邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百二十四話 遺志と修羅

6章 玩具は盤上で踊る


「何がお遊びですか…ヌケヌケと…」

気絶したセフィロを現れた道化を目撃せずにいつの間にか気絶していたアリスとともに抱えつつ、図書館に戻ったところでシグレはそう呟いた。

「お遊びって?」

「あー…説明すると長くなるのでこれ見といてください」

「記憶の投影板」

対象の記憶を鮮明に表示する魔法を発動してアリスに見せつつ、シグレは休むのもそこそこに立ち上がり、出かける準備をする。

「ん?どこいくの?」

「チームの皆さんにお礼と、あと師匠が実験室の奥には入るなといったり、魔道具に触れるななどいろいろいってたのでそれらの確認と回収ですかね」

そういうとシグレは転移門ゲートを開き、終了後の集合場所としていたところへ転移する。

さて到着したのは音楽都市プレリュード、今は吟遊詩人バードの歌声やリュートの音色が流れている。

「シグレさんがいるってことは、今回のクエストは終わりなのか?」

いち早くシグレの姿を見つけて声をかけてきたハルバートに続いて、クエストに参加していた数十人のプレイヤーが駆け寄ってくる。

「はい、皆さんありがとうございました。これで今回のクエストは終了となります。報酬はすでにギルドで受け取られましたか?」

「ああ、ばっちりだ。ありがとう」

「いえ、こちらこそ」

「それでは」

「またどこかでな」

そんな感じで短い挨拶を終えたシグレはすぐさま他の支部へと転移する。

すでに冒険者の地図によってマッピングは終了しているためスムーズに探索は進み、実験室に到着するまでにかかった時間はわずか十分である。
それも五分はある場所で所用をすませていたため実質五分で到着している。
やはり細かなマッピングってだいじだよね。

「さて…流石に阿修羅骨刀アスラシントウの様なものはないでしょうが何があるかなっと…」

やはり基本的には何か呪いが付与されているものだったが、中には従魔を強化するものなどがあった。

錬金合成獣キメラを従魔にして何かするつもりだったんですかねぇ…?)

そして実験室の奥には例外なく培養槽の培養液の中には人とも動物とも取れぬ異形のナニカできそこないがあった。

(“種”を使ったキメラの試作品プロトタイプですかね?)

速やかにその命を絶つ。
それがこの様な姿になってしまった彼らへの救いなのだから。
生物の時を巻き戻すことは未だシグレにはできなかった。
そのことを悔やみつつ、彼らの悔しさを、哀しさをそしてあの道化に対する憎しみを骨刀は吸収し、強化されていく。
あたかもこれこそが“種”となったものかれらの残した最後の反逆であるかの様に…

鑑定して見たところ魔道具マジックアイテムどころか魔宝具アーティファクトクラス(に限りなく近い偽物コピー)だった培養槽を回収しつつ、シグレは刀を握り直す。

この手で、この刀で切り裂いたあの人だったものの願いを果たすため、シグレは修羅と化す。


はいおわり

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