邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

SS 妹達の二人旅 拾弐

SS一章 『妹達の二人旅』


「別都市の冒険者ですか?それではギルドカードを提出し、お待ちください」

そう言って小型のトレイを差し出すのはこの鉱山年の所以でもあるモルテン鉱山の受付係の女性である。

因みに、今はほぼ夜である。
冒険者ギルドを出発したのがちょうど正午くらいなのに、だ。
その原因はひとえに警備の厳重さである。
入山希望者は魔道具による検閲を2回、職員による検閲を2回、入山理由などの説明をして、やっと半分ほどである。
因みに武器は最初の受付で没収され、今持っているのはモンスターにのみダメージを与えられる短剣一本である。
勿論魔法と心器も魔道具によって封じられているので使えない。

遥か上空に位置する岩盤製の天蓋を突き破り、富士山並みの異様を誇るこの鉱山は、やはり自然界でも珍しく、戦時では最重要戦略物資である魔導金属ミスリルなどが出現する他、副次的に採掘が可能な石炭、鉄、銅、銀や金などの上質な金属に加え、これまた質の良い紅玉ルビー金剛石ダイアモンドなどが取れ、精霊の魔力の染み込んだ精霊石が大量に確保できる。
それに加えてダメ押しと言わんばかりに旧魔導時代の遺構がそこかしこに点在するため、ここまでの厳戒態勢が常時敷かれているのである。

敵国、もしくは犯罪組織などに悪用されないためにもこの警備の厚さは当然と言えるだろう。

因みに天蓋の上部分もしっかりと警備がなされているため、そこから入ろうとする愚か者はもれなく結界に阻まれているあいだに旧魔導時代の遺物であるゴーレムに肉塊にされて終わりである。
というかそもそも鉱山の外壁は恐ろしいほどの耐久性を持っている。
具体的にはシグレが『瞬雷』を使ってやっと崩落させられるほどである。

そして鉱夫もいちいちこの検査を受けるため、わりと長蛇の列になることが多々あるのである。

「はい、オッケーです。お通り下さい」

何度目かの関所を超えたところで、鶴嘴を持ったクーリが嘆息しながら近くの椅子に腰を落とす。

「まさかここまで警備が厳しいとは思いませんでした」

「当然じゃ、まぁあとはひとつじゃから我慢せい」

何故かついてきていたギルドマスターがそう返答すると同時に、扉の奥から悲鳴が響き、そして、数秒後には何事も無かったかのように収まった。


はい、まあ当然だよね

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(IDはあらすじにあります)

コメント

  • ノベルバユーザー298771

    誤字報告
    短剣が探検になっている

    1
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