邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百三十七話 破壊の杖

6章 玩具は盤上で踊る


突き刺さった腹の内側で、鋭利な爪が、疾風の刃が、超高温の焔が、それら復讐の刃が、これまでの憎しみを、恨みを、怒りを、その全てを今開放せんとして荒れ狂う。

自分の受けた責め苦はこんなものではないと、親にも捨てられ、全てに存在を否定されて暗闇の中で嘆き狂ってしまった己の苦しみはこんなものではないと。

だから、自分の鋭く、人程度なら撫でただけで切り裂くことができるであろうその爪を、それを全力でかつて親であったものに振り下ろすのに、フェンリルは疑問を抱かなかったし、これが当然だと思ってすらいた。

親とはいえ、自分を殺そうとしたモノに慈悲など、容赦などいるだろうか?
答えは否である。

復讐を果たすため、フェンリルは激情に身を任せて牙を、爪をロキへと振り下ろしていく。

そしてやがて、体が紅く染まる頃、聞いたことのない、機械音声のような聞き取りにくい濁音声がその場に響く。

『ひどいなぁ。僕は親だというのに』

「ッ!!」

「貴様を親だと思ったことはあの時から一度もないわ!」

ぐちゃぐちゃになりながらも息絶えぬロキに対し、フェンリルは息を荒げて攻撃を強める。

『HAHAHA☆効かないZOY☆』

「ウガァァァァァァァァァ!」

『ッ!なんだこれは!』

ロキが発する合成音声に驚愕の色が混じる。

突然フェンリルとロキの体にヒビが入り、そこから極光が漏れ出す。

破壊の杖ヴァナルガンド!」

『それは!離せ!離セェェェェェェェェ!!!!』

フェンリルが呟いたのは破滅の言葉。
それを聞いたロキはこれまでの余裕など嘘だったかのように暴れまわる。

噛み付いて離さないフェンリルの顎の中でロキがもがく。

漏れ出ていた極光は七色の光に変わり、ロキの口から金属質な高周波が響く。

そして、倒れ臥すシグレの瞳を極光が射抜く。

瞬間、黒い部屋を光が埋め尽くし、爆散した。




はい、最近短くてすいません!
定期テストなもので…

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(なんかいい略称ないかな…←露骨なコメ稼ぎ)
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