とリタが庭園を進んでいくと、目的の丘が見えて来ました。
ここは王国中心部の近く、王族にのみ与えられる一等地、庭園といっても整備されているのは館の周囲のみであり、それ以外の場所はほとんど人の手の入らぬ花畑なのです。
「あーあ!ぼくもおしろにいきたいなー!」
王子様とリタが歩いていると、王様がいる場所、お城が見えて来ました。
お城は王様や家臣の人たちが仕事をするところなので、王子様はまだ入ったことがありませんでした。
どうやらそれが気に入らないようで、王子様は手を振り上げてピョンピョンと飛び跳ね、頰を膨らませています。
「ぼっちゃまならすぐに行けますよ」
「そうよ、あなたは王子なんだから、ちょっとは我慢しなさい」
「あっ!おねーちゃん!」
いきなり後ろから声をかけられた王子様が振り返ると、そこには王子様のお姉さんが立っていました。
「そうよ〜おねーちゃんでちゅよ〜!」
名前を呼ばれたお姉さんは、王子様に飛びついて抱きしめ、頬ずりをしています。
とても緩んで恍惚とした表情で笑っているので、王子様も思わず笑ってしまいました。
「マリアさま、マリアさま」
「はっ!?あまりの可愛さに正気を失っていたわ…ありがとうリタ。さすが王家のメイドね」
見かねたリタが声をかけ、お姉さんは王子様を離しました。
お姉さんは弟である王子様が大好きで、とっても王子様によくしてくれる、とってもいいお姉さんなのです。
さっきのふやけた顔からは想像もできないほど凛々しく、美しい顔になったお姉さんは王子様に話しかけます。
「これからご飯?私も一緒に食べていい?」
「うん!いいよ!」
王子様は満面の笑みで返答します。
「それではマリアさまもこちらへ、ご飯は用意しておりますので、ご安心を」
そうして、王子様はお姉さんも加えて三人で丘へと歩いて行きます。
「うわぁ!おねぇちゃん!リタ!きれいなおはながいっぱい!」
「そうですね。ぼっちゃん。本当にきれいです」
「そうね!特にここにいるあなたとか!」
「マリアさま…」
「はっ!ごめんリタ…ちょっとかわいさにのまれてしまったわ…」
目の前にはきれいに咲いた一面に広がるアネモネの花畑、春のうららかな日差しと青い空、草花が生い茂る大地、これらが合わさり、なんとも言えない絶景を作り出していました。
「さて!ご飯よ!」
「うん!」
「かしこまりました」
こうして三人は、春の日差しに包まれながらある日の楽しい昼食を終えました。
そして、事件が起きます。
始まりは些細なことでした。
ただ、王子様が躓いてしまっただけなのです。
「あっ…」
「えっ」
「ぼっちゃま!」
坂から降りて草原を歩いている王子様は、石に躓いてしまいました。
まだたったの2歳ですから、バランスをとることもできません。
お姉さんやリタも驚いて動けなくなってしまっています。
そうして、王子様は転んで、怪我をしてしまいました。
そして、次に目が覚めたのは、お屋敷のベットの中でした。
はい、閑話が長いね。
従魔スキル紹介
全て呑むもの
自身の粘体に触れたものを例外なく飲み込み、出し入れすることが可能
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(誤字脱字がありましたら、何話かを明記した上で修正点をコメントしていただければ幸いです)
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昔々、あるところに、ひとつの大きな国がありました。
その国は代々王様によってよく納められ、全ての国民が飢えることの無い、素晴らしい国でありました。
その国の王子様は、とても聡明でした。
生後数日程で言葉を喋り、数ヶ月後には自分で歩けるようになったのです。
さて、この物語は、王子様が二歳になってすぐの頃から始まります。
「おはよう!!」
「おはようございますぼっちゃま、今日もご機嫌麗しゅう」
「うん!リタもげんき?」
「ええ、ぼっちゃまのおかげで元気そのものですよ」
未だ二歳になったばかりの王子様は、楽しそうにお付きのメイドと話しつつ廊下を散歩していました。
その顔に影で不細工と呼ばれる父親の面影はなく、俗にいう美男子、道を歩けば誰もが振り返るような美貌の持ち主でした。
「きょうはどこまでいこうかな!」
子供らしく希望に溢れた元気な声で王子様はメイドに話しかけました。
「そうですねぇ……暖かくなってまいりましたし、庭園でお昼などはどうでしょう?」
「そうだね!じゃあそれまでおべんきょうしてくる!」
「かしこまりました。お昼の準備をしておきますね」
リタ___代々王族の専属メイドを務めてきた老婆は、走り去っていく王子様を慈愛を込めた瞳で見つめながら、キッチンへと歩いていきました。
そしてお昼の時間、勉強を終えた王子様とお昼ご飯を持ったリタがうららかな春の日差しを浴びながら中庭の庭園を横切ると、「おお、ぼっちゃんじゃないですか!どんなごようで?」
「ごはん!」
「ここの丘でお昼を、と思いまして」
庭園の管理を任されている庭師の男が王子様に話しかけ、元気に反応する王子の発言をリタが補足します。
それを聞いて事情を知った庭師は、快活に笑いながら庭の奥を指差します。
「なるほど、そういうことでしたか、そんなら、今は丘近くの花畑でアネモネが満開で見頃ですぜ!ぜひ見ていってください!」
庭師の言葉を信じて王子とリタが庭園を進んでいくと、目的の丘が見えて来ました。
ここは王国中心部の近く、王族にのみ与えられる一等地、庭園といっても整備されているのは館の周囲のみであり、それ以外の場所はほとんど人の手の入らぬ花畑なのです。
「あーあ!ぼくもおしろにいきたいなー!」
王子様とリタが歩いていると、王様がいる場所、お城が見えて来ました。
お城は王様や家臣の人たちが仕事をするところなので、王子様はまだ入ったことがありませんでした。
どうやらそれが気に入らないようで、王子様は手を振り上げてピョンピョンと飛び跳ね、頰を膨らませています。
「ぼっちゃまならすぐに行けますよ」
「そうよ、あなたは王子なんだから、ちょっとは我慢しなさい」
「あっ!おねーちゃん!」
いきなり後ろから声をかけられた王子様が振り返ると、そこには王子様のお姉さんが立っていました。
「そうよ〜おねーちゃんでちゅよ〜!」
名前を呼ばれたお姉さんは、王子様に飛びついて抱きしめ、頬ずりをしています。
とても緩んで恍惚とした表情で笑っているので、王子様も思わず笑ってしまいました。
「マリアさま、マリアさま」
「はっ!?あまりの可愛さに正気を失っていたわ…ありがとうリタ。さすが王家のメイドね」
見かねたリタが声をかけ、お姉さんは王子様を離しました。
お姉さんは弟である王子様が大好きで、とっても王子様によくしてくれる、とってもいいお姉さんなのです。
さっきのふやけた顔からは想像もできないほど凛々しく、美しい顔になったお姉さんは王子様に話しかけます。
「これからご飯?私も一緒に食べていい?」
「うん!いいよ!」
王子様は満面の笑みで返答します。
「それではマリアさまもこちらへ、ご飯は用意しておりますので、ご安心を」
そうして、王子様はお姉さんも加えて三人で丘へと歩いて行きます。
「うわぁ!おねぇちゃん!リタ!きれいなおはながいっぱい!」
「そうですね。ぼっちゃん。本当にきれいです」
「そうね!特にここにいるあなたとか!」
「マリアさま…」
「はっ!ごめんリタ…ちょっとかわいさにのまれてしまったわ…」
目の前にはきれいに咲いた一面に広がるアネモネの花畑、春のうららかな日差しと青い空、草花が生い茂る大地、これらが合わさり、なんとも言えない絶景を作り出していました。
「さて!ご飯よ!」
「うん!」
「かしこまりました」
こうして三人は、春の日差しに包まれながらある日の楽しい昼食を終えました。
そして、事件が起きます。
始まりは些細なことでした。
ただ、王子様が躓いてしまっただけなのです。
「あっ…」
「えっ」
「ぼっちゃま!」
坂から降りて草原を歩いている王子様は、石に躓いてしまいました。
まだたったの2歳ですから、バランスをとることもできません。
お姉さんやリタも驚いて動けなくなってしまっています。
そうして、王子様は転んで、怪我をしてしまいました。
そして、次に目が覚めたのは、お屋敷のベットの中でした。
はい、閑話が長いね。
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